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努力の実る世界  作者: 選択機
第2章 ティンバー・ウルフローナ王国
97/406

第73話 冒険者の情報

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます


10/6 改稿あり 加筆あり

「まず最初の質問なんだけど、その着ている服って厚手の布の服だよね? 危なくない?」


「え? あぁ、狩りのクエストは10級からですので、今までは特に危険はなかったです」

 ナリッシュ君は、自分の服を見回す。


「へぇ~そうなんだ。ちゃんとしたクエストって数回しか受けたことないから知らなかった」


「え? じゃあ、どうやってランクを上げたんですか?」

 ナリッシュ君が首をかしげる。


「魔物倒せばすぐ上がらない? 常時クエストって言うんだっけ?」


「そんな事してたんですか? 魔物倒すのは、ギルドの蓄積ポイントが大きいですが、危険が大きくて新人冒険者だと止められますよ!」


 ん? 俺は止められてないんだけど・・・あ! 最初の報告でオーク倒したんだっけ・・・それでかな?


「魔物討伐が駄目なら、瓦礫運びとか?」


「門の周りの瓦礫運びですか?」


「そうそう、1回やったら完了通知もらえたし」


「ありえないですよ! 瓦礫を全部撤去しないと完了にならないはずです! 6人でやっても半年・・・いや、下手すれば1年かかりますよ!」

 ナリッシュ君が、興奮気味に早口で言う。


「そうだったんだ・・・マジックバッグに入れちゃえばって思って」


「マジックバッグが幾らするか解ってるんですか? 貴族の方でも持っていない人の方が多いんですよ!」

 ナリッシュ君はテーブルをバンと叩いて立ち上がり、大きな声で捲くし立ててくる。


「ギ・・・ギフトであるじゃない?」


「何を言ってるんですか! マジックバッグ化のギフトは、小人族を代表するギフトで、他の種族だと数万人に1人居るか居ないかの貴重なものですよ! そんな物があれば、僕だって・・・」


「落ち着いて! ナリッシュ君、落ち着いて」


「は! すみません、興奮してしまって」

 ナリッシュ君は、椅子に座りなおす。


「それじゃあさ、ナリッシュ君達は、冒険者ランクをどうやってあげたの?」


「知り合いのお店の店番です。1番確実で、暇なときに文字・計算なども教えてくれますので」


「やっぱり冒険者って、文字読めない人多いの?」


「読みだけなら半々ではないですか? 書く方は、たぶんもっと少ないと思います。クエスト報酬の計算が出来る人はもっと少ないと思いますよ」


 思った以上に識字率は低いらしい・・・計算となるとレア位になるのかもしれない・・・大丈夫なのか?


「思った以上に低いね。文字読めなかったり、計算できなかったりすると、騙されたりしない?」


「騙されますよ・・・いや、騙されたことがありますよ・・・」


「あぁやっぱり。今は読み書き計算は出来るの?」


「が・・・頑張っているのですが・・・その・・・」


「そっか~、それで、覚えたい?」


「そりゃ、もちろんです! ただ・・・習うお金がないのです」


「朝に子供たちに教えてるから、聞きに来ればいいんじゃない?」


「ですから、お金が・・・」


「いやいや、俺達は農奴の子供達に教えてるんだよ? お金貰ってるわけないでしょう?」


「そんな事もしてるんですか? もしかして、貴族様でいらっしゃいましたか?」


「そんなわけ無いじゃない。成り行きみたいな感じかな?」


「成り行きで、人に教えてるんですか? そんな事をしても何にもならないんじゃないですか?」


「その後の事は色々考えてるよ。それは置いといて・・・聞いちゃ不味いのかも知れないけどLvっていくつ?」


「良く聞かれますよ、Lv15です。身体を鍛えたりフロッグトードを狩って頑張ってあげたんです」


 あれ? Lvってすぐ上がるものじゃないのか・・・魔物を多く倒してるからか? 良く解らないなぁ・・・

 というか、魔物の名前がおかしいだろ!


