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悪戯必中と疾風戦姫と初心者女


 少し雑くなったかもしれません。


 「ギルド名っていわれてもなぁ」


 「そうだな、急に考えるとなれば難しいだろう。しかし、私は貴様がβの最終日にギルドを創ってくれと言われたときから既に考えていた」


 脅威の胸囲を持つヒルデが自信満々に胸を張る。

アバターであるが故に弄っているとは思うが、やはり男としては視線が自然とそちらに引き寄せられてしまう。まぁ、あまり変な事を考えるとヒルデさんにPKされてしまうので要注意だ。


 「それでどんな名前なんですか?」


 アリンが目を輝かせている。


 「うむ、私的には北欧神話からとった『アインヘリヤル』にしようかと思ったのだが、アリンもいる事だしな、少し捻って『アリンヘリヤル』にしようと思う」


 「ほうほう、そういえば、ヒルデの名前も北欧神話のワルキューレからとったんだっけ?」


 「そうだ、そして偶然にも貴様の名前はロキ。北欧神話に登場する悪戯好きの神様だな。

貴様にピッタリだ。最初から罠師にすることを狙っていたのか?」


 「まぁ、そんなとこかな」


 『アリンヘリヤル』俺はそれでもいいと思うが、なにか物足りない。

元々、アインヘリヤルとは戦死した戦士たちの魂が向かうところとかそんな感じだったと思う。

まぁ、滅茶苦茶詳しいというわけではないから間違っているとは思うが


 「ちょっと待ってください。『アリンヘリヤル』は止めましょう」


 「何故だ?」


 するとそこへアリンがストップをかける。


 「いや、トッププレイヤーの二人がいるんですから、二人の二つ名からとったらいいじゃないですか?」


 「二つ名か・・・《疾風戦姫(ブレイドダンス)》と《悪戯必中(トリックスター)》」


 「確かに二つ名を使うのはいいと思うがどう合わせるんだ?」


 「たとえば・・・《疾風必中(ブレイドスター)》とか」


 「それもいいと思うがここは『《予想不可(ブレイドスター)》』の方が良くないか?

