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うんこちゃん

拙い文章ですがよろしくお願いします。


「うんこぉおおおおおおおおおおおおお!!!」


 声がちぎれそうなほどの雄叫びが僕が今から入ろうとしていた教室から聞こえてきた。


「あとおしっこぉおおおおおおおおおおおおお!!!」


 どうやら尿意も便意も限界をとうに超えているようだ。

 僕は今日からこの学園で勉学に励む予定だったが、扉の向こう側にいる一人の生徒は便座がないことに悩ませているようだった。

 しかしこうも騒がしいといざ呼ばれたとき入りにくい。

 それが『うんこの人』の狙いだとしたらなかなかの策士である。

 うんこちゃん(うんこの人)の荒い息づかいが教室の外にまで聞こえてくる。マジだ。このままだとマジで漏らすぞ。


「うぅ……うんこぉ…………」


 この国の言語は『うんこ』なのかもしれない。僕も今から自己紹介するまでにこのうんこ語を使いこなせるようにしないとうんこ。


「大丈夫? トイレ行ったほうがいいんじゃない?」

 どうやら見かねた女子生徒がうんこちゃんに話しかけたようだ。言葉はうんこ以外も通じそうだ。


「うんこ」


「せんせー」


 うん。気持ちはわかる。言葉が通じないのなら先生に頼っても仕方ないよね。しかし先生は……。

 数秒の沈黙。

 この沈黙で先生もうんこちゃんに関わりたくないのが窺える。頑張って先生、僕もう教室に入りたいよ。

 先生に思いが伝わったのか先生は重い口を開ける


「こらっダノン! 今から転校生が入ってくるんだから静かにしなさい!」


 先生は至極まっとうに当たり前のことを当たり障りなくうんこちゃんに説く。


「漏れるぅううううううううううううううう」


 しかし先生の注意など聞く耳持たないと言ったように唸るような声をあげる。いや、抑えるのに必死で回りの声が聞こえていないといったところか。


「先生、出ます! 私もう出します! ここで出します! いいですか?」


「「「出していいわけあるかぁあああ!!!」」」


 その発言に教室内からは阿鼻叫喚な猿のような喚き声が湧き上がる。とんでもないところに転校してしまったな……。もうこのままバックレてしまいたい。それか芳香剤でも買って来るかな? 

 教室内の喧騒は続いている。聞いているうちになんだか祭りを連想させるようで、楽しくなっている自分に気付いた。

 先生も僕と同じ気持ちなのか調子に乗ったような明るい声色で言い募る。


「さっさとトイレにいっといれ!」


 うわぁ。この先生、どさくさ紛れて何を言っているのだろうか? 心なしか教室の扉の隙間から涼しげな空気を感じる。

 これにはさすがのうんこちゃんも蔑んだ目つきでこう言った。


「先生。それはナイスなギャグとは言わないっす」


 お前もかい。


お読みくださりありがとうございます。

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