45.微笑む悪魔たち
視察を嫌々終え、王宮に帰ってきては自室に篭りお茶を楽しむ第一皇子、アレキサンダーと大聖女、キャロライン。
側仕えの顔は暗く、楽しそうなのは二人だけ。
城を出れば、誰もが必死に食い繋いでいる。
アレキサンダーとキャロラインが摘んでいるお菓子を作るための材料を民衆に分け与えればどれだけの人が救えただろうか。
リアナを処刑してまだ一月も経っていないにも関わらず、状況はかなり悪い。
リアナは必死に、国民が餓えずに生きていける土壌を耕していた。
アレキサンダーはそれを踏み荒らした。元に戻すのが困難なほどまで。
全てがぐちゃぐちゃになった。
重い課税に、引き上げられた補償。
秩序さえ壊れ、貴族はやりたい放題。もう腐り切っていた。
大事な国民を変えの効く駒程度にしか思っていない貴族が大半で、これ幸いとばかりに税を増やしている。私腹を肥やしつつ、アレキサンダーに贈る賄賂も忘れない。
皺寄せは国民にいった。
瞳の曇ったアレキサンダーとキャロラインはただただ笑う。
国の為に役に立てて嬉しいだろう、と。
良心を持つ、まともな一部の貴族は何度も税を下げ、国民に目を向けてくれと嘆願するも、声は届かない。
私財を投げ打って領民に分け与える者もいる。
「少し税をあげたくらいで愚かな。払えぬ方が悪い」
「そうですわね。だって国庫はずいぶん減ってますもの。あの忌々しい偽物神子のせいで」
絶え間なく届く嘆願の手紙を破り、暖炉にくべるアレキサンダー。
瞬く間に炎に飲まれ、消える。
アッシュム王国の現国王と王妃が健在ならば、こうはならなかっただろう。
しかし、二人はアレキサンダーとキャロラインの企みにより、少量ずつ毒を飲まされ、今では起きている時間は僅かばかり。
リアナではなく、キャロラインを王太子妃にと願い、にべもなく却下されてから、アレキサンダーは少量ずつ、バレない様に食事に毒を混ぜ始めた。
そして、全てがうまくいった。
リアナを処刑する邪魔をさせず、キャロラインが神子を騙っていたことを暴いた立役者として婚約者に据えることが出来た。
「いつ結婚式をしようか」
「すぐにでも構いませんわよ」
微笑み合う二人は、アッシュム王国を崩壊させる悪魔そのもの。
今日から新しく「筋肉固めの三角形〜人格含めて四角形〜」を連載始めました!
今作の息抜きに書き始めた作品で、わりと性癖を詰め込んでます。
よかったら読んでくださると嬉しいです!