他のプレイヤーは俺とヒルデが同じギルドを組むなんて考えもしないだろうからな」


 βのときの俺とヒルデはパーティは組んでいたもののほとんど別々で動いていた。

罠師な俺に対して攻撃の代名詞ともいえる舞姫だ。自然と別々に動くしかない。


 そんな理由もあってか俺とヒルデの仲は最悪と思われている。実際はそこまで仲が悪いということはなく

むしろ、俺はヒルデを尊敬している。周りからは一人で大暴れしているように見えるも、実は他のプレイヤーを考えて動き指示もちょくちょく出している。


 個人で動く俺とは正反対なヒルデを心の底から尊敬しているし、きっと現実世界でも人w纏めることが得意なのだろう。


 「確かにそうだな、他のプレイヤーたちからは私とロキの仲は最悪と思われているらしいし」


 「そういえば、掲示板でそんなこと書かれていたような」


 アリンが見た掲示板とはおそらく、βテスターがβをできない人達の為に書き込んでいる掲示板のことだと思う。何回かみたことあった。


 「でも、実際は悪戯好きな弟を構う姉みたいですね」


 そこでアリンが心外なことをいった。


 「おいおい、心外だな」


 「確かに、ときどき私はロキのことを弟のように思ってしまう。年齢も一個下らしいしな」


 「えっ、ロキって私と同い年なの!」


 「スルーするなよ、コイツが姉だって?まぁ、面倒見の良さそうな姉だとは思うが、絶対あり得ん。

それに、俺は悪戯好きといってもコイツに罠仕掛けるのなんて対戦するときかモンスター相手だけだ。

人を担任の机の引き出しにゴキブリいれるような馬鹿と同列にしないでくれ」


 「えっ?そうなの、馬鹿みたいに罠張ってるんじゃないの?」


 「失礼なッ」


 コイツ知り合ってまだ三時間ほどだというのに失礼にもほどがあんだろ。


 「じゃあ、《予想不可(ブレイドスター)》で登録してくんぞ」


 「あぁ、アリンもそれでいいだろ」


 「はい、というか私達も一緒にいかなくていいの?」


 「いいって、パパっと決めてくるから。そこで休憩でもしとけ」


 ギルド名も決まったことだし、再び受付NPCに話しかける。


 「ギルド名決まりました。《予想不可(ブレイドスター)》でお願いします」


 「かしこまりました。では、ギルドマスターはどなたがなられますか?」


 ギルドマスターを決めるのを忘れていた俺ってばドジっ子ちゃん。

まぁ、正直、ギルドマスターはヒルデでいいだろ。というかヒルデ以外は考えられない。

俺はギルドマスターなんて柄じゃなし、アリンは初心者ということもあり、まだ難しいだろう。

だったら、面倒見もよく、俺達の中で一番の年長者であるヒルデがギルドマスターを務めればいいだろう。


 それにきっと、ヒルデも「分かった」って言ってくれるだろう。


 「じゃあ、ヒルデでお願いします」


 「・・・ギルド《予想不可(ブレイドスター)》、マスターはヒルデ様、設立の完了を申し上げます」


 「ありがとうございました」


 「ギルドハウスなのですが、現在、まだ準備中ですので利用は不可となっております」


 「えっ、そうなの?そっか、じゃあまた今度お願いします」


 それだけいって、ヒルデとアリンの元へ戻る。


