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努力の実る世界  作者: 選択機
第2章 ティンバー・ウルフローナ王国
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第61話 執事とメイドを紹介する

評価・ブックマーク ありがとうございます

励みに頑張ります


8/28 改稿あり 加筆あり

「そんなに畏まらなくてもいいからね~。あと、こちらこそよろしくお願いします。ユカさん、3人とも死病じゃないんですよね?」


「え? あ! はい、皆さん健康ですよ。疲れや寝不足などはありますが、問題ないかと」

 ユカさんは、セードルフたちが恭しく頭を下げる姿を見て呆けていたが、我に返って言う。


「そっか良かった。見てくれて助かったよユカさん。皆の所に戻って、洋服のデザインとか考えてきて貰って大丈夫ですよ。何かあったらまた呼ぶかも知れないですけどね」


「そうですか? じゃあ、そうさせて貰いますね」


「皆揃ってから後でちゃんと説明しますから、ありがとうね」


「はい、二度手間になっちゃいますもんね」

 ユカさんはそう言うと、部屋から出て行く。


「あ・・・グロスさん、食事出して貰えますか? 机無いので、床に直接置いちゃってください。お願いします」


「畏まりました。別の料理はどうしますか?」


「起きたらあげたいので一旦そのままで。起きなかったら、セードルフさんに渡しておいて下さい」


「畏まりました。では、床に出していきます」

 そう言うと、うどんを3つ床に出す。1つは箸、後2つはフォークが乗っている。


「これは【うどん】って食べ物です。美味しいから食べてみてください」


「テンプラも出しますか?」


「お! そうですね! じゃあ、お願いします」


「あ・・・あの、私達も食べてよろしいのですか?」


「3人のために作ってもらったんだから、温かいうちに食べちゃおう」


「ありがとうございます」


 うどんを一口食べると、出汁の味がするしょうゆ味のうどんだった。

 干したしいたけの様なキノコも入ってるから、いい出汁が出たんだな。


「むぅ! 見た目はこんなにシンプルなのに・・・奥が深い・・・なんだ? どうなっているんだ? 美味い・・・」

 セードルフさんは唸りながら、うどんをまじまじ見ている。


「おいしい・・・本当に美味しいわね、あなた」

 ミランダさんは驚きの声を上げる。


「旦那様、つかぬ事をお伺いしてもよろしいですか?」


 旦那様か・・・なんか変な感じだなぁ。


「ん? 何です?」


 天ぷらを見ながら、返事をする・・・人参と玉葱と牛蒡のかき揚げと明日葉の天ぷらか。

 海老とか蟹とかあればいいなぁ・・・カシワ天も欲しいなぁ。


「料理を作っている方に、会えるでしょうか?」


「え? うん、後で紹介するつもりですよ。この天ぷらは、塩やうどんのツユにつけて食べると美味しいですよ。味は保障しますので、食べてみてください」


「はい、ありがとうございます」


 セードルフさんは、明日葉の天ぷらはサクサクでフォークを刺すと少し崩れてしまったが、何とか取ることに成功する。

 やっぱりフォークだと、食べにくそうだなぁ。


「なんと言うことだ・・・葉が1枚だけなのに・・・なんて美味しいんだ・・・ミランダも食べてみなさい」

 セードルフさんは、一口食べると驚愕でフォークを止め言う。


「ええ、こちらの大きい方をいただいてもいいですか?」

 ミランダさんが、こちらを見ながら言う。


「好きに食べてください。俺も好きに食べますし、頼めばまた作ってくれると思いますので」


「ありがとうございます」


 かき揚げをフォークで刺し、麺つゆに少し浸してから食べた・・・何も言葉は発さなかったが、ビックリするぐらいの笑顔でクネクネゆれている。


「なるほど! ビックリする位おいしかったのか! 私も・・・」

 セードルフさんも、かき揚げをフォークで刺し食べる。


「美味しい・・・甘い・・・中身が甘いですね! こんなにもサクサクで、なんて言ったらいいのか解らないほど美味しいです」

 セードルフさんはかき揚げを一口食べると、ワナワナ震えながら力説する。


「そりゃ良かった。作った人に後でお礼をお願いしますね」


「もちろんです! こんなに美味しい物、今まで生きてきて食べたことがない!」


 少し大げさだなぁ・・・と思いながらも、3人で食事に舌鼓を打ち、食べ終わったところで息子さんがうめき声をあげた。


「おはよう、気分はどう? 痛いところは無い?」


「起きたのか! 体は大丈夫か?」


「おはようございます、父上、母上・・・ここは?」


「旦那様の御屋敷だ。私共を買ってくださったのだ」


「やはり・・・夢ではなかったのですか・・・」


「また一からやり直せばいい、共に頑張ろう」


「僕のせいで・・・申し訳ございません」


「何を言う! 3人で居られる事こそ喜びだろう!」


「そうだ! 死病!」

 セラン君はそう言ってガバッと起き上がろうとするが、「うっ」と呻き苦しがる。


「まだ寝てないとダメよ!」

 ミランダさんが支えながら、セランを寝転がす。


「死病はもう大丈夫よ・・・大丈夫なの、もう治ったの・・・治ったのよ」


「ああ、そうだ! もう大丈夫だ、助かったんだ!」


「あ! グロスさん、食事を出してください、冷めないと食べれませんし」

 俺は感動の空気をぶち壊すように言う。


「畏まりました。うどんを細かく切った、麦粥に似た食べ物です。味は皆さんの物より少し、薄味になっています」

 グロスさんから料理の説明が出て少し驚く・・・タダシさんに聞いたのかな?


