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46.作戦会議

ルババグース王国視点に戻ります。


ジャンとリアナが国境沿いの町にやって来て早く二週間程が経った。

時折ジャン宛にグレゴリオからの手紙が届いており、その度にジャンは困った様に手紙を読んでは折り畳む。


小さな宿の一室、兄妹だと偽って同じ部屋に泊まっている。

大きなベッドひとつだけで、ジャンは最初こそソファーで寝ると主張したが、リアナが食い下がり同じベッドで寝ている。

正直、近くにいた方が何かあったときに守りやすい。


手紙の返事を書き、伝書鳩の脚に括り付けて放つ。

リアナはそんな様子をベッドで寛ぎながら眺めていたのだった。


「状況は良くないの?」

「あぁ、うん。どんどん難民は増えているし、アッシュム王国では暴動も頻繁に起こっているらしい。それに、どんどん死者も増えてる」

「そう…」

「些細な罪でも、平民であれば即刻首を刎ねているらしい」

「…そう」


目が熱くなる。

リアナはそっと目を伏せ、怒りをやり過ごす。

包帯の下の傷が痛む気がした。


「あの第一皇子と大聖女のやりそうなことだわ」

「そっか、君がそうなる原因はあの二人か。ごめん、辛いことを思い出させたね」

「ううん、大丈夫」


ふーっと長く息を吐いてゆっくりと目を開けたリアナはジャンに目を向けた。

迷いのない真っ直ぐな視線がジャンを射抜く。


「処刑が私だけで終われば良かったのに。罪の無い人が意味もなく命を奪われるなんて許されない」

「君も、処刑されない事が最善だったと思うよ」


ぱちり、と毒気を抜かれリアナが瞬く。

しおしおと怒りが消え、そのままリアナは顔を布団に埋める。暫くそうした後、顔を上げた時、困った様に眉尻を下げていた。


「そう。そうだよね。運良く神子だったから死ななかっただけだもんね。うん、私も被害者の一人ね」

「君を皮切りに始まった残虐だ。自分の価値を見間違えないで。神子だろうと関係ないよ」


ゆるりと目を外に向けたジャンが何を見ているか気になり、その視線の先をリアナは追う。

方角的に、その先にはリアナの祖国、アッシュム王国がある。


「ただのリアナとして、私が行動を起こしても目を瞑ってくれる?」

「それは駄目だ。僕はリアナの護衛騎士だからね。だから、僕を巻き込んでいいんだ」


片目を閉じたジャンに、リアナは口をへの字に曲げる。危険なことに巻き込むつもりはまるで無いが、ジャンは付いてくるだろう。


「……個人的に意見を述べに行くだけなの。ついて来てくれる?」

「その後、僕が騎士団総長に怒られよう」

「一緒にね」


くすくすと二人は顔を見合わせ、笑う。


リアナは起き上がり、ベッドから立ち上がる。

いつまでもぐうたらしているわけにもいかない。ぐっと伸びをし、気合を入れる。


「さて、アッシュム王国は、王宮での下働きを募集してるかしら」

「きっと今、人手不足で身分問わないと思うよ」

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