盗人
謎の毎日投稿です。たぶんいつか冷めて3ヶ月くらい休みます。
それでは、本編どうぞ
「嘘をつけば、誰かが絶対に騙される。それはいけないことだと思う。
今の話でもし私が『彼女』だったら、死ぬ直前にオオカミ少年を恨む。どうして自分の寿命が迫ってるって、自分が病気だって、知ってたのに教えてくれなかったのって。
もし教えてくれてたら、それまでに見た景色も変わったかもしれないのにって。最後だって思って見たら、もっと………
もっと綺麗だったかもしれないのに!って。
君がどんな景色を見てきたか知らないけど、作り話に容易に死を組み込まない方がいいよ。
彼女が死んだのが信じられないオオカミ少年の気持ちもわかるけど、その後も嘘をつき続けるのはおかしい。
オオカミ少年が彼女の死を悲しんでるとしたら、尚更」
私はゆっくりと宥めるように言った。
少年は少し傷ついた表情をした。
「……そうかもね。じゃあいい意見交換だったってことだ。………じゃあね」
少年は私に手を振る。私は頷いて席を立った。
また明日も、少年の家を訪ねよう。
私はそう思って、軽い気持ちで帰路を辿った。
その淡い決意は、明くる朝起きてすぐに崩れ去ったのだが。
家の外が騒がしかった。私は何が起きたのか知りたくて、着替えてすぐに飛び出した。
「どうしたんですか?」
向かいの家の農夫に訊くと、どうやら少年の家に盗人が入ったらしい。
いかがでしょうか………
ぜひ次話もお楽しみに。