第63話 服
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進行速度が遅くて本当にすみません
少しでも面白いと思っていただけるように頑張ります
9/3 改稿あり 加筆あり
食事も終わりのんびりモードの時に、ケイタ君とタクミ君が机の端に立った。
「皆さん! 見てください! ついに完成しました! カーボンナノチューブのインナーです!」
タクミ君が上着を持ってみんなに見せると、テーブルの上に綺麗に並べだした。
並べられた物は、黒いガラスのようなもので出来たロングTシャツ、タイツ、手袋、靴下、頭巾(チェーンメイルのコイフ兜のようなもの)だった。
「この頭巾以外は、伸縮自在が付いています。頭巾にのみ選択集音、音を選択し聞きやすくする機能がついています。全てを鎧のインナーとして着れば、怪我をすることがなくなると思います」
「おお! 結構光沢があるんだね。もっとマットな色合いだと思ったのに」
「はい、そうなんです。手触りはガラスに似ていますので、ちくちくしなくていいと思いますよ」
「へぇ~、思ったよりも軽いし薄いね。いいねいいね! あれ? 当て布? 裏側に?」
「それはね、衝撃吸収の当て布さね。付加魔法の伸縮自在ほどじゃないが、伸び縮みするように作ったよ」
「なるほど! 直接肌に当たると冷たいですしちょうどいいですね。早速手袋に手を入れてみていい?」
「どうぞ、入れて見てください」
ケイタ君が自信満々に言う。
手袋の中に手を入れると、サラサラしていてかなり気持ちいい。動かしてみるが違和感を感じない・・・かなりいい感じに仕上がっているな。
試しに魔力を流すと、キュッとゴムのような感じで軽く締められている感じがする。
しかし、指を動かすと違和感も少なく動きやすい・・・凄いな。
全部着ると全身タイツのようになるって事かな? これで怪我の心配が少なくなるな。
「ケイタ君、魔力を一度流すと、どの位キュッとした感じになるの?」
「たぶんですが1日は持つと思いますよ・・・ただ、魔力を込めてから放置しただけなので、戦闘時にどのくらいまで耐えられるのか解りませんが」
「なるほどね、朝練で使ってみよっか」
「あ! 街中で着れる服も出来たから、ちょうどいいので持ってきますか?」
コノミさんが軽く手を上げて言う。
「では私が一緒に行きますよ。重いでしょうから」
リョウタロウさんが、立ち上がる。
「じゃあ、お願いします。こっちです~」
コノミさんが、皆の前で少しずつ話せるようになってきたな。いい事だ!
その後、服が来るまでフルーツをつまみながら紅茶を飲む・・・緑茶が欲しいなぁ・・・茶の木はどこにあるんだろう?
「すみませんフランソワーズ様、このマジックハウスって材料何で出来てるんですか?」
「む? あぁ、エルダートレントだ。エルフの国のダンジョンの深部の魔物だぞ」
「なるほど~、エルフの国に行ければ入ることはできますか?」
「もちろんだ・・・いや、強制的に入らされるといった方が正しいかもしれん」
「え? 強制的に?」
「うむ、エルダートレントの素材を取ってくるのが成人の儀だからな」
「え? エルフって武闘派!? もっと温和な種族かと・・・」
「温和だぞ。ちゃんと大人が付き添って戦いを経験させているだけだ・・・間引きをする意味合いもあるがな」
「なるほど、取ってきたエルダートレントの素材はどうするんですか?」
「取ってきた者の弓になる。エルダートレントの弓を持っているというのは、成人の証となるんだ」
「やはりエルフは弓の名手なんですね」
「ああ、驚くほどに強い。しかも、エルフは精霊魔法を使うぞ。私は、絶対に敵対したくないな」
「なるほど、そうなんですか・・・えっと、精霊魔法は人には使えないんですか?」
「使えた者もいたと聞いているが、今は使い手はいないと思うぞ」
「じゃあ、使える可能性もあるって事ですね」
マッタリ話していると、コノミさん達が戻ってきた。
「皆さんお待たせしました。これが服です。今は時間が無かったので、染色もほとんどしてなくて1種類だけしか作れてません、すみません。男子はシャツとカーゴパンツです。女子はブラウスにサロペットです。帽子は男女ともストローハット(麦藁帽子)です。時間ができれば色々作りたいと思ってますし、アイディア募集中です」
渡されたものを見ると、結構しっかりしている。
パンツは茶色で結構生地が厚い。内側に紐を通してベルトをしなくても落ちないようになってるし、後のポケット部分にサクラの刺繍がしてある。
シャツは白で、襟と胸元にサクラの刺繍がしてある。
女性の服を見る。
ブラウスは襟が丸く、少し大きめに出来ているみたい。サクラの刺繍は一緒だ。
