42.進捗確認
ジャンとシムが向かい合って、お茶を飲んでいると、リアナが目を擦りながら部屋から出てきた。
二人に挨拶をし、井戸へと向かう。
「割と早いお目覚めだったわね」
シムはカップに残った紅茶を飲み干した。
ジャンもそれに習う。
リアナが戻ってきて、ジャンの横、空いた席に座る。
「えっと、私は今日も魔法の特訓だよね。ジャンさんは…」
「畑仕事をお願いね。そろそろ収穫できる野菜もあると思うから宜しく」
ジャンはリアナの頭をわしわしと撫で、満足げに出て行った。
騎士のはずだが、この家に通う様になってから、農作業が様になっている。わりと鍬が似合う。
「さて、昨日の成果を見せてもらいましょうかね」
シムはにこりと笑顔を浮かべる。
とは言え、直ぐに成果が出るとは思っていない。制御というのは、実際にやると相当に難しい。
魔法ともなれば特に。
今では魔法を使える人が少なく、教える人も少ない。言葉よりも感覚で覚えた方が早く、余計に上達が難しいものだ。
「うん」
小さく頷き、掌に力を集め、薄く膜を張る。
数秒程リアナの掌を包み込むが直ぐに解け、光り輝く。
リアナは諦めが付かず、二、三回挑戦するが、結果は同じ。
とは言え、予想以上の上達の速さにシムは思わず拍手を送る。
「いいわ、いいわよリアナ!」
「本当?…良かった」
目を輝かせ、心から喜んでいるシムの姿に、リアナは安堵の息を吐く。
「残り二日で完璧に出来るわ!多分」
力強く宣言するシムだが、最後に付け加えられた言葉に不安が募る。
けれども、リアナはその言葉に従うしかない。魔法で頼れるのはシムだけだったから。