 「ギルドは創れたんだがギルドハウスはまだ準備中らしくて、今は無理だって」


 「そうか」


 ヒルデは渋々と頷いていた。


 「あっ、そうだギルドマスターはヒルデにしておいたから。よろしく頼むぜマスター」


 「なッ、何故私なんだ。貴様がするのではなかったのか?」


 アレ?どうやら俺の予想が外れたみたいだ。

きっとヒルデなら二つ返事で了承してくれると思っていたのだが・・・


 「いや、俺ってそんなキャラじゃないし、アリンも俺よりヒルデのほうがいいと思うよな」


 そこで、同じ学校の後輩だというアリンに聞いてみる。


 「う~ん、私はロキでもいいと思うけど、確かにロキのキャラじゃ似合わないわね。会って数時間の私でもそう思うわ」


 「だろだろ?ということで頼むぜマスター。それに、俺はヒルデにギルドマスターをやってもらいたいんだ。他でもないヒルデにだ。理由は恥ずかしいからいわないけど」


 ここで、少し恥ずかしいということを主張する。

するとヒルデならきっと何故と聞いてくるはずだ。そこで、普段の俺が言わないような臭い台詞を吐けば

きっと快く引き受けてくれるだろう。


 「では、その恥ずかしいという理由を教えてみろ。それを聞いた後ならば引き受けてやろう」


 ほら、俺の罠にかかった。


 「そりゃ、プレイヤーの中で一番信頼してるのがお前だからだ。お前だったらきっとギルドをうまく引っ張ってくれると思ったんだ・・・んだよ、そんな顔しやがって」


 「いや、フフフ、ロキにも案外可愛らしいところがあるのだなと思って。分かった、そういうことなら

私がギルドマスターをしよう。フフフ、そうかそうか、貴様は私をそんな風に思っていたんだな」


 というか、前も似たようなことを言った気がする。

でもまぁ、俺の罠が上手く発動したようだ。


 おい、クズとか思うなよ。

少なくとも俺がヒルデを一番信頼しているというのは嘘ではない。

ただ、それを言うタイミングを狙っただけだ。だから、俺はクズではない。


 「それじゃ、ここにギルド《予想不可(ブレイドスター)》の活動を開始しよう・・・といいたいところだが、もうこんな時間だ、一度、昼食を取りにログアウトしようぜ」


 視界の右端に映る時計が午後00:13と示している。

始めたのが午前09:00だったのでもう四時間もゲームをしていることになる。

目が悪くなる・・・なんてことは起きないが、それでも腹は減ってしまう。


 「そうだな、アリンもそれでいいか?」


 「はい、実はもうお腹ペコペコで」


 「そうか、じゃあ次は午後13:30に噴水広場で集合にしよう」


 「オッケー、じゃあ落ちるな」


 俺はメニュー画面を開いてログアウトボタンをさが・・・す


 「あれ、おかしいな。ログアウトボタンがないぞッ」


 「なんだと・・・ちゃんとあるじゃないか」


 俺は一人で慌てたふりをするが、ヒルデはノリが悪く、デスゲームごっこした俺が馬鹿みたいに見える。


 「ノリ悪いな、せっかくデスゲームごっこしたのに」


 「縁起悪い事しないでよ。どこぞの真っ黒な剣士がいないのにクリアなんてできないわよ」


 「それじゃ、ほんとに落ちるわ。じゃあ、あとでな」

 

