第7話 街探しの開始
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6/6改稿あり、加筆あり
そうこうしている間に女性陣が帰ってくる。
色々やっているのを見て、感心しているようだ。
休日にゆっくりしている父親を想像していたのかもしれない。
「おかえりなさい、皆さん」
洞窟で待っていた男性陣も「おかえり」と、言っていた。
女性達は「ただいま」と、皆が声を返してくれた。
「全員そろった所で、皆さんに話したいことがあるので、一度、バスの前に集まってください、お願いします」
何があったのか解らない様で、いろいろ話しながらでザワザワしているが、集まってくれる。
「えっと、この世界にはモンスターと思われる者がいるようです。地球と言うよりも、ここはファンタジーの世界に近いと思われます。まず、この石を見てください」
そう言いながら、石をみんなに見せる。
「この石がゴブリンの体内にあって心臓と対をなす様に右側にあり、神経や血管のようなものが付いており、地球上の獣とは違う事が解ったのです」
石を見て、ため息を吐いたり意気消沈している・・・
「いきなりモンスターだと言われても解らないと思います・・・ですが、胃の中身も調べた所モンスターは雑食であり、襲われる可能性もあります」
ますます顔が暗くなる。
「これからのことが不安になると思います・・・しかも、帰れるのか帰れないかも解りません・・・
ですが、今はできることを1つずつやってなんとしても生き残り、帰る方法を探しましょう」
「帰れるかわかんねぇのに、なんでやるんだ? そんなことをしても、ただ死ぬのを待つだけだろ? お前が何とかできんのか? どうなんだ! やれるなら今すぐやってみろ!」
三沢 伊三雄さんが、こちらを指差しながら言う。
「今は、情報が足りません・・・ただ、ここに来た現象をもう一度起こせれば・・・いえ、起こす事が出来れば、帰れる可能性もあります。何もしなければ言っていた通り、ただ死ぬだけですよね? そんな事は絶対に御免です」
そう言うと、三沢 伊三雄さんは、チッっと顔をしかめて舌打ちした。
「とりあえず、近いうちに街に行く事になると思います。その時のために、ファンタジーの定番だと苗字があるのは貴族とかだけになっている事が多いですので、皆さんの呼び方を下の名前で呼ぶようにしませんか? 後で苗字が使える事が判明しても、特に問題になりませんし」
特に異論は無く、あっさりと下の名前で呼ぶことが決まった。
伊三雄さんが、瑞稀さんや有華さんを、ニヤニヤしながら見ていて、気持ち悪い・・・皆も気が付いて顔をしかめている・・・伊三雄さん、自重しろよ・・・
「食事してからこの周辺の散策と索敵、あとは、石斧とか棍棒とかすぐに武器になりそうなものを作りたいですから、素材になりそうな物を探してみましょう。
今からだと危険が増すだけなので、街を探すのは明日以降のほうがいいでしょう」
食事はドングリと魚の塩焼き、魚は脂が乗ってて美味しかった・・・でっかいのに繊細な味でいい感じ。
食べてるものの栄養がいいのか? ゴブ・・・深く考えるのを止めた。
発見したのは硬めで長さ150cm直径2cm位の棒が2本ほどと、長さが半分位の棒が1本。
どちらの棒も、折れたばかりなのかギザギザに尖っていたため、ハルバードなどを使って加工する。
簡易的だが、長い棒2本はきっちり尖らせ槍にし、短いほうは、尖っていたものをきれいに加工して棍棒にしておいた・・・何も無いよりまし程度だが、まぁ良いだろう。
あと、白竹で箸と器とコップが完成した・・・まぁ、数は少ないが・・・その器などを使い、水を沸騰させることにも成功し、沸騰させた水は冷まして、ペットボトルに保存することとなった。
湧き水のところに竹の筒を置き、ためておくことも忘れない。
食料を探すため、散策しながら街を探したが、近いところに街などは無く、現在地も何処なのかは結局解らなかった。
夕方になり、ご飯を食べて皆に後は任せて、先に眠ることにした。
眠気がすごすぎてふわふわして、頭がまったく回っていない話し方をしていたら、皆からさっさと寝たほうがいいって言われたためだ。
見張りの人とかは、話し合って決めてくれると言っていた・・・すんません、寝ます・・・
こうして、2日目が終わり。
まだまだやらなければならないことが多いが、次の目標は街へ行くに決まった。
