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73.神子の力

残酷な表現あります。


どしゃ、と鈍い音を立て、リアナの首は地面に叩きつけられる。首のない女が、これまた首のない男を抱き抱えているのが見える。


魔法でジャンの首を引き寄せ、躊躇いなく断面同士をくっつけて、魔法を発動させる。

目に眩しい程の光を放ち、断たれた首と胴は再びくっつく。

リアナと違い、歪な縫い目はない。一度断たれた事を感じさせない、傷跡一つないつるりとした首。そっと指でなぞる。


ごめんなさい、巻き込んでしまって。

ごめんなさい、痛い思いをさせてしまって。

ごめんなさい、私のエゴで、奪ってしまう事を、許して。


葛藤は一瞬だけ。

自分の首を放置したまま、離れた場所からそれを見ながら、一筋の涙がリアナの頬を濡らす。


背後から恐ろしい顔で剣を振り翳すアレキサンダーの姿が見えた。


「この、化け物がァァァッ!!」

「邪魔をしないで!」


転がったままのリアナの頭が声を発した事により、アレキサンダーの意識はそっちに向かう。腰を抜かし、その場にへたり込む姿は情けないの一言に限る。


温もりの残るジャンの体を抱き締め直し、やっと自分の頭を魔法で回収し、適当に首に乗せて、雑に定着させる。

ジャンとは違い、リアナの首にはぐるりと一周傷跡が残る。でもそれでいい。この傷跡はジャンとの出会いでもあるから、リアナは僅かに口角を上げた。


目を伏せたまま動かないジャンの顔に、そっと顔を寄せて口付けを落とす。

リアナを中心に幻影の時計が広がる。針が普通の時計とは逆に回り、鐘の音が響き渡る。


ゴーン、ゴーン、ゴーン……、と三回鳴ると、静寂に包まれる。

触れ合っているジャンの唇が震えた。リアナはゆっくり体を起こし、ジャンの頬を指先で撫でた。


「おはよう。そして、ごめんなさい。あなたはもう人間じゃないの」

「リアナ……?僕、生きてるの?」

「えぇ」


まだぼんやりした様子のジャンに微笑んで、リアナは立ち上がった。

そして、時間をかけて周りを見渡し、息を吸い込んだ。


「再生の神子、リアナの名を持って命じます。アッシュム王国は神の国へ統治権の返上を速やかに行いなさい」

「何様のつもりよアンタ!」

「何様って神子よ。口を慎みなさい偽聖女」


目を血走らせ、ヒールを折らんばかりに足音を立てこちらに果敢にも向かってくるキャロライン。リアナはただ指を鳴らし、鼻を鳴らす。


「私利私欲に塗れ、民のために力を振るうどころか搾取しかしない愚か者にはもう過ぎた力よ」


キャロラインはその場に突然崩れ落ちる。胸元から光が飛び出し、リアナの方へと向かっていく。

それを掴んで、リアナは天井に向けて投げ飛ばした。光は天井をすり抜けて何処かへと消えていった。


「う、うそ、嘘よ!」


手を開いてリアナに向けているキャロラインの顔色は悪い。今まで難なく使えていた力が使えない。それは彼女の心を折るのに充分だった。


「返しなさいよ!」


金切り声を無視して、腰を抜かしたままのアレキサンダーを見つけると、リアナはしゃがみ込んで目線を合わせた。


「統治権、返してもらうわね?」


まぁ、貴方に決定権はないけれど。糸の切れた人形の様に虚なアレキサンダーに微笑んでみせた。

やっと書きたかったシーンまで来れました!満足です。

あと少し話は続きます。

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