40.努力は裏切らない
「ごめん、話が逸れたわ。でもリアナも神子のあり方がわかってるから話が早いわ」
「うん。なんか、わかってたみたい」
真面目腐った顔で神妙にこくりと肯くリアナを見て、シムは思わず吹き出す。
リアナも堪えきれずについ笑う。
込み上げる笑いが落ち着いた頃、シムはおもむろに手を開いた。
白い掌にほんのりとした光を纏う。
可視化された魔力だ。
「ひとまず、魔力の維持の練習からよ」
「…わ、わかった」
緊張した面持ちでリアナも手を広げる。
シムと対照的に掌の上に光の球が生まれ煌々と光を放つ。
歯を食い縛り、弱めようとするが、光の球がぐにゃぐにゃと小さくなったり大きくなったりするだけだった。
「難しいでしょ。でもこれが出来れば魔法のコントロールも楽になるわ」
一度魔力の放出をやめ、もう一度初めから同じ事を繰り返す。
少しずつ息を吐く様に、壊れそうな宝物に触れる様に、冷たい水の上に張った薄氷を渡る様に、といくつもイメージを変えながらリアナは魔力と向き合う。
「急がないのが一番の近道よ。暇な時、近くに見知らぬ人がいない事を確認してからやるといいわ」
「コツコツと丁寧にって事?」
「そうよ。焦って泥濘に嵌って時間を無駄にするよりも、堅実に歩み続けた方が先に終着点に着くでしょう」
「…頑張る」
「じゃ、私は先に寝るわ。リアナ、程々にして寝るのよ」
「おやすみ」
欠伸を噛み殺しながら自室の方へ向かったシムの背中を目で追い、リアナは意識を自分の掌に戻す。
近道は無く、頑張るしか無いと断言されてしまったので、その言葉通り地道に歩を進める。
何度も何度も繰り返し、掴めそうで掴めない感覚に口を曲げる。
あと少しな気もするが、随分と遅い時間まで集中していたらしく、瞼が今にもくっつきそうだ。
「うぅ…、せめて、ベッドで…」
ずりずりと足を引きずりながら自分の部屋に向かうリアナ。
だが、あと少しで力尽き、リアナはベッドに倒れ込む。上半身だけベッドに乗せ、リアナは夢も見ないほど深い眠りに落ちた。
独り言ですが、最近見る夢が高確率で仕事の夢です。