「フロッグトードって? 魔物なんだよね?」


「知らないんですか? 川とかにいる蛙ですよ? 食べられるので人気が有りますが」


「一般食材ってオークとかじゃないんだね」


「はい? そんなわけ無いじゃないですか。いつでもそんなもの食べられる人なんて、お金持ちと貴族の方達だけですよ」


「へぇ~、そうなんだ・・・やっぱり、一般常識に欠けてるんだなぁ」


「あれ? さっき食べたお肉って、何のお肉ですか?」


「セントバードって知ってる? そのお肉」


「ええぇぇぇ!! 高級食材じゃないですか!! どうなっているんですか!? しかも、お代わりあるよって言ってませんでしたか!?」

 急に立ち上がり、椅子が後ろに倒れる。


「いや、落ち着いて落ち着いて」


「何を言って! ・・・ふぅ、何でもないです・・・なんか、常識が崩れていきますよ」

 ため息を吐き、椅子を直すと再び座る。


「そうなんだよ。それで聞いてるんだって・・・そうだ! 文字習う前に訓練? してるから参加してみたら? 朝早くてかなりきついけど」


「いえ、僕は皆さんのように魔法使えないので」


「魔法じゃなくて格闘の訓練ね、そのうち武器もやるつもりだよ」


「え? でも、魔法使いなんですよね? 意味無いんじゃ・・・」


「魔法は万能じゃないよ? 効かない敵が現れたらどうするの?」


「それは・・・」


「でしょ? 獣人の方が身体能力強いっていうのは知ってるけどさ、走ってみて解ったでしょ? 俺達に体力があるって・・・まぁ、物は試しと思って訓練受けてみて。止めるなら止めてもいいんだから」


「はい、明日の朝に御邪魔します」


「それでさ、冒険者のランクって強さと比例するの? 酒場近くでランクを自慢してる人がいたんだけど」


「う~ん・・・そうですね、ある程度は比例します」


「ある程度?」


「はい、6級までは特別なことをしなくても上がるんですが、5級以上になると話は別です」


「5級に上がるには試験があるとか?」


「試験ですか? そうですね、そういえなくは無いのですが・・・」


「何か特別な敵を倒すとか? 迷宮を攻略しなきゃ駄目とか?」


「これから言う事は、聞いた話なので合っているか分かりません。それでもいいですか?」


「もちろんいいよ」


「はい、分かりました。カナタさんが先程言ってた通り、特別な魔物・・・グランドワイバーンを3体討伐するというものなんです! しかも、全員6級以下で」


「グランドワイバーン? って、空飛ぶワイバーンと違うの?」


「はい、地面を走るワイバーンといってましたよ。ああ、でも飛べないことも無いと聞きました。飛ぶと下にすぐ落ちるみたいですが」


「へぇ~、強さはどんなもんなの?」


「グランドワイバーンは5級の敵ですので、1体なら6人居れば何とでもなるんだそうです・・・ですが、グランドワイバーンは群れで行動するらしく、1体ずつ狩るのは難しいんです」


「ふ~ん。なるほどね、勉強になったよ」


「そうですか、お役に立てて良かったです」


「じゃあ、2人を連れてきて貰っていい? お願いしたいことがあるんだけど」


「え? お金はありませんよ?」


「違う違う、簡単な事だよ。しかも手間はそんなにかからないからさ」


「そうですか? じゃあ、呼んできます」


 ナリッシュ君が呼びに行くと、キッチンの方からぞろぞろと皆出てきた。


「うん、皆来たね。じゃあ、早速だけどいいかな?」


「はい、何でしょうか?」


「今日の借りを、皆の身体で払って貰います!」


「「「え?」」」

 3人がそう言いながら後ずさりし始める。


「あはははは、冗談はさておき」


「冗談だったんですか・・・ふぅ」

 ナリッシュ君が、かいてもいない汗をぬぐう。


「男色じゃなか・・・残念です・・」

 カリッシュさんが、小声でポツリと呟いたのを聞いた・・・まさか・・・腐っているのか?


「本当に貞操の危機だと思いました」

 ミリアさんがへたり込んで言う。


「ごめんごめん。でね、お願いなんだけどさ・・・もし、俺達の噂している人がいたら、大げさに話してほしいんだ」


「はい? 秘密にして欲しいとかではなくて?」

 ナリッシュ君が不思議そうな顔をする。


「そうそう。例えばね、1万匹も魔物を一瞬で倒したとか、リーダーは身体が大きくて4m位は有りそうとか、角生えてるとかさ、色々尾ひれをつけてほしいんだけど、いい?」


「意味が分かりませんが、そのくらいならいいですよ」


「ありがとう、助かるよ。じゃあ、遅いから送ってこうか?」


「いえ、大丈夫です。ちゃんと僕が送り届けます」


「丸腰じゃ恰好が付かないから、武器貸すけどいつも何使ってるの?」


「え? フェリングアクスですけど・・・」


 よし、全く解らない! すぐにタクミ君を呼び、倉庫から持ってきてもらった。


「なんか木こり用の斧に見えるね」


「その通り、木こり用の斧ですよ。刃が薄いので扱いが難しいんです」


「え? そうなんですか!? だからあんなに難しかったんですね。あぁ・・・そうだった、ミリアに借りたんだった・・・ごめん」

 ナリッシュ君がミリアさんに頭を下げる。


「いいよいいよ、仕方がないし。後でおねぇちゃんに謝る時に一緒に謝ってね」


「うん、了解」


 そんなこんなで、3人は夜遅くに帰っていった。


「すみません、カナタさん。何で3人にあのようなお願いをしたのか聞かせてください」

 ケイタ君がメガネをクイッと上げながら言う。


「え? うん、了解」

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