41.長く生きても精神年齢は変わらない
カーテンの隙間から差し込む光に、目蓋の裏を焼かれる様な感覚になる。
思わず顔をしかめ、起き上がり、ゆっくりと目を開く。
そして、欠伸を噛み殺せず漏らす。
「んん…、ふわぁ…」
目尻に浮かんだ涙を手の甲で適当に拭い、シムはぐっと体を伸ばした。
リアナが来るまでは、割と適当な生活をしていたが、師匠面するならば、としっかり早起きする事にした。
それにしても眠い。自分の煩悩の多さに思わず笑う。
いつまでも寝ていたいだなんて俗物にも程があるだろう。
手早く着替え、シムは部屋を出て、リアナの部屋に忍足で近付く。
生真面目なリアナは、早く寝る様にと言えばそれに従うだろうとは思っていたが、没頭して夜更かしをしてしまった場合、言付けを守る為に部屋に向かうだろうとシムは睨んでいる。
そっと扉を細く開け、ベットに上半身だけ載せて寝落ちしているリアナを見つけて、にやりとする。
ジャンに見せたらどんな反応をするだろう。
いつまで経っても中身が子供のシムはジャンが来訪するまで、リアナをそのまま寝かせる事にした。
朝食を作り、暇を持て余して家の庭に出て野菜と対話していると、ジャンがやって来たらしい。
シムは、よっこいしょと腰を上げ、ジャンの様子を窺いに立ち上がる。
ジャンにはこの家の鍵を渡しているし、リアナの部屋も知っている。
「リアナ?まだ寝てる?」
ジャンは扉の前で律儀に声を掛ける。
返事はもちろん無い。リアナはまだ爆睡しているからだ。部屋の中に気配があるのを感じているジャンは困惑していた。
「開けていいわよ〜」
「あ、おはようございます、シムさん」
背後から声をかけられ、ジャンは振り返り、にこやかに挨拶をする。
シムも片手を上げ、それに答える。
「…リアナ、開けるよ」
そっと扉を明け、中の様子を見たジャンは、一度扉を閉めた。
「えっと?」
「あら、思ってた反応と違うわ。寝落ちしたみたい。可愛いでしょ」
「思ってた反応ってなんですか。リアナはまだ寝かせておきますよ?」
「いいわよ」
ジャンは再び扉を開け、次はリアナを抱き抱え、ベッドに横に寝かせて布団を上からかける。
ニヤニヤを隠しきれず、シムは問う。
「本当にリアナが好きね?」
「妹みたいなものですよ」
「本当?」
「なんですか、その疑う様な視線は」
そういう事にしてあげる、と不服そうにシムは頷いておいた。
遅刻しました。
シムは中身が割と子供です。




