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努力の実る世界  作者: 選択機
第2章 ティンバー・ウルフローナ王国
84/406

第60話 執事とメイド

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます


8/25 改稿あり 加筆あり

「えっとセードルフさん、ここが今住んでいるところです。仲間は自分を含めて12人、外の畑は一応全部借りています。そこで働く農奴の人の主人にもなるのかな? 一応」


 簡単に説明すると、外を見て固まっている・・・高そうな屋敷に住んでて、畑を全部借り切ってたら驚くよなぁ・・・


「細かい事はおいおい説明するから、まずは息子さんに薬を飲ませましょう」


 屋敷の扉を開き、中に入る。


「ただいま~」


 屋敷の中に入ると、ショウマ君がやってきた。


「おう、おかえり・・・って誰だ?」

 ショウマ君はこちらを見て首をかしげながら言う。


「ショウマ君、ごめんね。後で説明するから、3杯水持ってきてくれる?」


「解った! 3杯だな? 直ぐ持って来るぜ」


「すみません皆さん、自室にある薬持ってくるので、玄関で待っててもらっていいですか?」


「「はい」」


 自室に置いてあった薬を取って、玄関に向かう。

 ・・・羊皮紙に効能書いて、容器に貼っておいて良かった~。

 玄関に着くと、ショウマ君が水を持ってきてくれていた。


「奥さんはこっちを飲んで、息子さんはこっち。いいね?」


「本当に・・・本当にありがとうございます」

 セードルフさんは、涙を流しながらお礼を言ってくる。


「礼は治ったのが確認されてからね」


 奥さんは、薬を渡すと直ぐに飲みこんだ。


「ショウマ君、一緒にこの子に回復魔法を」


「了解だ。細かいところはできねぇから、全体的にで良いか?」


「うん、よろしくね」


 息子さんに回復魔法をかけると、意識を取り戻した。


「ち・・ち・・・うえ」

 息子さんは目を開けて、セードルフさんを見るなり声をかける。


「ああ、ここにいるぞ」


「いいから! 意識があるうちに、さっさと薬を飲ませろ!」


 セードルフに薬と水を渡すと、少し水をこぼしたようだが飲み込ませた。


「ショウマ君、もう一度お願い」


「任せろ!」


 もう一度回復魔法をかける。


「ショウマ君、ありがとう助かったよ。ファウストさんとグロスさんをダイニングに案内して、食事を食べて貰って」


「ああ、解った。付いて来てくれ」


 3人を見送った後、使っていない一室に家族3人を案内する。

 息子をベッドに寝かせ、2人は声をかけている。


「回復魔法をかけるのに邪魔だから、声をかけるのは1人ずつにしてくださいね」


「解りました、すみません」

 セードルフさんと奥さんが、頭を下げる。


 30分ぐらい経った頃だろうか、蒼白だった顔に赤みが戻り呼吸も安定してきている。


「あと少しで完全回復するだろうけど、回復魔法が1番得意な仲間を連れてくるね。大丈夫だと思うけど、様子を見ておいて下さい」


 2人を見ると、涙をながし鼻水をすすりながら息子を見ていたが、言われたことに気づき「ありがとうございます」と土下座をはじめた。


「少し待っててくださいね」


 薬を飲ませるとき久々に焦って言葉遣いが悪くなったな・・・気をつけないと。


 ダイニングに行くと、フランソワーズ様も来ていて食事をしていた・・・病み上がりだろうに・・・

 3人は、凄い勢いでうどんを食べていた・・・やっぱり、すするのって難しいのかな?


「フランソワーズ様、来てらっしゃったんですね」


「当たり前だ! 死病が治ったら腹が急激に減って、死ぬかと思ったぞ!」

 フランソワーズ様はフォークをうまく使い、うどんを食べながら言う。


 ん? まさか、回復には栄養が必要なのか? 一応頼んどいた方がいいのかな? まぁお腹減ってるだろうし、頼んでおくか。


「食べ過ぎないようにお気をつけ下さい」


「解っておる・・・が、あっさりしていていくらでも入ってしまう・・・しかも、テンプラというのは、野菜なのにこんなにも美味くなってしまうのか・・・騙されているようだ・・・」


