第56話 洋服などの準備
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8/17 改稿あり 加筆あり
次の日の朝、少し早く起きてしまいベッドの横で身体を伸ばす。
朝練では体の柔軟もやっていたため、少しは柔らかくなっている・・・しかし、硬すぎると言われていた。
ダイニングに行くとタダシさんとヨシさんが起きていた。
「おう、起きたのか、早いな」
タダシさんがこちらに気が付く。
「おはようございます」
「アヤコが、ボタンを作って欲しいといっておったぞ。デザインはテーブルの上にある紙に書いてあるみたいだな」
「はい、ちょっと確認して見ますね」
紙を良く見てみる。
「えっと、木のボタンと・・・バラの形のボタン? 謁見用の服に付けるのか? まぁいいや、材料は鼈甲か・・・後で廃材のところに行って貰わないとな」
「出来るだけ早めにって言っていたぞ。他にも欲しい物があるみたいだから後で聞いてくれ」
「了解です。そういえば、お金は足りていますか?」
「昨日結構使っちまったから心許無いが、香辛料もまだ色々売っていたから、フランに買ってきてもらおうと思っているぞ」
「大丈夫ですか? 無ければお金渡しますが・・・」
「新しい料理ができるんだから、フランも満足するだろ・・・大丈夫だ」
「そういうなら任せますけど、足りなかったら言って下さいね。それと、作成予定の店舗については何かありますか?」
「やはりプレハブのような建物を作った方が早いと思うぞ? まぁ、農民達がようやく計算を覚えてるところだと言ってたし、急ぐ必要は無いがな」
「プレハブですか~・・・ミミリさんに頼むのが良いですかねぇ?」
「そうだな、でも、金が足らないんじゃないのか? 狩りにでも行くか?」
「製作班と狩猟班で分けた方がいいんですかね?」
「そうだな、それならアイテムバッグが欲しいところだな」
「そうなんですよね、本格的に皆さんのギフトを俺が覚えた方が良さそうですね」
「オーバーワークにならないようにな」
「無理しないように頑張ります」
「あと、ケイタとタクミ、アカネが話したいといっていたぞ。頑張れよ」
「解りました。外で柔軟してきますので、来たら声かける様にいってください」
「おう、行って来い」
外に出て、柔軟を念入りにして、軽くランニングをする・・・畑の近くに行くともう芽が生えていた・・・早くね? 魔法使ったのか? というかクロウラーって畑で使うって言ってたけど、使ったのかな? 知らないことが多いな・・・・戻るか。
屋敷に近づくと、ケイタ君とタクミ君がこちらに気が付き手を振ってくる。
良い事でもあったのかな? タクミ君がすごい笑顔だなぁ。
「「カナタさん、おはようございます」」
「2人ともおはよう。話したいことがあるって聞いたけど、何?」
「鉄鉱石を買いたいんですけど、良いですか?」
「それは構わないよ、でもなんで? 鉄鉱石なら結構あったんじゃない?」
「行商が来ていて質のいい鉄鉱石が大量にあるんです。しかも安い!」
「そりゃいいね、自己判断で買っちゃっていいよ、お金渡しとく?」
「お願いします」
そう言われ、金貨1枚を渡す。
「お・・・多いですよ!」
「じゃあ、ケイタ君管理よろしくね。あとカーボンナノチューブはどんな感じ?」
「解りました、お釣りは後で渡します。
カーボンナノチューブは最終調整ですね。裾の部分の折り返しや縫合などを、しないような作り方をしてみたのですが難しく、頓挫しかけていましたが、昨日アヤコさんに相談すると道筋が見えたので一気に作ってしまおうかと」
「了解、2人とも無理はしないようにね」
そんな話をしていると、ショウマ君が玄関から出てきた。
「みんな、はやいな」
「おはよう、ショウマ君」
「なんかカナタさんのこと呼んでたぞ。ダイニングへ行って来てくれ」
「そうなの? 了解、先に始めちゃっててね」
言われるままにダイニングへ行くと、ミズキさんとアカネさんがいた。
「カナちゃん、おはよう」
「おはようございます、カナタさん」
「アカネさん、ミズキさん、おはよう」
「早速なんだけどね、防具の電池できたよ」
電池って・・・魔力蓄積の魔晶石じゃないの?
