表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
努力の実る世界  作者: 選択機
第2章 ティンバー・ウルフローナ王国
96/406

第72話 晩御飯

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます


10/4 改稿あり 加筆あり

 しばらく走ったら門へと到着する・・・オークが数匹いたが、会わない様に急いで駆け抜けた。


「到着! オンブで走って来ちゃったけど、3人は大丈夫だった?」


「「「ありがとうございます」」」


 安心したのか、またも『くぅ~』とおなかの音がなる。


「すみません、あの・・・安心したら・・・」

 ミリアさんが、顔に手を当てて下をむく。


「晩飯ご馳走してやる、うちに来い」

 タダシさんが、屋敷を指差しながら言う。


「いいかしら? カナタ君」

 ヨシさんが、笑顔で言う。


「ええ、いいですよ。ナリッシュ君、食事を奢る代わりに冒険者の事を教えて貰える?」


「え? もちろん構いませんが、いいんですか?」


「いいよ、付いてきてね」


「解体場開いてませんかね? 取りに行きたいですが・・・」

 リョウタロウさんが、ポツリと呟く。


「あぁ、そうですね。じゃあ、急いで2人で行ってみましょうか! みんなは先に帰っててください」


 2人で解体場に向かう・・・思いのほか色々狩ったから、さっさと解体を頼んじゃいたいしね。


「お! 珍しいな夕方に来るなんて」

 エミルさんが、笑顔で迎えてくれた。


「あ、直接来ちゃったんですよ。解体は終わってますか?」


「ああ、終わってるぞ・・・から揚げを思い出すなぁ・・・」

 エミルさんが、こちらをチラチラ見る。


「はいはい、解りました。ふぅ、お皿はありますか?」


「これでもいいか? 肉を包む葉っぱなんだが」


「ただ、エルセントバードの肉なので、みんなには内緒ですよ」



「え? ほんと? いいの? やった!」

 エミルさんが、小躍りして喜ぶ。


「すぐにしまって下さいね。みんなに気が付かれて取られちゃっても、追加はしませんからね」


「もちろん、お酒は・・・」


「それは、ダメです! リョウタロウさん、から揚げとフライドポテトを入れてあげてください」


「解りました。少し多めに出しますね」

 リョウタロウさんが、から揚げとフライドポテトを木の葉の上に置いて行く。


「いいね! 話が解るね! これで子供も旦那も喜ぶよ」


「あれ? エミルさんって、結婚してたんですか?」


「言ってなかったか? ああ、そうか・・・食事会のときに挨拶できなかったんだっけ」


「そうですか、そりゃ残念ですね。エミルさんに、もう愛を語れないなんて・・・」


「愛なんて語り合ったことも無いだろ! 全く」


「はははは、その通りですね。ああ、解体をお願いしてもいいですか?」


「腐る物なら冷蔵庫で預かるが・・・」


「今日はおしまいですか?」


「ああ、悪いな」


「それじゃあ、明日来ますよ」


 食べられる物(鶏がら含む)と魔石だけ受け取ると、そのまま屋敷へと帰りキッチンへ入る。


「ただいま~、お肉取って来ましたよ~」


「おう、助かる・・・簡単にガーリックバターチキンでも作るか」

 タダシさんが、何かの生地を捏ねながら言う。


「手伝いますか?」


「おう、助かる。こうなると、本格的に米がほしいな・・・無いとみりんも作れないしな・・・おっと、カナタは片栗粉を鶏肉に薄くまぶしてくれ・・・後はバターで皮をパリッと焼いたらタレを絡めて完成だ」


「了解です・・・って、俺が作るんですか?」


「任せたぞ。儂はピザを焼こうと思ってな、大人数だと色々出したいだろう?」

 タダシさんは、思いっきりの笑顔でこっちに言う・・・仕方がない、やるか。


 捏ねていた生地をセードルフ、ミランダに作ってもらい、タダシさんはピザ生地を薄く延ばしていく。

 料理に関する事になると、タダシさんは異常なほど器用だよなぁ。


 そして、ヨシさんが女性全員を呼んで、色々と作り始める・・・アップルパイとアンパン、カナッペ(蒸し鶏、ハム、野菜などを薄く切ったフランスパンに載せたもの)など。

 甘いものが多いな・・・御土産に渡すのか?

