表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
努力の実る世界  作者: 選択機
第2章 ティンバー・ウルフローナ王国
94/406

第70話 牛肉

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます


9/28 改稿あり 加筆あり

 急いで目撃場所へと向かっていく・・・そこは前回、加減を失敗した草原の端の方だった。


「ここら辺が目撃場所ですか?」


「そうです。あっちの方に見たことない魔物の反応と、ラネアの反応もあります。その奥にはオークの反応もありますが、少し離れていますので特に問題ないと思います」

 リョウタロウさんが、指差しながら説明する。


「なるほど、魔物が結構集まってるんですね~。魔物の数が多いと、魔法の威力の加減が難しいんですよね」


「あの~カナタさん、試したいことがあるんですけどいいですか?」

 ミズキさんが恐る恐る手を上げて言う。


「ん? 何ですか? ミズキさん」


「全部の魔物を纏めて気絶させて、トドメは別の魔法にしてはどうでしょうか?」


「広範囲の魔物を気絶させる魔法なんてあるの?」


「えっとですね、まずみんなで魔物の群れに魔法で水をかけます。その後で弱いサンダーを撃って気絶や麻痺させて、トドメは土魔法と言うのはどうでしょうか?」


「なるほど! いいですね! やってみましょうか! 解ってると思いますが、水は出来るだけミネラル分が多い水をイメージして下さい。簡単に言うとミネラルウォーターとか」


作戦が決定し、魔法の撃ち易い高台を探すが見つからない。


「地面で放ちますか? 高台がないですし・・・」


「水でぬらすので出来れば高台に・・・」

 ミズキさんが、呟くように言う。


「それでは、木の上はどうですか?」

 ケイタ君が、木を指差して言う。


「木の上? 葉っぱや枝で、魔物見難くならない?」


「木魔法で、枝とかは少しですが動かすことが出来ますし。リョウタロウさん、すみませんがロープを出して貰っていいですか?」


「はい、解りました」

 リョウタロウさんはそう言うと、かなり細い黒いロープを出してくれる。


「見て解るとおり、カーボンナノチューブのロープになります。伸縮自在がかかってるロープなので、伸ばしてから木2本の間に渡すようにかけて縮めると、橋のようになると思います」


