1 いつの間にか超好みの貧乳さんの傍にいた
「くっ!よもや緑炎のエメラルドまで倒されるとは!不甲斐ない!!」
は?
緑炎のエメラルド?
何か聞いたことあるなぁ…
何だっけ?
というかここは何処だ?
「ぬぅぅ!やはり最初に紫巌のアメジストが殺られた時に、残りの四天王全員で奴を抹殺すべきだったのだ!」
紫巌?
アメジスト?
それってたしか土の奴…
土?
我ながら、また唐突なキーワードだなぁ…
えーっと、何だっけなぁ…
ここまで出てる気がするんだけど。
思い出せない…
もう一個ヒントが欲しいな。
他に出来ることも無いし、このお姉さんの話に聞き耳をたててみるか…
「それもこれも、青天のブルートパーズの『これは暗黒神より与えられた試練ですわ。各々別に対処致しましょう』などという口車にのった我ら四天王全体の失態だ!」
あぁ!
思い出した!
そのフレーズに覚えがある、青天のブルートパーズね。
いたいた。
風のやつね。
一番弱くて、しかも攻略がチョロいっていう。
典型的なお嬢様キャラで、四天王の最後に倒すのが、公式の攻略本では定石だったよな……
でも、コイツを後回しにすればするほど、四天王とのシーンが全体的に味気ないものになるという鬼仕様。
クリアだけを目指すぬるゲーマーならともかく、普通のゲーマーからは、わけわからねぇって言われてたなぁ。
だから、一番波瀾万丈感が感じられるルートをループしまくって探したのも良い思い出……
攻略サイト?
素晴らしいシナリオだってわかってるんだから、全てを事前情報無しにクリアしたに決まってるでしょう。
って言うか、今話してるこの子が、一番愛してたガーネットってこと!?
ゲームの2D感が無くなると、雰囲気が随分変わるなぁ…
相変わらず滅茶苦茶可愛いけどね。
「残るは我、碧雲のガーネットのみ。魔王様の四天王を名乗っておきながら不甲斐ないにも程がある!……っ。……あーぁ。はぁ、……もう逃げよっかなぁ。鬼畜勇者の慰みものになるのなんて、絶対ヤダしっ!」
おいっ!
口調が崩れてんぞ!
いきなりイジケ出すんじゃない!
ガーネットは、誇り高き騎士なんだから、そんな情けない姿、ゲームでも見たことないわ!
あぁ……
隅っこにいってしゃがまないでよ。
どんだけ不安なんだよ!
まずは背筋は伸ばそうぜ!
「くっ!さっきから勝手なことを!あのなぁ!この魔導水晶の映像を見てから、ものを言え!こんな戦力差をどうしろと言うんだ?……全然勝てっこないじゃん……やだなぁ。慰み物にされちゃうのかなぁ……」
は?
だって最初にアメジスト、次にブルートパーズ、さっきエメラルドって事は……
全てのルートの中で最強を誇るデマントイドガーネットちゃん降臨のルートじゃん?
めちゃくちゃ強くて、ゲームの時は最高レベルの勇者ですら、勝率1割切ってたよ?
頑張れば負ける要素皆無じゃん!
怖いのはわかるけど、壁の穴を広げちゃダメでしょ?
どんどん欠片が積もってるよ。
「……まぁな。確かに我もパワーアップは果たした……デマントイドを冠するに相応しい力を得た……だが!……全く足りん!詳細は映像を見てから言えと言っている!私だけじゃなくて、あっちの様子も見てよ‼ふえぇぇ、優しくはしてくれないよね……痛いのかなぁ。こんな感じ?それともこう?こんな角度だったら泣いちゃうッ!!」
何か、ガーネットちゃんと会話が成立してるのが気になるけど…
僕って幽霊みたいな状態なんだよね。
まぁ、それは置いといて。
あれ?
何でコイツらが、勇者と一緒に歩いてんの?
あり得ないでしょ?
ゲームシステム破壊されてんじゃん!
あと、ガーネットちゃん?
やめてあげてよ……
城壁さんが穴だらけだよ?
楽しんで頂ければ幸いです。
あと2話おつきあい下されば喜びます。