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努力の実る世界  作者: 選択機
第2章 ティンバー・ウルフローナ王国
91/406

第67話 大進行の前兆

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます


9/17 改稿あり 加筆あり

 次の日の朝、いつもより少し早めに起き身体の柔軟をして、ダイニングへと向かう。

 ダイニングは、朝なのに修羅場になっていた・・・


「おはようございます」


「おう、おはよう」

 タダシさんが、こちらに気が付き挨拶を返してくれる。


「「おはようございます」」

 ミランダとセードルフが、同時に頭を下げる。


「ほらほら、手を止めない! カナタ君、おはよう」

 ヨシさんが手をたたき、2人に声をかける。


 キッチンの中の3人に「おはようございます」といい、手を振っておく。


「大変なことになっていますね」


「ああ、そうだな。カナタ、リョウタロウを起こしてきてくれ。早起きしてくれるように頼んだんだが、起きて来なくてな」


「はい、解りました」


 何となくやりたい事は解るな。食材が痛まないうちに料理して、マジックボックスにしまうんだろう。

 リョウタロウの私室に着き、扉をノックする。


「リョウタロウさん! タダシさんが呼んでますよ! リョウタロウさ~ん」


「え? 何か? あ!! おはようございます! 今起きました! すみません」

 リョウタロウさんの私室の中から、声が聞こえてきた。


 近くにあるショウマの私室の扉が開き、珍しく眠そうなショウマ君が出てくる。


「おはよう・・・ふぁぁぁ・・・はやいな」

 ショウマ君が、出てくるなりあくびをする。


「あら、ごめん、起こしちゃったね。タダシさんがさ、何かあった時のためにってことだと思うんだけど、一気に料理しちゃってるみたいなんだよね。その後マジックボックスにしまうみたいでさ」


「なるほど、そうか・・・なにか手伝うか?」


「タダシさんに聞いてみないと解らないけど、喜ぶと思うよ」


「解った、着替えたら下に行く」

 ショウマ君が私室に戻る。


「うん、助かるよ。リョウタロウさん! 先に下に行ってますね!」


「解りました! すぐに行きますって伝えておいてください!」


「は~い! 了解しました」


 そんな事を話してからキッチンに戻る。


「起こしてきました、直ぐに来るそうです」


「おう、助かる。カナタは揚げ物を頼んでいいか?」


「了解です。フライドポテトからですか?」


「ああ、そうだな、頼む。ジャガイモはそこに置いてあるのから使ってくれ」


「はい、了解しました」


 芋を洗い、芽を取って皮を剥いていく・・・そこにショウマ君がキッチンに来た。

 あれ? リョウタロウさんは?