「なるほど。じゃあ、やってみようか」


 端っこにある木に登り、ロープの端っこに石を巻きキャッチボールの要領で渡す。

 そんな作業をしているとリョウタロウさんが、オークが向かってきていることを察知する。


「オークは全部で・・・15匹位でしょうか? 重なっちゃって正確な数字がわかりません、どうしますか?」


「そうですね~じゃあ、足場は俺とケイタ君でやっておくから、みんなで倒してきちゃってください」


「解りました。戦闘中に来られたら困りますもんね」


「オークはウィンドカッターでも倒せると思いますから、やり過ぎないようにしてくださいね」


「解っています・・・が、期待はしないで下さい」


「網目状に吹き飛ばすとか止めてね・・・まじで」


「ちっ・・・そんな事はしませんよ」


「舌打ちしたよね・・・今、舌打ちしたよね?」


「聞き間違いじゃないですか? 実験しようなんて考えてませんって」


「止めてね、ほんと・・・実験するのなら食べられない魔物でしてね」


「それはもちろんですよ!」

 ミズキさんからビックリする位のさわやかな笑顔が返ってくる・・・なんか怖い。


 皆が狩りに向かった後にも作業を行う。

 最終的に吊橋のようなものが出来上がり、人が上ってみても揺れないし、がっしりしていた。

 木魔法で枝などを動かし草原にいる牛・・・いや、バッファローの群れをしっかりと確認できることを確認する。


「なんか牛と蜘蛛が睨み合ってるね。牛の大きいのがいるのに何で戦わないんだ?」


「そうですね。ラネアスパイダーにも大きいのがいますのでその影響じゃないですか?」


「本当だ! でかいだけかな? レアかな?」


「どうでしょうか? 後で聞いてみるしかないでしょうね」


 そんな話をしていると、皆が帰ってくる。


「みなさん、おかえりなさい。どうでした?」


「一回り大きいオークがいました。上位種では無いかと思います」

 リョウタロウさんが笑顔で答えてくれる。


「そちらもですか、こっちもラネアスパイダーの一回り大きいのを見つけたんですよ」


「こんなに上位種やレアって頻繁に現れるものなんですかね?」


「まぁ、素材が手に入るんでいいんじゃないですか?」


「そうですね。ブラックビーフも早速やっちゃいましょうか」

 リョウタロウさんがそう言って指差す。


 その後、吊橋に全員乗っかり、にらみ合っている魔物を見る。


「多いですね・・・なんか気持ち悪い・・・ゾワゾワします」

 ユカさんが自分の両肩を掴んで顔を引きつらせて言う。


「早速やっちゃおうよ~、芋虫を見ている趣味は無いし~・・・マジキモイ!」

 アカネさんが、顔をゆがめて言う。


「了解。ミズキさん、サンダーは1人で大丈夫?」


「はい、大丈夫です。広範囲に散らばるようにしますので」

 ミズキさんが、気負った様子も無く言う。


「じゃあ、みんなは水をかけるのでいいね? さっきも言ったように、出来るだけ純水じゃなくミネラル多いのにしてね」


「え~? 解んないから~・・・さっさとやっちゃおうよ~・・・マジキモイ」

 アカネさんが魔物を指差して言う。


「はいはい、じゃあウォーターボールを広範囲にかけましょう。3、2、1、ウォーターボール」


 魔物達は睨みあっているので、ウォーターボールはあまり気にされずに済み、ほとんどびしょ濡れになってるように見える。


「こんなもんでいいかな? ミズキさん、お願いして良い?」


「はい、サンダースパーク!」

 ミズキさんは頷くと魔法を放つ。


 魔物の群れ全体にバチッと静電気にも見える電気が走る。


「でっかいのだけダメっぽいですね。麻痺に耐性でもあるんでしょうか? 動きは鈍くなってるようですし倒しちゃいますね、ストーンスピア!」


 2本の槍がでかい魔物2匹を串刺しにする。


「他の魔物たちは気絶しているだけっぽいから~トドメをさそ~う! キモイし~」

 アカネさんが指差して言う。


 気絶してるだけ? 何で魔物の状態が分かるんだ? いや、考えるのは後で好いか。


「うん、じゃあ芋虫以外のトドメを、芋虫は気絶から回復したら糸取れると思うし」


「そうだね! 糸は欲しいね! アカネちゃん、悪いけどいいかい?」

 アヤコさんが苦笑しながら言う。


「はぁ・・・アヤちゃんに言われたら何も言えないじゃ~ん。しょうがないなぁ~・・・回収はカナちゃんとかでやってね~」

 アカネさんがため息を吐き言う。


「うん、解ってるよ。サポートお願いね」


「気絶から回復した魔物がいたら~、倒しちゃうからね~」

 アカネさんが、魔物を指差して言う。


「うん、お願いね。下には男だけで行きましょうか、さっくり止めを刺してさっさと回収しましょう」

 吊橋から降りて、走って向かう。


「思いの外、地面がぬかるんでるね」


「そうだな、こんなことなら長靴が欲しかったな」

 ショウマ君が、靴を見ながら言う。


「そうだね、長靴じゃなくても革靴頼もうか。色々行かなきゃ行けなくなると思うから、今の運動靴じゃちょっとね」


「ああ、もう泥だらけだな・・・」


「じゃあ、さっさと魔物の頭をつぶして回収して帰ろう」


「おう! 了解だ!」


「芋虫の間にいる蜘蛛は俺が回収してくるから、皆は牛とかをよろしくね」


 手分けをして、頭に槍で止めを刺して回収していく。

 今回はだいぶ上手くいったな、モンスターの損傷も殆どないし・・・芋虫も死んでるものはいない気がする・・・繭になっているものは回収しておくか。

 倒した全部の魔物を回収し、ラネアクロウラーが気絶から回復するのを待つ。


「アカネさん、何で魔物が気絶してるだけってわかったの?」


「え~? 何となく~? 魔物を見ると大体わかるじゃ~ん」


「普通は解らないよ? 動物の心の効果なのかな?」


「ん~? そうなの~? 便利だしいいんじゃな~い?」


 気絶から回復し、もぞもぞと動き出し糸を吐き出すラネアクロウラーたち。


「おっと、そろそろ回収しちゃいましょう。リョウタロウさん、いいですか?」


「え? あ! はい、いいですよ」


「どうしたんですか? ぼーっとして」


「あちらから人が来ます。冒険者だと思いますが、かなり遠いです。急いでこちらに向っているようですが、遠すぎて詳細はまだ不明です」

 リョウタロウさんが指差しながら言う。


「あらら、じゃあ、回収急ぎましょう」


 身体強化のギフトと魔法を使い、糸を回収しリョウタロウさんに渡していく。


「やはり、あっちの方から真っ直ぐこちらに向って来ます。モンスターを引き連れてるみたいです」


「了解! 回収作業は1人で大丈夫ですか?」


「はい、大丈夫です! 皆さんは、行って来て下さい」


 リョウタロウさん1人残すと言うと、タダシさんとヨシさんが残ってくれることになった。

 やはり1人だと何かがあった場合に怖かったから、残ってくれて助かったな。

 リョウタロウさんが言っていた方向へ行くと森との境に出る。そして、若く見える獣人の3人PTが蟻に追われていた。

 全員武器すらも捨てて、必死に逃げてくる。


「逃げろ! ジャイアントアントだ! 追われてるぞ!」

 男の冒険者の大声がこちらに聞こえて来る。


「貰ってもいいか~い?」

 俺は、とりあえず男に聞いてみる。


「何でも良い! 早く! 逃げろ~!」


「ねぇねぇ、蟻って食べられないよね? どうなんだか解る?」

 色んな事に博識のケイタ君にたずねる。


「いえ、全く解りません。蜜蟻は食べれると聞きますが、魔物なので肉食だと思いますし・・・食べるんですか?」

 ケイタ君は、こちらを向き聞いてくる。


「いや、食べたくないけど・・・って、凄く多くない? サンダーでやっちゃおうか」


「待って下さい! ウィンドカッターの方がいいです。森が燃えちゃいます」

 ミズキさんが、すかさずこちらに言う。


「そうだね、了解。3人の後ろは俺とショウマ君、ケイタ君で倒すから、皆に当てないようにしてね。左右に分かれたりして射線を取るとかさ、いい?」


 全員了承してくれ、俺たち3人は冒険者のもとへ駆けて行く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