 天ぷらって消化に悪いんじゃない? 大丈夫なのかな? 本人がいいならいいか・・・


「そうですか、よかったです・・・あ! タダシさん、ちょっといいですか?」


 「おうカナタ、帰ったか。暇なら手伝ってくれ・・・ヨシが洋服のデザインの話し合いに行っちまって手が足らなくてな」


「すみません、今からやらなきゃならない事があるんです。それで・・・あの、3食分追加で・・・1食は病人食をお願いします」


「しかたねぇな、解ったよ! ただ、1つ作って貰いたい物があるんだが金が足りなくてな、いいか?」


「もちろんです! 異常なほどお金持ちになったので」


「何だ? どういうことだ?」


「後でみんなにちゃんと話します。ユカさんに用事があるので終わったら取りに来ますので、よろしくお願いします」


「ああ解った、冷めないうちに来いよ!」


「あ! 俺の分もお願いします」


「解ったよ・・・たく」


 デザインの話をするといっていたから、どっかの部屋だろう・・・少し進むと探すまでも無く、キャーキャー聞こえる。

 声が聞こえてきた扉をノックする。


「は~い・・・あら、カナタ君お帰りなさい」


「「「おかえりなさい」」」


「皆さんただいまです。ユカさん、ちょっといいですか?」


「はい、何ですか?」

 ユカさんは首をかしげながら言う。


「病気の人がいるんですけど、ちょっと診て貰っていいですか?」


「え? あ! はい、解りました。みなさん、ちょっと行って来ますね」


 ユカさんと移動している時に、簡単に事情を説明する。


「簡単に言うと、グロスさんの恩人が冤罪を掛けられて奴隷になって、その人を雇おうかと思ってるんです」


「え? 執事さんですか?」


「そうですよ。ですが、息子さんと奥さんが死病にかかってて、薬飲んだんですけど一応診て欲しくって」


「なるほど、解りました。その人は何処にいるんですか?」


「ありがとうございます。執事を雇った経緯などは、全員集まってからちゃんとしますので・・・」


 そんな事を話しながら進み、扉の前に来る。


「ここです。3人家族なので、一応全員診て貰っていいですか?」


「解りました、診てみますね。私って、本当は看護師なんですけど、ここに来てからはもう、そんなことも言ってられなくなっちゃいましたね」


「すみません」


 3人のいる扉をノックし返事を待たずに開き、中に入る。

 2人は息子を見ながら、嗚咽交じりで泣いている・・・それって亡くなってる演出なんじゃ・・・


「退いて! 直ぐ診るから!」


 急いで2人をどかして、子供に駆け寄るユカさん・・・やっぱり勘違いしてる・・・俺が逆の立場でも同じことになるだろうなぁ・・・


「なんだぁ・・・寝てるだけじゃない・・・驚いたぁ・・・」


「すみません、死病が治ると思っていなかったもので」

 セードルフさんは、嗚咽交じりにそう言うと、頭を下げた。


「ユカさん、すみませんが一応、全員の回復と死病じゃないかを、チェックしてください」


「うん、了解」


「俺は、手拭きと食事を持ってきます」


「は~い、いってらっしゃい」


 御風呂場に行き、手拭き2つを持ってダイニングへ。


「すみません、少し遅れました」


「おう大丈夫だ。グロスに持ってもらってるから、熱いままのはずだぞ」


「お! ちょうどいい。グロスさんも一度来て下さい。回復したので話したい事も話せるでしょうし」


「はい、心遣い感謝いたします。一緒に行かせてもらいます」

 グロスさんは立ち上がり頭を下げる。


「あ、全部食べちゃってからでいいですよ。そんな急ぐことも無いですので」


「これは失礼しました。ありがとうございます」


「タダシさん、お金なんですけど、今渡してもいいですか?」


「おう、リョウタロウに預けておいてくれ」


「了解です。リョウタロウさん、これを」


 そう言って紅金貨を1枚渡す。


「何ですか? ピンク色の金貨?」

 リョウタロウさんは、渡された金貨をまじまじ見ながら言う。


「紅金貨といって、大金貨10枚分の価値があるそうです」


「え? な? え? どどどどどどうしたんですか!?」


「陛下から手渡されました。他にもくれるみたいですよ~」


「あはははは、頭が真っ白ですよ」


「まぁ、美味しい食事のために使ってください」


「ずいぶん気前がいいんだな! 王様は」


「これでも安いくらいだ。光茸1本で大金貨1枚はするからな」


「なるほど! 表彰の時に何をもらえるか期待しとこう・・・そうだ! 表彰の時の男の服装はどんな物ですか?」


「黒いズボンに白いシャツに襟を締める紐、そのような物が多い気がするが・・・鎧やローブで出席する者もおる。そこまで畏まらんでもよいぞ」


「はい、参考になりました。ありがとうございます。グロスさんが食べ終わったようなので、行ってきます」


 特に何も喋らずに、3人とユカさんがいる部屋の前に来た。ノックをして返事を待たずに入る。

 セードルフさんと奥さんは泣き止んでいたが、袖で涙などを拭ったのだろう・・・濡れている。


「おまたせ、とりあえず顔と手を拭いて」

 魔法でお湯を作り、持ってきたタオルを浸し絞って渡す。


「旦那様と奥方様は、魔法使いでいらしたのですね・・・しかも無詠唱とは・・・さぞや」

 セードルフさんは俺達を見て言い始めるが、途中でユカさんが叫んだ。


「私は奥さんじゃないです! 違いますからね! 勘違いしないで下さい!」

 ユカさんは、完全に否定をする。


 あれ? 何でだろう? かなり心が抉られる・・・


「解ってても、ちょっと凹みますね・・・いや実際本当のことですけど・・・」


「え? ちが・・・いや、あのそういう意味じゃなくってですね・・・えっと」

 ユカさんは、かなりワタワタしながら言う・・・動き方がすごく可愛い。


「申し訳ございません。私はてっきり・・・いえ、まずは、自己紹介をさせていただきます。

 私は、セードルフと申します。執事をやっておりました。よろしくお願いいたします。

 これは妻のミランダ、メイドをやっておりました。寝ているのは息子のセランです。

 この度は助けていただきまして、感謝の言葉もございません。女神レティアに誓ってご主人様に命を捧げます」


 執事とメイドをゲット! 農民の方々に教育をして貰いたいな・・・接客スキル向上計画!

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