61.見た目に騙されないように
最後の方でライルが普通にジャンと呼んでいたので修正してます。
扉の向こうから微かに聞こえる怒号や悲鳴に耳を寄せつつ、四人は身を固める。
リアナとメリーを守る様に、ジャンとライルが前に座る。ジャンは箒を握りしめた。
最悪、箒を剣に見立てて振り回すしかない。
絵面は中々に酷いだろうが、騎士として、何もせず守るべき者を危険に晒すわけにはいかない。
ジャンが鋭い目付きで扉を睨んでいる様子に、ライルは気圧されていた。
穏やかで物腰の柔らかな男だと思っていたが、今では全身から殺気めいたものを漂わせている。相当の手練れである事がわかる。
ライルは、腕っ節は強いが、ただ喧嘩に強いだけだ。
ジャンの強さとは根本から違う。
やけに警戒しているライルと、怯えているメリーに、思わずリアナは問う。
「…部屋を一つずつ荒らしに来ることも、あるの?」
「稀にね。前、襲われかけた事があって…、勿論ライルが助けてくれたんだけど」
ミシリ、とジャンの握力で箒の柄が軋んだ。
そして、暫く誰も言葉を発さずにいた。
じわじわと緊張感は増していく。運の悪いことに、近くで物が壊される音が響いている。
震えるメリーを、リアナは抱き締めて、目を閉じた。
「…来る。四人か五人」
「ありがとう」
声を潜め、リアナが呟くと、ジャンは微かに笑った。
タイミングを見計らった様に扉が開け放たれ、人が雪崩れ込んでくる。
数人の男達は、各々武器を持ち、部屋の隅に固まるリアナ達に気がつくと襲い掛かろうとした。
だが、一瞬で間合いを詰めたジャンが、一番手前にいた男の手首を箒の柄で叩いて、武器が手から離れた瞬間に奪い取る。
そして、奪い取った剣を使い、男達を流れる様に打ちのめしていく。全て、峰打ちでいなした為、血は流れない。
素人相手ならば、相手にもならない。
床に転がる男達を、適当な紐のようなもので縛り、転がす。
「ジャック…、お前、本当に強いんだな」
「あはは、ありがとう」
ライルが呆然と、搾り出した感想に、ジャンはへらりと笑い返した。
程なくして、疲れた様子の騎士がやってきて、縛り上げた男達を回収していった。
すみません、この頃仕事関連で精神的に参る事が多く、筆が進まないので不定期更新になるかもしれません。