「凄いね! どんな感じで作ったの?」
「えっとね~、これこれ~・・・石? 何の石だっけ?」
「水晶ですよ、透明な物じゃないので石に見えますが」
「そうそう~、安い水晶にゴブリンの魔石の魔力を入れておけば、使い捨てだけど~電池ができるの。
それをアヤコさんの作った籠手の下につける当て布の端っこに付ければ、出来上がり~ってわけ~」
「布は使い捨てじゃないんだよね? 石だけ取る事も出来るの?」
「布はそのままで使いまわせるよ~、石は使い終わったら粉になっちゃうし~。
補充は、石が無くなった所に、また石を貼り付けるだけだから簡単」
「凄いもの作ったね~、量産は出来そう?」
「当て布に特殊な加工を施すので、時間はかかりますが量産も出来ます」
「凄いね! 使用できる時間はどの位?」
「戦闘で使ってないので何ともいえませんが、何もしなければ1日、受ける攻撃の強さで時間が減っていく感じです」
「2人とも、ありがとう。交渉の材料にするよ~」
「それでね、お願いがあるんだけど・・・ダメ?」
「いきなり駄目って聞かれてもさ、そのお願いが何なのかわからなきゃ判断ができないよ」
「えっとね~、行商が来てて、宝石ちょっと買いたいんだけど・・・お願い!」
「あ~なるほど、良いよ。ただし、良い物を作るように頑張ってね。
あと、無駄使いしないように2人できっちりと相談しながら買ってね」
そう言いながら、金貨1枚渡す。
「やった~、これでアクセサリー作ろう! ミズキちゃんはどんなのがい~い?」
「腕輪や指輪、ネックレス・・・魔女っぽい物がほしいです」
「ぶれないね~、コノミンにも相談しよ~」
さっさと行ってしまった。女の人のことはやっぱり解らんな・・・
「朝食ができるぞ。カナタ、皆を呼んで来てくれ」
「はい、了解しました」
結局朝練出来なかったなぁ・・・まぁいいや。
外に出て、みんなを呼び食事をして、Lvを上げにいく(Lv19.Lv18)。
「そういえば、アヤコさんはお金足りてますか?」
「そうだね~、心許無いよ・・・でもまぁ何とかするさね」
「ミズキさんとアカネさんに金貨1枚渡したので、そこから必要な物買ってください」
「アヤさ~ん、一緒に買い物いこ~、ヨシさんも一緒に~」
アカネさんが皆を集める・・・何だかんだ言って、アカネさんは面倒見が良いよなぁ。
「あ! リョウタロウさん、キツイですが女性の買い物についていってあげて貰っても、いいですか?」
「はい! 了解です。頑張りますよ」
「私も行っていいんですか? フラン様はどうします?」
「大丈夫ですよ、俺1人でも・・・折角なので行ってきてください」
「でも、病気が治ったかどうかの診察とか・・・」
「昨日ファウストさんが死病だといっていましたよね?
つまり、病気かどうか判断できる魔道具があるはずです。安心して行ってきてください」
たぶん、あの箱がそうだと思うし。
「それじゃあ、お言葉に甘えて」
「ショウマ君はどうする?」
「ショウマは儂の手伝いを頼む」
タダシさんは、ショウマ君の肩をたたく。
「了解だ、畑作りだな」
「ケイタ君とタクミ君は、鍛冶場でしょ? 商人はどうしてる?」
「必死に仕事をしているみたいですよ。何かあれば報告します」
「じゃあ、頼むね・・・俺はファウストさんの所に行って来るからね」
こうして全員と別れ、ファウストさんの所に向かった。
家の前に着くと、ファウストさんも出かけるところだった。
「ファウストさ~ん、おはようございます」
「早いですね! すんばらすぃぃぃい! 一緒に王城へ行きますかな?」
「ええ、そのつもりでやってきました」
「昨日はありがとうございます。あんなに素晴らしい薬を持っていらっしゃったのですね」
「そうですね~、それも含めて王城で話があると思いますよ」
「王城で? 何かあったのですかな?」
「二度手間になりますから、行きましょう」
王城に行くと、フランソワーズ様の私室へ向かう。
「失礼いたします。フランソワーズ・ウルフニア姫様、お加減はいかがですか?」
フランソワーズ様って、ウルフニアって言う家名だったのね・・・初めて知ったよ。
「仰々しく呼ばんで良い。すこぶる快調だ。早くタダシの所に行きたいのだ、さっさと診察をせよ」
「畏まりました。ではこちらを持っていただいて、魔力を込めていただけますか?」
そう言うと、持っていたケースを開け、六角水晶のようなものを2つ渡す・・・目をつぶり魔力を流しているようだ・・・やはり昨日チラッと見たケースがそうだったのか。
「では、お渡しください」
ケースを全開にすると、真ん中に水晶でできたレンズのような物と、魔方陣が書いてある紙を出す。
紙の真ん中に、レンズのような水晶、左右に魔力を込めた水晶が置かれた。
「ここに血を一滴お願いいたします」
そういうと、紙の端を指差した・・・血を一滴垂らすと、ほんのり発光し始めた。
数分経つと、真ん中の水晶に文字が浮かび上がった【異常なし】と。
「異常は無いです。安心して外へ・・・・」
診断が終わって結果を言うときに、いきなり陛下がノックもせずに入ってきた。
「カナタよ! 来ていたのか! 早速だが場所を用意したぞ、大丈夫か?」
「へっへっへっへい・・・か・・・陛下、ななななぜここに?」
「カナタと昨日、取り引きをしてな。おっと、ファウストには言ってなかったな」
震えおののき、腰を抜かしてバタバタしているファウストさんを見て、ちょっと面白いと感じてしまった。
余談だが、フランソワーズ様がノックせず入ってきたのをかなり怒っていた・・・食事したら忘れると思うが。