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3.長い考え事

まだ生首です。


※リアナと第一王子の初対面時の年齢を変えています。


太陽が沈み、星が空を飾った。

そして、空が白んでまた陽が登る。

首を膝に乗せ、地面に座っていたリアナは動くことなく時間が過ぎるのを待っていた。


不思議な事に、ただ暇なだけで眠くなったり、お腹が空いたり、喉が渇いたりする事は無かった。

首と胴が離れているからなのか。そもそも何故この状態で生きているのか、リアナには検討もつかない。


ジャンが戻ってくるかも知れないからと動かずに待ってから一日経った。

余りにも暇で堪らない。アッシュム王国ではどうなっているのだろう。


(神子を騙ったと濡れ衣を被せ、第一皇子の婚約者から引き摺り下ろしその座に収まった大聖女…)


第一皇子の名はアレキサンダー・ヴァル・イルガンド・アッシュム。

深緑の長髪に蜂蜜色の瞳を持ち、その顔は貴族令嬢達の熱い視線を集める。


大聖女の名はキャロライン・フィン・オースハイル。

目を奪う金髪に深い海色の瞳を持つ彼女は大輪の華と例えられる。

リアナはキャロラインに毛嫌いされ、よく嫌がらせを受けていたので彼女が苦手だ。

神子だと選定されただけの平民が自分の望む立ち位置にいるのが気に食わなかったらしい。


第一皇子のアレキサンダーはリアナに対して良い婚約者だったとは思わない。


元々国の外れにある、周りを山で囲まれた集落に住んでいたリアナは神託を受け、神子を探していた教皇に見出された。

両親は小さな頃に他界し、集落の人たちの優しさで育てられたリアナは神子だと選定されると強制的に王宮へと連れて行かれた。


王宮に連れて行かれた時、リアナは七歳だった。アレキサンダーは十三歳。

綺麗に洗われ手入れされ、布がふんだんに使われた豪華なドレスを着せられたリアナと対面した時、アレキサンダーは田舎娘だと馬鹿にした。


(勝手に連れて行って、勝手に婚約とかさせて、挙句力が発揮出来ないから嘘を吐いたって)


そもそも、神子の力が何か、リアナも知らない。

ろくに魔法も教えてくれなかったのに魔法を使えと言われ、発動出来なかったら嘘付きだと非難され、とんとん拍子に話が進み、首を落とされた。


(何故か生きてるけど)


リアナには力の使い方など分からない。

だが、神子としての覚醒はもうしている。リアナさえ望めば、神子としての力はいつでも発揮出来る。

きちんと魔法の使い方を教えられていたならば、命を落とす前に神子として覚醒していたかも知れない。


結局、一度命を落とした際に力は作動した。

お陰で首と胴が離れていても生きている。動ける。

脳と神経、そして筋肉は生前と変わらないが、臓器は動きを止めている。

リアナの身体は冷たく、心臓が鼓動を刻む事は無い。

まだ、不完全だ。


太陽が真上に浮かぶ頃、草むらが揺れ、ジャンが姿を現した。


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