47.先輩神子の助太刀
決めてからは早かった。
ジャンはすぐにグレゴリオに手紙を書き、馬で帰還した。
伝書鳩が手紙を運んできて、面会の許可を得ると、登城し、グレゴリオの執務室へ向かった。何故かシムもついて来た。
「お疲れ様、ジャン、リアナ。シムもわざわざ足を運んでもらってありがとう」
「いいえ、面白そうだからついて来ちゃった」
ふふ、と肩を竦めて笑うシムは悪戯っ子の様だ。
グレゴリオは何も言わず、ジャンを促す。
「それで、話とは?」
「はい。リアナと暫くアッシュム王国に働きに出ます」
「……偵察か何かか?そこまでは頼んでいないが」
「私の我儘です。ちょっと祖国に帰ろうと思って。でも私死んでるはずの人間だし、突然現れても混乱させるだけでしょ?だから王宮で働いて旧友に話しかける機会を作ろうと」
「それが働きに出る、と。王宮勤めでもするのか?」
「えぇ。別に復讐とかじゃないし、なんでそんなことしたのかなーって聞こうと思って」
しれっとした顔で告げるリアナに、グレゴリオは頭を抱えた。
わざわざ報告までされてしまうと、止めるしか無い。危険な綱渡りをするつもりの幼い神子と部下を止めない訳にはいかない。
「許可は出来ない」
「下働きですよ?ただ、働いて終わるかもしれないじゃないですか。何も言わずに行っても良かったけど、ほら、ジャンは貴方の部下だし。勝手な行動したら罰受けるかも知れないし」
「それはそうだが。でも、止められるとは思わなかったのか?」
「そのための私でしょ」
口論が始まりそうなグレゴリオとリアナの言い合いに、シムが介入する。
胸を張って一歩前に詰める姿に、これまたグレゴリオは頭を抱えたくなる。
「表立って命を下せば侵略と思われる。けれどリアナが働きたくて、護衛のジャンがついていけば問題ないでしょう?」
「危険だ」
「上が動く前に手を打つのもありだと思うけど?本格的な戦争なんて誰も望まないはずよ。難民はもう受け入れられないくらい膨れてるんでしょ」
現にジャンを国境沿いに視察へと向かわせるくらいには。
グレゴリオは黙って眉間を揉んだ。
長く息を吐き出し、書類に目を向ける。
「適材適所という言葉がある」
「リアナは神子よ。奇跡が使える。もっとも、人間には使えないけど」
もしかしなくても、この状況は打開できるわよ、と笑うシムに、リアナは期待に満ち溢れた視線を投げかける。
その調子、頑張って、と。
「神子とは神の子よ。神に愛された子じゃない、神そのもの。これは結果的に国を救うかも知れないじゃない?放置したら滅びるだけだけど」
何もせず、眺めるのは人間の仕事。
理不尽を正せるのは、力を持った神子の仕事。神が動くのはもっと困窮してから。
「陛下に、意見を賜るから待ってくれ……」
グレゴリオは、シムの猛攻撃に白旗をあげた。
設定を詳しく細かく作れて、なおかつそれをうまく説明出来る知力が欲しいこの頃です。




