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80.円環


風が花を揺らして草原を駆ける。

人がまばらにいる草原にリアナとジャンはいた。


時が流れ、リアナの背も伸び、髪も伸びた。

アッシュムで見せた姿とほぼ同じ状態に成長したリアナは幼さが消え美しさと神々しさを兼ね備えた。


出会った頃は空を仰ぐように見つめないと届かなかった視線が大分近付いた。

二人は手を繋いで花の咲き誇る草原を見つめている。


「ねぇ、ジャン。そろそろ帰ろうと思うの」

「僕はどこまでもついていくよ。君の側にいる。ずっとね」

「うん、ありがとう」


そっとリアナは空いている手を空に向ける。

歓迎しているように空から一筋の光が降りてきた。


時は流れた。

ルババグース王国は前国王が崩御し、同じ志を掲げる皇太子が王冠を戴いた。

国民の為に、と真っ直ぐな瞳でリアナとシムに対面し頭を下げた彼は大丈夫。


神の国の神達も同じ意見だ。


世界は広く、どこかしらで戦いは必ず起きている。

全てを把握し、落ち着かせるのは神の仕事ではない。だが、見捨てる事もない。


何処かで神子は生まれ落ち、導き手として育っていく。

かつてのリアナのように。


幸せに暮らせる神子ばかりとは限らない。

天寿を全うし、神となる神子はほんの一握りである。

リアナも大変な目にあった。シムも。神の国にいる神達も、大体は苦労した。


「メリーとライルと会えなくなるのは少し寂しいわね」

「そうだね」


でも、これ以上地上にいると正体がバレかねない。

数年前からリアナの成長は止まってしまった。老いない姿は奇妙に写るだろう。


これから先、ずっと先、リアナとジャンには永遠がある。

人と違う理で生きる宿命。


「あーぁ、のんびり出来るのもこれまでかしら」


神の国でやらなければいけない事は沢山ある。

けれど、ジャンが側にいるならきっと。


「まぁ、頑張りますか」

「一緒にね」


向かい合って、笑顔が溢れる。


草原から立ち去ったその二人の姿をこの先見た者は誰もいなかった。

途中で長期間空きましたが、完結させれました…!

一話を投稿して三年くらい経ってます。初めから読んでくださっている方、いらっしゃいましたら本当にありがとうございます。

見切り発車はやめようと思います、本当。

あれこれ書ききれてない部分間違いなくあるので…。

最後まで読んでいただきありがとうございました!


小話として、

シムはリアナ達が神の国に向かって数年後にやっと神の国に行きます。

グレゴリオが流行病で亡くなるのを看取ってから神の国に帰りました。シムがなにを考えているのかは彼女にしかわかりませんが、グレゴリオの事は友人以上に思っていることだけは確かです。

眷属にするつもりは最初から無かったです。

以上、蛇足でした。

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