 今度はちゃんとログアウトボタンを押して仮想現実から現実に戻る。


 目を開けると俺の部屋の天井があった。

ヘッドギアを外しベッドから起き上がろうとしたのだが、体が動かない。

正確には俺の隣で寝ている()が俺の体を抱きしめて離さないからだ。


 「はぁ、また潜り込んでたのかよ。まったく」


 隣で寝ている俺の妹の髪を撫でる。

コイツは男だ。容姿は女のようだが男だ。だから、弟なのだが、こいつ自身は自分は女の子だというので

俺も妹だと思っている。


 性同一性障害と言われる奴なのだろ。まぁ、俺にとってはどうでも良い。

弟だろうが妹だろうが、俺の家族だ。


 それにだ、からの性別が男だろうと中身が女だったとしたら、そいつは立派な女だと思う。

その逆もまたしかり、体が女だろうと中身が男だったら俺はそいつを殴る。


 体が女だろうと中身が男なのだ、女は殴らない主義の俺でも中身が男の奴だったらどんな美人だとしても

殴る。それが、俺のポリシーだ。


 そういうこともあり、こいつは俺の妹だ。異論は認めん。


 「おーい、希未、起きろぉ~」


 気持ちよさそうに寝ている俺の妹を起こす。

ほんとうなら起こすべきではないのだろうが、それでもやはり、ここは起こす。


 「むにゅぅ~、あと五日ぁ」


 「せめて五分にしろ。ったく、ここで寝てていいから俺は昼飯食べるからな」


 「昼ごはん、作っといたからレンジで温めてから食べて」


 「おっ、サンキュー。じゃあお休み」


 「行かないで兄さん」


 突然、ガシッと掴まれた父さん似だった俺に対して母さん似な妹の希未。

見れば見るほど本当に男いや、女だな。


 「行かないでって言われてもな・・・「お願い」うぅ」


 上目遣いを使われるとどうも弱いらしい。小悪魔という奴だな。


 「行かないでぇ、兄さんは僕を捨てるの?」


 「いや、捨てるとかじゃなくてだな、腹が減ったんだ」


 「もう、分かった。仕方ないなぁ」


 なんとか、昼食を取ることをオッケーしてもらえたのだが、希未もついてきた。

まぁ、いつものことだ。気にしてはいけない。


 昔から希未は俺のべったりだった。

姉さんもいるのに、姉さんより俺にべったりで可愛かった。


 「はい、僕が作った味噌汁と生姜焼きだよ。兄さんの為なら毎日でも作ってあげるからね」


 「はいはい、ありがとよ、いただきます・・・美味しい」


 希未が作ってくれた料理は全部美味しい。

ほんと、最高の妹だよ。


 それに比べて姉さんは家事がまるっきりダメだ。

どのくらい駄目かというと、塩と砂糖を間違えて買ってきたり、洗剤を洗濯のリと間違えて使ったり、歩かにもあげればあげるほどキリがない。


 「美味しいのは当たり前だよ。兄さんのために作ったんだから。不味いわけがないよ」


 「そうだな、いつもありがとな」


 「ところで兄さんや、またファンサガばっかりしてるみたいだけど、もう少し僕に構ってよ」


 希未はそういいながらテーブルに項垂れている。


 「そうだな、だったら一緒にゲームしようぜ」


 「僕はいいよ、ゲームってなんだか難しいし」


 希未がゲームをしているところはほとんど見たことがない。

ゲームをしたとしても、それはトランプや人生ゲームなどのテーブルゲームだけだ。

まぁ、俺もファンサガに会うまではそんな感じだったのだが・・・


 「そっか、じゃあ今度どっか行くか。姉さんは忙しそうだし内緒でな」


 「うん、そうしよ!えへへ楽しみだな」


 「そ、そんなに楽しみにしてくれるとこっちも嬉しいよ」


 といったのだが、既に自分だけの世界に入り込んだらしくえへへと笑うだけで返事が来ない。

最早、こうなってしまった希未を止められるのは誰もいない。


 希未が作ってくれた昼食を食べたあとは食器を水につけて、部屋に戻る。

ちなみに、まだ希未は自分の世界から帰ってきてない。

むしろエスカレートしているといっても過言ではない。


 「まずは、買い物をして可愛いお洋服を兄さんに選んでもらって」


 「次に、一緒にカフェに入ってカップル限定のメニューを頼んで、えへへ」


 「そして、映画か景色のきれいなところにいって」


 「最後にホテルにいってゴールインすれば・・・キャァァァァァ」


 最後の方はなんかヤバそうなことが聞こえてきたが、本人は楽しそうなので映画までは希未の妄想通りに進めてやることにしよう。流石にホテルはダメだ。何故かって?そりゃ兄妹だからさ、えっ?希未は男だって。

いいや、希未は女の子だ。体は男だが立派な女の子だ。


 ソースはクラスメートの女子全員と希未のどっちが女子らしいとクラスメートの男子全員に聞いたところ

なんと、七割以上の男子が希未ちゃんの方が女の子だといっていた。


 なかには「希未ちゃん、僕と結婚してください」なんていう馬鹿がいたが


 「ごめんなさい、私、あなたに興味ないです」と一蹴した。


 あのときは流石に俺も戦慄したぜ。

ああ、それとプロポーズした馬鹿(命知らず)は俺がきっちりしばいておいた。


 「お前なんぞにうちの希未はやらん。希未は一生俺の妹だ。悔しかったらブラックホールに吸い込まれても生還できるくらいの男になれ。そしたら考えてやる・・・一秒だけ」


 といったら、クラス全員に鬼畜だのシスコンだの父親だのいわれた。


 うるさい、希未は一生やらん。





 部屋に戻りヘッドギアを被った頃には13:20だった。

本当ならもう少し早くログインして消費アイテムの購入を済ませておきたかったのだがそんなことをしている時間はないだろう。仕方ない、投げナイフなどはまた今度購入することにしよう。