「ありがとうございます。食べさせてもよろしいでしょうか?」


「もちろんです。冷ましながらゆっくりあげてください。そうだ! クッションもっと持ってきて、椅子みたいにした方がいい?」


「いえ、大丈夫です、起き上がれます」


「セラン、このお方こそ、命の恩人であり旦那様だ。ご挨拶をなさい」


「いや、元気になったらしてください。今は養生した方がいい」


「ありがとうございます。御心遣い痛み入ります」


「じゃあ、後は任せます。何かあればダイニングにいるので呼んでください」


「はい、畏まりました」


「グロスさんは、積もる話もあるかも知れないので、ゆっくりしてってくださいね。食べ終わった食器は俺がもって行くので」


「そうですか、ありがとうございます」


 そう言うとダイニングに向かって歩く・・・2人はうどんの汁まで全部飲んだのか。喉かわかなきゃいいけど。


「タダシさん、ご馳走様でした。食器は流しでいいですか?」


「おう、たのむ」


 食器を流しに置き、ファウストさんの下へ。


「ファウストさん。明日の予定なんですが、薬製作は午前と午後、どちらがいいですか?」


「はい、出来れば午後がいいです。薬草などの採取や、薬草畑の管理などもあるので」


「了解です。では午後からにしましょうか」


「お! 時間で思い出したんだが、明日から鐘が復活するぞ」

 フランソワーズ様が、タダシさんと料理の話をしていたようだが、急にこちらを向き言う。


「おお! これで外に居ても大体の時間がわかりますね」


「うむ、そうだな。時間に縛られるみたいで嫌いだったが、無くなると不便な物だと解ったぞ」


「そうですね、時間は結構重要ですもんね」


「うむ。鳴る時間は、朝、昼、夕の3回だ」


「はい、解りました」


 その後は、買ってきた香辛料を聞いたり、野菜はどんな物があったとか、そんな他愛も無い話で終わる。

 ファウストが帰った後、キッチンで料理の事を色々聞いていると、グロスさんとセードルフさんと奥さんがやってきた。


「旦那様、皆様、御時間をいただいて申し訳ありません」

 セードルフが、言ってから頭を下げる。


「落ち着いたみたいだね。じゃあ、お風呂入ってきちゃいなよ。入り方は解るよね?」


「しかし、我らは奴隷の身ゆえ・・・」


「そんな事はどうでもいいから、奥さんと一緒に入ってきちゃう? 別個が良い?」


「どちらでも構いませんが・・・本当によろしいので?」


「うん、じゃあ付いて来て・・・って着替えがないか・・・どうすっかな」


 そんな事を考えていると、女性陣がダイニングに向かってくる音がする。


「ナイスタイミングだね! アヤコさんに合いそうな服がないか聞いてみよう」


 ぞろぞろと女性が全員ダイニングに入ってくる


「どうですか? デザインできました?」


「えっと~その前に~誰?」

 アカネさんがセードルフたちを指差して言う。


「あぁ、執事とメイドです。雇いました」


「いえ、私ども家族は旦那様に命を救われました。ご恩をかえすべくやってきました。私はセードルフと申します、元執事です」


「私はミランダと申します。皆様よろしくお願いいたします」


「え? マジ? カナちゃん、お金あるの? 大丈夫?」


「驚くほど御金持ちになったから大丈夫・・・てか、最初にお金の心配かい!」


「え~? 当たり前じゃん。まぁ~、大丈夫ならいいけどね~」


「アヤコさん、2人にお風呂入ってもらおうと思っているんですけど、服って無いですよね?」


「あるよ。前に外の人たちにツナギを作るって言ってたろ? 多めに作ったから余ってるね」


 え? 本当に? ツナギもう出来てんの? 早すぎじゃね?


「そ・・・そうですか。2人のサイズの物を貰ってもいいですか?」


「いいさね、持って来ておくよ。2人は風呂に入っちまいな」


「そうね、じゃあ、石鹸とタオルを渡しておくわね、ちょっとまってて」

 ヨシさんが倉庫の方に向かおうとする。


 さすが母親2人、行動が早いなぁ・・・


「任せちゃってもいいですか? ちょっとお金をそのまま持っているの怖くって」


「は~い、大丈夫よ、いってらっしゃい。晩御飯までに帰ってきてね、折角だからみんなで食べましょ~」

 ヨシさんが言うと、皆が「いってらっしゃい」と送り出してくれた。


「了解です。急いで行ってきますので、他の人が帰ってきたら簡単に説明しておいて下さい」

 さっき食べたばっかりであんまりお腹へってないんだよなぁ・・・


 セードルフさん達の事は、母親の2人に任せれば何とでもなるだろう・・・さっさと預けよう。落としたら死ぬほどへこみそうだし。

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