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23.小さな願い


リアナは起き上がり、シーツを頭から被って目だけ覗かせる。まるで子供の様である。

リアナはまだ子供と呼んでも差し支えのない年齢ではあるが。


じりじりとベッドの上を移動し、シーツを頭から被ったまま床に降り、これまたじりじりとジャンの方へ移動し、最終的にジャンの背後に隠れたリアナ。

グレゴリオとシムは再度顔を見合わせる。


「私の家、二人も置けないわよ」

「でも、ジャンが居ないなら行かない、くらいの意思を感じるぞ」


ボソボソと会議を始めた二人を気にしつつ、リアナは手を伸ばし、ジャンの手を握った。

ジャンはしゃがみ、視線を合わせて首を傾げた。

リアナは、シーツをずらし、肩から羽織っている状態にした。


「私、ジャンさんと一緒がいい…」

「僕の一存じゃ決められないからなぁ」


困った様に眉を下げ、諭すジャンは、不安げにしているリアナに罪悪感を感じる。

目を覚ましてから、リアナが妙に子供っぽい。今迄無理していた反応なのだろうか。

ジャンは密かに困惑していた。


リアナは逆に、ほっとしていた。

信頼に足る人物をやっと得たから。

王宮に連れて行かれ、ほぼ監禁に近い軟禁生活を強いられ、身近にいた人物は皆、田舎者のリアナを内心蔑んでいた。

少しの失敗も許されなかった。弱音を吐く事も許されなかった。


兄妹としてもおかしくない年齢差。

手を差し伸べてくれたジャンに懐くのも通り。


「…駄目だよね、こんなワガママ。ジャンさんならってつい。ごめんなさい」

「僕からも、頼むよ!うん、そうしよう。ね?」


しょんぼりと肩を落とし俯くリアナの肩を掴み、必死に励ますジャンの姿を、グレゴリオとシムは温かく見守っていた。


処刑され、心に深い傷を負ったであろう少女の僅かな願いを叶えるのが大人の役目だろう。


「一肌脱ぐとするか」

「そうね。ほぼ隠居神子とは言え、権限は残っているだろうし」


グレゴリオとシムは、頷きあったのだった。

今後、更新は続きが書け次第あげているので、連日更新できる時と日にちが開く場合が出てくると思います。

最低でも3日に1回くらいのペース目指していきたいです。

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