49.祖国の状況
ルババグース王国を出て、魔獣の森を抜け。
ルババグース王国は比較的小さな国なので馬を全力疾走させれば王都から国境まで一日あれば着く。
しかし、アッシュム王国は広大な土地を有している。魔獣の森から王都まで、馬を飛ばしても数日はかかる。
アッシュム王国に入り、王都に向かう間、国の状況にジャンは思わず顔を顰めてしまった。酷い有様だった。
力尽きた人々が倒れ、子供達が飢えからゴミを漁り、荒くれ者が暴力をもって強奪していた。リアナは大人しく馬に乗っていたが、忙しなく目を動かしては、誰にも気がつかれない程度に魔法を飛ばし、犯罪に走る者に小さな制裁を与えていた。
制裁とは言え、可愛いものだ。
靴の紐が切れて転んだり、忍び込むために開けようとした窓に手をかけたら静電気が起きたり、雨どいから何故か水が降り注いだりする程度だ。
これくらいしか出来ないが、これくらいが限度なのだ。
神子が下せる制裁なんてこんなもの。神が下せる制裁ならばもっと小さなものだろう。
「誰も飢えない国が作りたかったのに」
自分が死んだ後、夢見た国とは正反対になってしまっている現状にリアナは打ちひしがれる。
軟禁までされ、勉強漬けで、ろくに外も歩けなかった。それでも、より良い国にする為に、尽力できるからと我慢した。
なのに、結果としてもたらされたのは斬首。国民のためと頑張ったけれど、早く首を落とせと望まれた。
全て、無駄だった。
でも、国民は被害者だ。恨む気にはなれない。神子と言う存在に陶酔していたのだから仕方のない事かもしれない、と自分に言い聞かせた。
「この国は、もう、駄目かもね」
「うん、そうだね」
ここまで崩壊すると、立て直すよりも作り直したほうが早い。
そのうち王は討ち取られ、諸国が国を等分してもらっていくだろう。所謂植民地になるだろう。
よっぽどの悪政を敷く国でなければ、植民地になっても、奴隷の様に働かせる事はない。
仮にそんなことをすれば諸国からの批判の的だ。
「ルババグース王国も、……陛下も、何か考えてるのかな」
「多分ね。じゃないと今回の件に許可出さないだろうし」
「それもそうだね。陛下なら、悪い様にはしないだろうから安心できる」
悲しみを溶かし、飲み込んだリアナは落ち着いた様子で、ただひたすらに遠くを眺めていた。
その先は、アッシュム王国の王都がある方角た。
「急ごう」
ジャンは馬の脇腹を蹴り、スピードを上げた。
現実逃避にだらだらと他の小説を書いていて遅れました…。無心で没頭できる趣味ってあるのとないのじゃ全然違いますね。