サロペットは、腰の部分に大き目のリボンが付いており、それで腰から落ちすぎないように調節するようだ。
ワンポイントで、さり気無くリボン端とポケットの上などに、サクラの刺繍までしある・・・結構凝ってるな。
帽子はハットの形で、ちゃんとリボンも付いている・・・裏には当て布がある。たぶん温度調節のためだろう。
「うむ、可愛いな・・・」
フランソワーズ様が服を見てつぶやく。
「そう言うと思って、フランちゃんの分もありますよ」
コノミさんが、そう言って笑いかける。
「まことか!? これは魔糸で出来ているのだろう? 本当にいいのか?」
「もちろんです。後で渡しますね」
「このカーボンナノチューブのインナーも用意してありますよ。こちらも後で御渡しします」
ケイタ君が眼鏡をクイッとしながら言う。
「すまないな。それにしても素晴らしい出来だな、防御力も十分なようだ。この服ならば街中で鎧を着なくても良さそうだな」
ちゃんと温度調節機能も付いているらしく、自分で暑くしたり寒くしたり出来るみたいだ。
フランソワーズ様の服は一応固定で、25度に設定してあるらしい・・・後で変更するときは来て貰えれば出来るみたい。
洋服を貰いフランソワーズ様は喜んで帰っていった・・・ピザとスペアリブの御土産を大量にマジックバッグに入れていたが・・・
「カナタさん、少しいいですか?」
リョウタロウさんに小声で話しかけられる。
「ん? もちろんいいですよ」
促されるままに、部屋の外に出る。
「花町が・・・花町がオープンしてます」
「な! 何だって!」
「どうかしたのか?」
ショウマ君がヒョイと顔を出した。
「いや、なんでもないよ」
「そうです、何でもありません」
「え? そうか? 何かあったのかと思ったぜ」
ショウマ君は、そう言うと中に戻っていった。
「すみません、興奮してしまって」
「いえ、気持ちは分かります。早速ですが、調査に向かいますか?」
リョウタロウさんは、右手を差し出し頷く。
「そうですね! 至急調査に向かわないといけないと思います!」
俺達は握手をして、頷きあう。
「では、案内しますので付いてきてください」
「サーイエッサー!」
玄関まで来ると、外から嫌な音が聞こえてくる・・・・雨だ・・・最近、運が良くなったと思ってたのに・・・なんでだ!
「諦めましょうか・・・」
リョウタロウさんがこちらを見て言う。
「何でだ~~!!」
俺は、頭を抱えて叫ぶ。
ダイニングに戻り、リョウタロウさんと少し飲むことに・・・
「2人がそろって飲むなんて珍しいな・・・アテを持ってくるまでこれを摘まんでてくれ」
「エシャロット? ですか?」
リョウタロウさんが、出された物を見て言う。
「ノビル? え? ノビルですよね?」
「そうだ。良く知ってるな、カナタ」
タダシさんが驚いた様に言う。
「田舎に里帰りした時に田んぼの脇に生えてるのを取って、ツマミにしてましたから」
「へぇ~、珍しい物なんですか?」
リョウタロウさんが感心した様に言う。
「いえ、そこら辺に生えてる雑草と同じ位の価値ですよ」
「そうだな、でもピリッとして酒のアテにもなるぞ」
タダシさんは顎を触りながら言う。
リョウタロウさんは1つ取り、味噌をつけて食べた。
「味は、見た目通りなんですね」
リョウタロウさんはかじったノビルを見ながら言う。
「そりゃそうだ・・・そうだ! 2人に手伝って欲しいことがあるんだが、いいか?」
タダシさんが思い出した様に言う。
「「はい」」
「昔ちょろっとカクテル習ってな、シェイカーも作ってもらったから試飲してくれ・・・カナタはトマトジュースはダメなんだよな?」
「はい、苦手ですね」
「解った、今回は外そう・・・えっと今の材料だと・・・ソルティ・ドッグとカイピロスカとスクリュー・ドライバーとブル・ショットとビッグ・アップルが出来そうだ」
「一通り飲んでみます。ぜんぜん知らない名前の物もありますし・・・」
「カイピロスカだろ?」
「ブル・ショットもです」
「そうか、カイピロスカは、ウォッカ、ライム、シロップで出来てるから飲みやすいぞ。ブル・ショットは、ウォッカにブイヨンを入れたものだ。まぁ好き嫌いが分かれやすいな」
こんだけ詳しいのにちょろっとなんだ・・・すごすぎるっしょ・・・
男だけの酒盛りはゆったりと盛り上がり、少し早めに御開きとなった・・・こんなのもいいかもね。
洋服の話ですが、色々考えても上手くいかなかったです
最初は、ショルダーオフ・ワイドパンツ・チノパン・パーカー・ラップキュロットスカート・フレアスカート等々・・・色々考えたんですがまとまらず
こんな感じになりました
神様、様々な知識と文才と洋服のセンスと時間とお金を下さい