 「DIVE」


 ログインすると蘇生ポイントにキャラが現れることになっている。

今回の場合は《アインス》の中心が初期蘇生ポイントとなっているのでそこに出た。


 そこからは疾風のごとく噴水広場まで直行した。


 「あっロキ」


 噴水広場には既にアリンがいた。

ベンチに座りこちらに向けて手を振る。


 「よう、早いな」


 「そんなことないじゃん」


 「それもそうだ、ところで何してたんだ?」


 「アーツの習得とスペシャルポイント使って色々としてたのよ」


 俺の記憶が正しければ彼女のレベルは3立ったはずだ。


 「あっ、私さっきレベル5になったのよ。あれからすぐにログインして軽くレベル上げしてたの」


 「へぇ、一人で大丈夫だったのか?」


 「えぇ、この辺りのモンスターは一撃で倒せるようになってたわ。

少し先まで進んでみたのだけど、気を付けて戦えば一人でも十分に戦えたわ」


 少し先といえば獣系のモンスターが現れる。

獣系の特徴としては素早く本能のままに動き攻撃する。

動きが単調ではあるが、その分一撃のダメージ量が多く、初心者には厄介極まりない。


 「もう十分一人でも戦えるんじゃん。ステータスも大分上がってるんじゃないか?」


  アリン 職業 見習い魔法師


 レベル5


 STR(筋力)15


 VIT(耐久)25


 DEX(器用)22


 AGI(敏捷)20


 INT(知性)30


 MND(精神)30


 装備


 見習い魔法師のローブ


 見習い魔法師のブーツ


 見習い魔法師の杖


 このようになっている。

最初と比べてみると大分上がっている。


 「ふむふむ、 いい感じじゃない」


 「本音をいえばもう少しレベル上げしたかったのよね」


 「じゃあ、あとでレベル上げするか」


 「すまない、またせてしまったな」


 アリンと話しているとヒルデがやってきた。


 「どうしたんだよ、遅れるなんて珍しいな」


 「いや、少し電話がきてな」


 「へぇ」


 「それで、これからどうするの?」


 アリンがそういった。


 「そりゃ、ギルド活動といきたいけど、まだまだレベルが足りんしな、装備も初期装備じゃ辛いだろ。だから、アリンの装備を整えて

レベル上げとクエストの同時進行といこうじゃねぇか」


 レベル5になったとはいえ、やはりギルド活動を行うには力不足である。姉さんの話によればギルドクエストは最低でもレベル20はほしいといっていた。三日もあれば十分に上がるだろう。


 あとは装備なのだが、初期装備は耐久値が減少しない代わりに

効果はほとんどゼロといってもいいだろう。


 だったら今から装備を整えておきたい。

俺もついでに投げナイフを調達しておく。


 本音をいえば、毒塗りナイフがいいのだが、まだ最初の街ということもあり、毒塗りナイフはない。自分で作ればいいのだが。


 俺のスキルのなかには道具生成もあるので毒塗りナイフを作るのは用意だ。しかし、毒を用意するとなれば別だ。


 毒も作ろうと思えば作れるのだが、毒の材料となる薬草がこの辺りには存在しない。俺のアイテムボックスにある薬草で最後だ。

ということで俺は毒生成に必要な薬草がとれる次の街までは毒塗りナイフはしまっておく。


 まぁ、対人戦があれば別だがな。


 「では、最初はアリンの装備を整えるとしよう」


 「でも、お金なんてほとんどないですよ」


 「そこは、俺に任せなさーい。なんと、このゲームではアイテムを大量に購入することで割り引きしてもらえるというサービスがあるのだよ。俺も消費アイテムを買いたいからな、ついでに買ってやるよ。

だから、お金は気にするな」


 「いや、悪いわよ」


 「大丈夫だ。こいつはこう見えて金持ちだ。甘えとけ。

どうしてもというなら、レベルが上がってお金が貯まったときに

返せばいいだろう。だろうロキ」


 



 俺達三人は噴水広場を離れ三つほど隣の通りにある商店街を散策する。

ベータ版ではここでアイテムや装備を購入していた。

基本NPCが商売をするのだが、生産スキルをとったプレイヤーが商売していることもある。


 NPCが販売するアイテムよりプレイヤーメイドのアイテムの方がハッキリ言って質がいい。


 でもまぁ、β版でも生産スキルをとった奴は少なく、レベル上げもしないといけなかったのでこんな序盤の街でプレイヤーが店を構えていることは少なかった。


 ということもあり、NPCしか見えないのだがそんな中でも一か所だけ明らかにNPCじゃない人物が

店を開いていた。


 「あれ、ヒルデさんじゃないですか」


 どうやらヒルデの知り合いだったらしい。

店を見る限り装備ではなく、アイテムを販売している店のようだ。


 「ミクじゃないか。もう店を構えているのか」


 「そうなんすよ、いやぁβんときの店がないんで、小さいですけど稼いだ金使って店をしてるんすよ」


 「ミクの作るポーションは質がいいからな。ついでに買っていこう」


 「まいど、それでそちらのお二人さんはどなた?」


 薄いオレンジをサイドテールにしているエプロンを付けたプレイヤーがヒルデの後ろに立っていた

俺とアリンに視線を送る。


 「右の女の子がアリン、私のリアルでの後輩だ。左の男がロキだ」


 「ほうほう、アリンさんにロキさ・・・へっ、ロキってあの?」


 「そうだ、あまり騒ぎを起こしたくないから声は小さくな」


 ヒルデは指を口元に当てて静かにしろと睨む。

表情は怖いのだが仕草が可愛いせいで怖いより可愛く見えてしまう。


 「す、すみません。ところでロキさん・・・ファンです。サインください」


 突然、店のカウンターから出てきた少女はアイテムボックスから取り出したであろう木の板と筆を持って

俺にそういった。


 

 




 次回はもう少し早く投稿したいと思います。

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