 カリッシュとミリアも手伝わされてる・・・ピザやカナッペに材料を載せるだけだけど。

 だから、全員呼ぶと狭いですって・・・前もそうなったじゃないですか・・・そう思っても何もいえない。

 男達はジャガイモの皮と芽を取っている・・・ナリッシュまで手伝わされてる・・・すまん。

 手伝いが一段落したのか、席に戻っていく。


 女性達が席に戻って談笑している時に、フランソワーズ様が来る。


「ただいま帰った! ご飯は出来ているか?」

 フランソワーズ様が大声でダイニングに入ってくる。

 何処の亭主関白の人ですか? グロスさん、止めようよ・・・


 ナリッシュ達が椅子から転げ落ち、壁際に逃げはじめる。

 何? お化けでも居た? 怖いの苦手だからやめてよね、もう! オカマ口調はもういいか・・・


「しょ・・・将軍閣下」

 ナリッシュ君が、震えながら言う。


「む? この者たちは何だ?」

 フランソワーズ様は、首を傾げて言う。


「今日知り合ったんです。一緒にご飯を食べようと思って・・・ちょっと待っててください、もう少しで出来上がるので」


「うむ、そうか解った」

 フランソワーズ様は、興味を失ったように頷く。


「皆さん、大丈夫ですよ、座っててください」

 ケイタ君が、驚いている3人に声をかける。


「しかし・・・どうして・・・」

 ナリッシュ君が震えながら呟く。


 そんな声を聞きながら、4皿にも及ぶキャベツの千切りの隣にガリバタチキンを大量に載せる。

 鉄のフライパンって、難しいな・・・タレが飛んで手が火傷しそうだったよ・・・

 大皿を運んで、テーブルに並べていく・・・ナリッシュ君たちは、ゆっくりと椅子に戻る。


「フランソワーズ様、他にもたくさん来ますから色々食べてくださいね」


「うむ、食べてもいいのか?」

 フランソワーズ様は、フォークとスプーンを持ち自分のお皿に取り分けながら聞く。


 驚くほど素早く自分のお皿に料理を確保したな・・・まだまだいっぱいリョウタロウさんのマジックボックスにあるから大丈夫なのに。


「おう、先にみんなで食べててくれ。皮を剝いてくれたジャガイモはこっちに持ってきてもらえるか?」

 タダシさんの大きな声がキッチンから聞こえる。

 タクミ君とケイタ君が剝き終わったジャガイモを運んで行く。


「タダシさん、色々出しちゃっていいですか? 折角大人数なんですから」

 リョウタロウさんが、マジックボックスを指差しながら言う。


「おう、リョウタロウ出してくれ。ケイタ、タクミ、ここにある皿箸フォークも持って行ってくれ」

 タダシさんが、色々指示している。


 タクミ君とケイタ君が箸などを持ってくる・・・準備も終わり、みんなで食べることに。

 食事が進むが、3人は全く手をつけていない・・・やはり貴族と平民では差があるのかな?


「あれ? 3人共、大丈夫? あまり食が進んでないけど」


「あ・・・あの、テ・・・テーブルマナーが解らないのです」

 ナリッシュがそう言うと、他の2人も同じらしく頷く。


「そっか、えっと、基本は変わらないと思うんだけど、大皿に入ってる料理は大皿にあるフォークとスプーンで自分のお皿に分けて、パンとピザは手で食べていいよ」

 料理を指差しながら言う。


 いつもは直箸なんだけど、お客様が来てる時には取り皿での方がいいと思ってやったんだけど、逆効果だったのか?


「いえ、見てればそれは解ったんですが・・・その、将軍閣下とご一緒させていただけるなんて・・・」

 ナリッシュ君は、チラチラとフランソワーズ様を見ながら言う。


「ああ、なるほどね、フランソワーズ様の事は気にしなくていいよ。いつも晩御飯を一緒に食べてるから。折角の料理なんだから美味しく食べないとね」


「うむ。私も冒険者として活動することがある。なので、今は冒険者として接してくれ」

 フランソワーズ様は、料理を食べながら喋る。


 せめて、食事の手を止めて喋って下さい。


「ね? フランソワーズ様は優しいから大丈夫だよ」


「いや、しかし・・・」

 ナリッシュ君は、頭を抱えて言う。


「いいから、さっさと食っちまえ! 大きくなれねぇぞ」

 タダシさんはそう言うと、3人の後ろに回り無理やり料理を皿に載せる。

 3人は互いの顔を見合わせてから、意を決したように一口食べる。


「美味しい・・・ふわっと食欲を掻き立てる香りが口一杯に広がる。しかも、お肉が柔らかくてジューシーで・・・」

 ミリアさんが、食レポのように細かく言う。


「これってパンなの? 外はサクッとしてるのに中はフワッとして、甘い・・・」

 カリッシュさんは、ナリッシュ君の肩をたたきながら言う。


「いろんな具材が載ってるのに一体感がある味で、これって、この赤いのってトマトですか? 僕、苦手だったはずなのに・・・」

 ナリッシュ君が、ピザを凝視しながら言う。


 何この子達表現上手・・・TVとかで学んだとかそんな事は無いはずなのに・・・

 一口食べると、食事が進む進む・・・あっという間に、全員のお腹の中に入ってしまった。


「どうだ? 美味しかったであろう? このような食事などそうそう味わえんぞ!」

 フランソワーズ様が、ドヤ顔で3人に話しかける。


「はい、こんな美味しいものが食べられるように、冒険者のランクを上げます!」

 ナリッシュ君は決意した様に言う。


「そうだ! うまいものを食べるためには強くならねばな!」


「はい! 頑張ります!」


 えっと・・・美味しいものを食べるために命を賭けるって漫画かよ!


「ナリッシュ君、冒険者のことを聞かせてもらっていいかな? 2人は他の人と色々話してきていいからね」


 2人が返事をすると、ヨシさんに連れてかれた・・・料理するのかな?


「はい、もちろんです。ですが、僕は冒険者になって3年目で、ランクが10級になったばかりなので余り詳しくないですよ」


「え? 同じランク?」


「え? そうなんですか? あんなに強いのに?」


 同じランクだが、俺なんかよりも長く冒険者をしているみたいだから、いろんな話を聞けるだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