次の日の朝は、早く寝てしまったため少し早く起きてしまったようだ。
トイレに行きたい・・・・そう思いながら、入り口に居る2人に、小声で声をかける。
「おはようございます、忠さんと、良太郎さんの2人で見張りだったんですね」
「おう、おはよう。ずいぶん早起きだな」
「おはようございます。はやいですね」
トイレに行きたかったため、挨拶もそこそこに、ショートソードを借りていった。
トイレの紙は葉っぱを使っている。白竹の葉っぱはハートのような形で、しかも大きくて軟らかかったので、それを使用している。
他の葉っぱは、結構硬い・・・トゲトゲしているのもある・・・
トイレットペーパーって、すごい発明なんだな・・・
洞窟に戻り、2人とたわいもない話などをして、昨日決めたことなどを説明された。
1.見張りは基本2人、1人は敵を見張り、1人は皆を起こす。
2.バスの中は女性のみ使用する。
3.風呂は朝で、男・女は時間で分ける。
4.敵を見つけたり、見つかった場合は逃げる&皆に報告する。
ということだった。
雨の日をどうするかも、考えておかなくちゃいけないな。
この洞窟の入り口も、出来れば岩などで目隠しをしたい。
でも、空気の通り道も必要だし・・・難しいな・・・
街を探すのは良いとして食料はどうしよう・・・お弁当とか作れれば楽なんだけど・・・お弁当箱か・・・白竹で籠を作れる人がいないか聞いとかないとな。
異世界転移ものだと、異世界人と会話は通じるはずだけど・・・なんか不安だな。
う~ん、考えてもいい案が出てくるわけじゃないし・・・そのときに考えよう。
それにしても、お腹減ったなぁ・・・
今日の朝ごはんもドングリ・・・調理中に皆に話す。
「今日から街に行く道を本格的に探したいと思いますが、危険が多いと思います。
ですので、三人一組で動きましょう、2チームが食料探し、1チームが街探し、1チーム+1が拠点で防衛でどうでしょうか?」
「質問だ! チームに分けるのは解ったけどよ、誰と誰が組むんだ?」
渉真君が、バッと手を上げて質問してくる。
「立候補か、多数決が良いのではないですか?」
敬太君が、手を上げて俺に言う。
「それでいいと思うんだけど、街探しはかなり歩くから体力が必要だし、獣やモンスターがいるかもだから足の早い人が良いんじゃない?」
「じゃあ、街探しは俺だな!」
渉真君は、右手の親指を自分に向けて言う。
「私も行きます!」
良太郎さんは、手を上げて言う。
「僕も行きます」
敬太君も、手を上げて言う。
結局反対意見などはまったく出ずに、3人は街探しに出かけることになった。
「武器はどうする? ハルバードもって行く?」
「いえ、枝で作った武器のほうをもって行きますよ、かなわなそうな敵に会ったら捨てて逃げるので」
敬太君が枝で作った槍を指差して言う。
「了解、短剣をもって行ったら? そこまで邪魔にならないだろうし」
「また、石でも投げりゃ倒せるんじゃねぇか?」
敬太君は「ふぅ・・」とため息を吐きながら、渉真君に文句を言い始めたが、止めるのが面倒だったのでそのままにしておいた。
「一応、強敵に会ってしまい囮になって逃げた場合は、次の日1日まで探し、見つけられなかった場合は、今いる人を優先しようと思ってます。ここは・・・安全なところではないので・・・」
皆、黙ってしまった。
見捨てようって言っている様なものだから当たり前なのだが・・・
「そうなる前に街を見つけて、そこに移動しよう」
朝ごはんを食べて、魚とドングリを焼いたものとペットボトルに沸騰させてから冷ました水を入れて、街探し隊は出発していった。
「では、3人が帰ってくる前に食べられそうな野草が無いか探しましょう、あと、食器類の作成も引き続きやっちゃいましょう」
皆それぞれの場所に分かれる・・・俺は、ドングリ拾いを始める。
それにしても、ドングリが多い・・・りんご位はあるのではないかと言うのに大量に落ちているし、白竹にもまだまだ実っている。
「かなたさん、動物がいます・・・どうしましょう?」
お昼に差し掛かるころそう言われ、見に行くとウサギがいた・・・
どうするか迷ったが、捕らえることに・・・
しかし、全く捕まりません・・・ウサギって足速かったのね・・・
罠を仕掛ければ取れるかも・・・罠ってどう作ればいいんだ?
捌ける人がいるかも聞かなくちゃだな。
色々やることが多いなぁ・・・
ジャンピングラビット:ウサギ形の魔物。 攻撃方法は前歯のみなので、ゴブリンよりも弱い。