「おはよう、簡単な作業なら手伝えるぜ。何をすりゃ良い?」


「おう、おはよう。手伝ってくれるってのか! それじゃあ、そこのたまねぎの皮を剝いてくれるか?」


「この籠に入ってるたまねぎ全部でいいのか?」


「ああ、頼む」


 指示を出すと、リョウタロウさんもキッチンに来た。


「おはようございます。すみません、寝坊しました」


「おう、おはよう。いきなりだが、カナタの所にジャガイモを置いてくれ。あとキノコはここに、コーンは・・・あそこのザルに置いてくれ」

 タダシさんが、リョウタロウさんに指差しながら指示を出す。


「そろそろパンが焼きあがるわよ! リョウちゃん!」

 ヨシさんが、リョウタロウさんに声をかける。


「はい、今行きます」


 朝ごはんを作らずに、パン生地、パイ生地、ピザ生地・・・etc

 これでもかって言うほど作っていく・・・


「朝ごはんは大丈夫なんですか?」


「今焼いてるのを食べてもいいし、麺も茹でるからそっちでもいい。何とかなるだろ」

 タダシさんは、がははと笑い俺の肩をたたいてくる。


 ちょっと痛いな・・・


「仕方ない、今日も朝錬中止だな」


 そんな事を話していると、アヤコさんとケイタ君、タクミ君が起きてくる。


「「「おはよう(ございます)」」」

 3人がキッチンの中にいる皆に挨拶をする。


「「「おはよう(ございます)」」」

 作業中の皆がキッチンの中から挨拶を返す。


「あたしも、手伝うかい?」


「ああ、頼む。そのスープが焦げないようにしてくれ。ちらちら様子は見に来るが、何かあったら呼んでくれ」


「解ったよ。この2つの寸胴を見ればいいんだね?」


「ああ、ケイタとタクミはカナタの所にいって、皮むきを手伝ってくれ」


 2人が手伝いに来てくれる。


「2人は皮むきを頼むね、俺は揚げちゃうから」


「「了解」」

 ケイタ君とタクミ君がそろって返事をしてくれる。


「ソースが出来上がったぞ! リョウタロウ頼む」


 キッチンは戦場のようになる・・・俺たちはダイニングでも出来るため移動する。

 結局、後から起きてきた人も手伝い、全員を巻き込んで料理大会のようになってしまった。

 結局朝ごはんは、出来立ての菓子パンを作業しながら食べていく・・・美味しいんだけどね・・・ゆっくり食べたかったなぁ。

 そんな事を思いながら作業の手は休めない。


「アカネさん、前の電池式魔晶石って、このインナーにも使える?」

 ケイタ君の隣で芋を切っているアカネさんに声をかける。


「ん~? あぁ無理、電力? が足らないし~、加工も変えなきゃだから~」


「電力? ああ、容量ね、どの位足らない?」


「う~んと、アルセントバードくらいは欲しいかな~? 宝石がいい物であれば、使い捨てじゃ無くてもいけるかもしれないけど~」


「なるほど、実験して貰いたいことあるんだけどいい?」


「え~? 何~? 面倒なことだったらパ~ス!」


「いや、髪の毛をダイヤにするから、それで作ってみてもらえる?」


「カナタさん、ダイヤモンド作るのに2月位かかるんじゃないですか?」

 ミズキさんが、芋の皮を剝きながらこちらに言う。


「そうだね、たぶん、かかるだろうね」


「それじゃあ・・・」


「だから今日からやろうかと思ってさ」


「それはいいですね、夜までに魔法を作っておきます」


「ミズキさん、よろしくね。アカネさんもいい?」


「はいはい~、やればいいんでしょ~?」

 少しめんどくさそうにアカネさんが呟く。


 髪の毛は結構長くなっているが、坊主に・・・いや、芸術の心を持ってるコノミさんに相談しよう。

時間があれば・・・


「ショウマ、そっちの作業が終わったのなら、この肉を叩いてミンチにしてくれ。ミズキこっちを手伝ってくれ! ここにあるジャガイモを茹でてくれるか? アカネもジャガイモが一段落したら、ここにある玉ねぎを炒めてくれ」

 タダシさんが、各人の動きを見ながら指示を飛ばしていく。


 まだまだ作業は続く・・・漫画や小説なら、買って終わりなのに・・・

 途中で子供達が来て、勉強をセードルフとミランダが見てくれた。もちろん御土産も渡す。


 お昼近くなってきたので一旦終わりにして、みんなでお昼を軽く食べ、子供達を帰しLvを上げにいくが、冒険者ギルドが騒がしい。

 テンプレの予感・・・絡まれたりするのかな? なので先にLvを上げる(Lv20.Lv19)。

 その後、ラーモンさんがいたので、冒険者ギルドに何があったのか聞いてみる。


「ラーモンさん、すみません。冒険者ギルドが騒がしいですが、何かあったんですか?」


「セントバードの群れが確認されたらしいのですよ。この分だと、明日にはラネアが来ると思います」


「セントバードですか! ありがとうございます」


「セントバードの肉が欲しいな。狩りに行くか?」

 タダシさんがニヤリと笑いながら言う。


「ええ、もちろんです! ただ、ファウストさんに言わないと・・・言って来ちゃいますね」


「色んなやつから情報を聞いておく! 冒険者ギルドで待ってるぞ!」


「お願いします! 急いで行ってきます」


 ファウストさんの家に着くと、扉をノックし今から出かけることを伝え、冒険者ギルドに戻る。


「ただいま、何か有益な情報ありました?」


「はい、時間が惜しいため向かいながらお話しします」

 リョウタロウさんが、笑顔でこちらに言う・・・有益な情報があったようだ。


「そうですね! 了解です! 出発しましょう」


 急いで門へ向かい、外に出ると身体強化をしてセントバードの目撃された場所へと向かう。

 そこには草原が広がっていたが、空に無数のセントバード、地面には多くのラネアスパイダーとクロウラー。


「壮観ですね~、鳥が芋虫食べてますよ・・・さて、蜘蛛を先にやっちゃいましょう。次に鳥で」


「PT2つに分けた方がいいのでは? 一遍に倒さなければ警戒されると思いますし」

 ケイタ君が、小声で提案してくる。


「そっか、それもそうだね。 PTを2つに分けて、蜘蛛と鳥を落としましょうか」


「出来れば魔糸が欲しいね。無理なら仕方がないけどさ」

 アヤコさんが、ポツリと呟く。


「魔糸ですか。う~んと、俺とミズキさんが蜘蛛を、他のみんなは鳥をお願いします。サンダーを一気に放ちましょう! ただ、出来る限り手加減をお願いします。肉が焦げたら勿体無いので」


「了解です。では、横並びになり、1匹ずつにターゲットを絞って攻撃した方がいいでしょう」

 ケイタ君がそういうと、全員1匹ずつバラバラな魔物へと攻撃することが決まる。


「では、いきますよ~、3,2,1サンダー」


 全員一気に使用してしまったため、混ざり合ってしまい、かなりの稲光が出てしまった。

 地面も所々草が焦げている。モンスターの生死はまだ確認できないが、動いているものは見えない。


「うわ・・・強すぎるんじゃない?」


「混ざっちゃったみたいですね・・・雨よ降れ!」

 ミズキさんがそう言うと、雨が降る。


「とりあえず、近づいてみようぜ」

 ショウマ君が焦げた所を指差しながら言う。


「そうだね、生死の確認も出来ないしね」


 皆と少し相談し、男性がモンスターの様子を見に行き、女性が周りを警戒およびサポートをすることに決まる。


「凄いですね」

 タクミ君が転がっている魔物を見るとそう呟く。


「うん、死屍累々って感じ? でも、体が痺れて動かなくなった程度の魔物が多いですね」


「見てても仕方ないので、息のある魔物に止めを刺して、しまってっちゃいますね」

 リョウタロウさんが槍でセントバードの喉を突き刺しながら言う。


「お願いします。皆さんも芋虫以外は止めを刺して、リョウタロウさんに渡して下さい。何かあれば叫んでくださいね」


「あぁ、解った。しかし生きている芋虫は残すのか?」


「芋虫は、ウネウネしてるものもいたので、もうすぐ糸を吐き出すと思います。生きてるのがいればですけど」


 結局、生きていた芋虫は3匹で、繭になっているものは4匹、死んでしまっていた芋虫は18匹、蜘蛛は12匹、鳥は全部で10羽・・・糸は3匹分回収できただけでもよしとしよう。

 糸を回収後、直ぐに街に帰る。


 魔法の練習も必要だなぁ・・・威力が強すぎる! 強すぎて困ることがあるなんて皮肉だなぁ・・・

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