リリの思い。
「貴女の使い魔は「妖精」でしょう?」
「うん…うん。そう、みたいだね…」
「ちょっとご主人!?なんでそんな微妙そうな顔するんですか!?せっかく私が「好きな人結ばれますように」っていうご主人の願いを聞き届けるために使い魔になったっていうの…むぐっ」
全力で使い魔の妖精の口をおさえるリリ。
「黙って。」
「はい。」
…だいぶおしゃべりな妖精ね。私の中での妖精のイメージが崩壊したわ。
そしてなにやら気になる発言を妖精さんがしたような。
「リリ、貴女もしかして…」
「な、何かなカーリア。」
怪しい。すっごく動揺して目が泳いでる。
「何か…私に隠してること、なぁい?」
「え、えと…何のこと、かしら…?」
少し威圧を加えてリリに問うと、彼女は頬を赤くしはじめた。これは…
「リリ、貴女…」
「は、はいっ!」
「殿下のこと…好きなのね?」
「…え?」
「やっぱりそうよね!そうじゃないと妖精が使い魔になるわけなんてないもの!」
私が自信たっぷりで言い切ると、彼女はどこかあきらめたかのようなまなざしで私を見ていた。
あれね、「あーあ、ばれちゃった。」みたいなやつよね。うん。妖精が現れた瞬間に私はすでに感ずいていたのよ。そしてさっきの妖精さんの言葉で確信を得たわ。
「なぁんだ。先に言ってくれれば殿下なんて貴女に譲っていたのに。妖精を使い魔にして私に気づいてもらおうとしたのね。リリったら~。」
「ち、違うわカーリア!確かに私は好きな人と結ばれることを望んだけれど、好きなのは殿下じゃない!」
あら、珍しく本気で言い返してくる。これは本当のことを言ってるときの顔ね。ふむ。
「冗談よ、リリ。貴女は初めて殿下に会ったときもぜんっぜん反応しなかったものね。ほかの令嬢方はきゃーきゃー言っていたのに。」
「だから好きなのは殿下じゃないんだってば!もう!カーリアのいじわるっ!」
やりすぎたかな~。リリがそっぽ向いちゃった。私の可愛い天使よ、機嫌を直して。
「ごめんってリリ。もうしないからこっち向いて?ね、あなたのかわいい顔を私に見せて…?」
この言葉は魔法だと思う。絶対にリリが振り向いてくれる言葉だから。
「も、もう。カーリアってば…わかった。許す。もう絶対にあんな事言わないでね?」
よし!私の天使のご機嫌が直る音がした(様な気がした)
「ええ、わかったわ。もう言わない。」
「よろしい。」
満足そうにうなずくリリは天使でしかなかった。可愛い。可愛いすぎるから…
「でも殿下は相当リリを気に入ってしまったみたいね。目がハートになってた。」
「あはは、そんなこともあったような…」
そう、殿下はリリに一目惚れしたのだ。そしてリリの使い魔が妖精だと知ったとたん「リリアナ嬢。僕と結婚してくれ」だって。現・婚約者の私のいる前で。
別に私のいる前でプロポーズをするのは別にかまわない。興味ないし。けど…
「リリ、別で好きな人がいるのよね?」
最大の問題はそこだ。代々妖精に選ばれた令嬢は王家に嫁ぐ。選ばれた者たちもそれが当たり前になっているので拒否しない。むしろ王家とのつながりを持てるのだ。拒否する理由などない。
しかしリリは平民でしかも好きな人がいるし玉の輿に興味があるように思えない。
「いる…けど、結ばれるわけないの。この思いは罪なの…」
「リリ?それってどういう…」
「罪なの!罪なんだけど、私はこの思いを隠し通せない。だから、今、言うね。」
「カーリア。私…私、貴女が、好きなの。友達としてじゃなく、恋愛対象として…!」
これでいいのか…?
すいません。ちょっと急ぎすぎました。また修正入れます