日常会話(7)
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8/9 改稿あり 加筆あり
廊下を歩いているとき、タクミ君が声をかけてきた。
「カナタさん、ちょっといいですか?」
「ん? 何どうしたの?」
「えっと、あの・・・魔力で剣って作れたりしないんでしょうか?」
「え? どうだろう? ミズキさんに聞いてみたらいいんじゃない?」
「む・・・無理ですよ・・・カナタさんは、慣れてるかもしれませんが・・・女の人と2人で話すのは・・・」
「う~ん・・・俺も慣れている訳じゃないんだけど・・・でも、魔力で剣か~面白いかもね、聞いてみよっか」
「はい、お願いします」
「いや、タクミ君も行くんだよ」
「え? 何でですか? そんな役に立たないですよ・・・」
「いや、後で言いに行くの面倒だし、一緒に行くよ」
ミズキさんをダイニングに呼び、3人で話すことに。
「ごめんね、ミズキさん。突然呼び出しちゃって」
「いえ、作っていた魔法が行き詰っていたので良い気分転換です・・・私を呼んだって事は、魔法を作りたいってことでいいですか?」
「そうそう、察しが良いね~。あのさ、魔力のみで剣って作れないかな? 出来そう?」
「もちろん出来ますが、たぶん実用性にかけますよ? たとえば・・・魔力のみで鏡が出来ないか試したことがあったんですが、非常にもろくて触ると直ぐに壊れてしまいました」
「そっか~・・・物質を作るのはやっぱり難しいんだね~」
「はい、全くと言っていいほど上手くいきません・・・何かが足らないのでしょうか?」
「う~ん、簡単に考えても無から有を作ろうとしているわけだし、難しいのは当たり前だよ・・・しかも、物質が簡単に作れたら金でも作ったら一生安泰じゃない?」
「難しいのは当たり前ですか・・・そうですよね、色々試してみます」
金を作るくだりは軽く流されたな・・・まぁいいけど。
「ミ・・・ミミミ・・・ミズキさん」
タクミ君が顔を真っ赤にし意を決した様に言う。
「何でしょう?」
あぁ、なるほど、惚れてるのか・・・タクミ君。
「あ・・・あの・・・あの・・・えっと・・・」
告白か? ここで告白しても玉砕する絵しか浮かばないんですけど・・・
「何でしょう?」
話が進まないな・・・仕方ない助け舟を出すか。
「タクミ君、聞きたい事があるなら俺に話してみたら? 大丈夫なら良いけど」
さぁ、何を話そうとしてたんだ?
「えっと、剣を超振動させて、原子からスパッと切るみたいな魔法は出来ますか?」
おうふ・・・告白とか彼氏いるんですか? とか、色恋沙汰な事を聞きたいんじゃないのね。
「難しすぎますね・・・出来ないと思います」
「あのねタクミ君・・・超振動はね、切れ味を増す物って認識されてるけどね、少し違うんだよ」
「え? でも、漫画とかだとスパって切れたり・・・」
「漫画だとそうなんだけどね、本物の超振動はメスなんかにも使われている技術なんだよ」
「手術とかで使うメスですか?」
「そうそう。簡単に原理を説明すると、刃が何度も高速で往復することで、当てた部分が何度も刃の部分に当たり、切れるって感じだよ。
だから、いっぱい切りつけてるって言うのが正しいんだ」
「そうだったんですか・・・出来ないんですね・・・」
「ただ、超振動は色々使えるかもしれないから魔法で持っててもいいかもね」
「出来上がりました。ユカさんを呼んできますね」
え? 早い! 話の途中から作ってたの? 魔法に関して異常なまでの速度を出すな・・・ビックリだよ。