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努力の実る世界  作者: 選択機
第2章 ティンバー・ウルフローナ王国
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第51話 手紙

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます


8/3 改稿あり 加筆あり

 手紙を見て、内容を確認する。


 【魔法とは何か?】

 何だこれ? 答えが曖昧あいまい過ぎるだろ! 本質を答えるのか?

 いいや、それを質問したところで答えがわからないんじゃないのか?

 では、魔法が人間に対してどういう物かってことなのか? 差別の原因になってるものとかか?


「おい! カナタ! 手紙を読むのは後にして、ユカと一緒に飯を食っちまえ」

 タダシさんが、こちらを見て言う。


「あ・・・はい、お願いします」


「エルフたちと同じ料理で良いか?」


「もちろんです、ありがとうございます」


「ああ、解った。少し待ってろ」


 椅子に座ってぽーっと考えていると、ご飯が運ばれてきた。


「はいよ、おまちどおさま」


「ありがとうございます。でも、このタルタルソースのピクルスはどうしたんですか?」


「フランに瓜を持ってきてもらってな、漬けておいたんだ。味はキュウリの漬物に近いものだぞ、持ってくるか?」


「いえ、これだけ量があると食べ切れませんよ・・・後疑問なんですけど、この国って内陸にあるのに塩が安くないですか? 何でなんでしょうね?」


「ああ、ここより北に塩の迷宮ってダンジョンがあるらしい。奥のほうだといい岩塩が取れるんだと」


「なるほど、宝物のほかに取れる物があるのは良いですね」


「でもな、魔物の種類はゴブリンしか居ないらしいぞ」


「そうなんですか、それじゃあ人気なさそうですね」


「それなりに人気はあるらしいぞ。塩は海が無いここら辺じゃ貴重品だろ? しかも、深さも5階とかなり浅くて新人の登竜門ってことだな」


「へぇ~、行って見たいですね~」


「クリアすると宝があったりするらしいから、面白そうだとは思うぞ」


「時間があったら行ってみましょうか。塩も欲しいですし」


「そうだな。塩が大量にありゃ、塩釜とかいろいろな物もできそうだな」


 そんな会話をしながら食事を終えて、問題に取り掛かった。

 やはり、こんな時はミズキさんに聞くのが1番だろう・・・魔法のことなら断らないと思うし。

 部屋に行き、扉をノックして声をかける。


「ミズキさん、相談したいことがあるからダイニングに来てもらえる?」


「はい、解りました待ってて下さい」

 少し待ち一緒にダイニングへ移動する。


「あのね、パルメントさんから手紙が届いてね。

 会いに行くのに問題を説く必要があるんだけど、手伝ってもらえる?」


「構いませんが、ケイタさんの方が色々知ってるから、良いのではないですか?」


「それがね・・・手紙に書いてある問題が魔法についてなんだよね」


「なるほど! それは興味深いですね! どんな問題ですか?」


「えっとね【魔法とは何か?】って問題」


「なんと言うか・・・抽象的? といいますか、答えが見つからないような問題ですね」


「そうなんだよ。魔法の理論について語るのか、魔法は何のためにあるのか、魔法がもたらした物とか、考えると切りがないよ」


「そうですね、私なら、魔法とは? って聞かれたら、人の暮らしの役に立つ物の1つと答えますけど」


「うん、そっか。シンプルだけどいいね、それでいこう。当たり前になりつつあったけど、考えてみると難しいことって結構あるもんだね」


「そうですね、近くにある物ほど見えなくなりますよね。問題は1問で終わりですか?」


「いや、全部で3問だね。次の問題は【魔法の属性とは?】だってさ。なんて回りくどい問題なんだろうね、こう・・・ズバッと答えられる問題を出して欲しいよ」


「そうですね、属性ですか~・・・う~ん、自然を形作る物でしょうか?」


「そういう考えもあるね、俺はこれを見てパッと浮かんだのはね、人がわかりやすく勝手に区分けした呼び名・・・だったよ。自然に発生する事もある現象だから、そう思ったんだけど」


