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54.空元気に似た能天気


風になったみたい、とリアナは思った。

揺れる馬の上、叩き付けられる様な風に煽られつつ、後ろに流れていく景色もろくに見ることも出来ず、呆然としていた。


「はや、すぎない?」

「さらに速度上がったね……」


手綱を握るジャンも、苦笑いを浮かべている。無意識にリアナは両手を組んでいた。祈る様に。

祈る相手などいないにも関わらず。


「今日中には着きそう」


心の準備をする暇も与えてくれず、元気に馬は野を駆ける。荒れた街も枯れた畑も気にせずひた走った。

震える唇を結んで、落ち着くために息を吐いた。大丈夫、大丈夫、と自分に言い聞かせ、リアナは前を向いた。


「どさくさに紛れて、城に潜り込もうか?」

「それは危ないんじゃない?リアナ?」


考えるのが少し面倒だったリアナが適当な事を言うと、ジャンは素早くそれを阻止した。

もちろん冗談だよ、と笑うリアナに、疑いの籠もった視線が刺さる。


使用人の顔なんて誰も一々覚えてないわよ。多分だけど沢山人がいるんだから。

言葉にはせず、心の中で喚くリアナ。


「街に入る前までには、私、準備するから」

「うん?わかった」


他人に興味がないとは言え、あの皇子も、大聖女もリアナの顔くらいは覚えているに違いない。

適当な事を言ったが、どさくさに紛れて城に紛れ込んだ所で、リアナが見つかれば直ぐに水の泡だ。

うんうん唸りながら魔法で髪の色を毛先と同じ黒に染め、瞳の色を隠すために眼鏡を作り、色ガラスをはめる。


「魔法使いすぎじゃない?」

「爆走馬の上に乗ってる人間の行動なんて見えないわよ……多分」


最近、リアナの言動が少しシムに似てきた。

毒されているのをひしひしと感じる。


「……もう着くよ」

「うん」


ジャンが声をかけると、リアナは表情を引き締めた。

昨日の夜から今日にかけて体調不良でくたばってました…。

雨がよく降る時期は偏頭痛持ちには辛いです…。

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