オオカミ少年
なぜか完結になっていたのであげなおしました。
すみませんでした。
悪いのは大人かも知れないという異端の選択肢を突きつけられて私は驚いた。
「オオカミ少年が嘘をつくのが悪いんじゃないの?」
少年は笑った。
「君は一般に呑まれたんだね」
「どういうこと?」
「もし、オオカミ少年が嘘をつく悲しい理由を知っていたら?
もし、この童話自体が『嘘しかつけない哀しい少年の悲劇』だったら?
君は同じことを言える?
例えばこんな話だったら?
オオカミ少年には恋人がいたんだ。その恋人は病気だった。でも本人はその事を知らなかった。だからオオカミ少年は嘘をついたんだ!彼女を悲しませない為に、懸命に嘘をついた!彼女が死んでしまった後もオオカミ少年は嘘をついていた。何でだと思う?」
少年は一気にまくし立てて、一呼吸入れてからまた語り始めた。
「彼女が生きてるって信じたかったんだよ、だからオオカミ少年はずっと『彼女のため』と言って嘘をつき続けた!ただ羊の世話が退屈だっただけじゃなかったんだ!
ねぇ、こんな話だったら?もしそんな童話だったら?
君は同じこと、言える?」
私は言葉に詰まった。
目の前の少年が目に涙をいっぱい溜めていたからだ。
「………ごめんなさい、私、そんなつもりじゃ……泣かないで………」
少年は笑った。涙は頬を伝っていた。
「泣いてないよ?これは欠伸の余韻」
「……でも、嘘は悪い」
今度は私が語る番だ。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
まだまだ物語は続くので、ぜひ()