「言われてみればそうですね、属性と言われても自然界で区分けされているわけでも無いんですし、それで良いんじゃないですか?」


「そう? じゃあ、そうしよっか。最終の3問目【光が回復、闇が腐敗なのは何故?】だってさ」


「前に言っていたように書けばいいんじゃないですか? たぶんあってますし」


「了解。これでようやく終わった、ありがとうねミズキさん」


「いえいえ、どういたしまして・・・そうだカナタさん、エルフの里に行く時には一緒に行っていいですか?」


「特に問題はないと思うけど、エルフの魔法を見たいの?」


「はい! もちろんです! 使うことが出来なくても、今後の魔法作成の参考に出来たらいいなって思っています!」


 その後ミズキさんは部屋に帰っていった。

 エルフは、屋敷にそのまま泊まっていったらしいので、手紙の回答は明日渡せばいいはずだ。

 そういえば、ミミリさんに頼んでいた仕事は終わったのかな? お金も払いにいかなくっちゃ。


 後は畑ってどうなったんだろう? 店の事も考えなくっちゃだな。テイクアウトで考えていたが、受け渡しをする皿が・・・持ってきてもらうか、木を薄く切って船形にするか? う~ん。

 やはり面倒だな、食事処にした方がいいか? わからん・・・

 あと、お金稼ぎと食糧確保をするための狩り・・・ラネアの大群が、もうそろそろ来ると言っていたし・・・やること詰まってるなぁ。


 とりあえず最初はやっぱり、ペニシリン作成の実験かな。

 ミズキさんを呼びにいく前に、タダシさんに必要な物を言っておいたから準備されているだろう。

 そう思いながらキッチンを見てみる。木箱が無造作に置いてある・・・たぶんこれだろう。

 カビをキッチンで繁殖させるのは嫌なので、使っていない部屋へ移動する。


 しかし、油はオークのラード。植物性の油じゃないし、アオカビに似ているが本当にアオカビなのか解らない・・・出来るのだろうか? まぁ、誰にも言ってないんだから、出来なくっても大丈夫だろう。

 機材などはぜんぜん足りていないが、魔法と言う強い味方がある。では早速取り掛かるとしよう・・・


 まずは、ジャガイモの煮汁を布で漉す。そこにオレンジのような物の皮に付いているアオカビを落として・・・活性化・・・うわ! なんかやだな・・・一応強化もかけて。

 次は、常温でも透明なオークの油を使って、アオカビとジャガイモ汁と混ぜた物を漉しながら入れていく・・・ちゃんと混ぜて、ちょっと待つ・・・水と油が分離・・・したのか? 上から見ただけじゃわかんねぇ・・・ガラス瓶がないのが痛いなぁ。


 魔法を使い、水分だけを取り出してみる・・・いい感じじゃない? 折角だから回復魔法も溶かせないかな?・・・魔法を込めてみるが、出来てんのか? わかんねぇ。

 次は、炭・・・これって備長炭? 竹炭? マジで? 出来るのこれで? 普通の炭は無いのか? 無いのか、仕方ないやってみるか・・沸騰したお湯に入れて冷まして、さっき魔法で取り出した水に入れる・・・こんな感じ?

 水で洗い流して・・・魔法の水だから汚れてないはず! 一応浄化しといたけどね。

 えっと、お酢を水で薄めたのに浸けるんだっけ? お酢は・・・ワインビネガーですか・・・そうですか・・・まぁいい、やるだけやってみよう。

 布の切れ端を重ねて魔法で通す・・・魔法のいい練習になるな・・・結構きつい。

 最後が重曹を入れた水と混ぜて、完成・・・したのか? それっぽい気がする・・・

 一応、もう一度作っておこう。多くあってもいいものだしね。


 こうしてペニシリンを作る作業に没頭する・・・色々な魔法を試しながら、容器に何回目に出来た物かを表記しておき、ノートに何の魔法を使ったのかもメモしておいた。


 タダシさんが起き始め、食事の準備をする音が聞こえてくる・・・こんなに早く起きているのか、凄いな。

 魔法におんぶに抱っこされながらだが、ちゃんと出来ているはずだ。

 アオカビは、こちらの世界でもアオカビだったのか・・・もしかしたらこっちの方が強力なのかも知れない。


 ユカさんに、後で見て貰うとしよう・・・本当に上手く出来てればいいが・・・

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