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努力の実る世界  作者: 選択機
第2章 ティンバー・ウルフローナ王国
67/406

第49話 ケイタの心

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます


7/31 改稿あり 加筆あり

「待って! 待ってよ、何? 何なの? 意味わかんないよ」

 タクミ君は俺達を見ながら言う。


「そっか・・・理由を聞いても?」


「カナタさんも、何納得してるんですか? どういうことなんです?」


「タクミ君、俺のギフトは知ってるでしょ?」


「もちろん知ってますよ、学習ですよね?」


「じゃあ、学習って何? どういうことが学習?」


「学んで習得すること・・・ではないんですか?」


「正解! では、学ぶとは?」


「え? 教えて貰ったり・・・あとは、体験したり・・・ですかね?」


「だいせいか~い。では、問題・・・俺がもし、盗賊を殺したらどうなるでしょう?」


「え? え? 罪には問われないと思いますが・・・」


「人を殺す・・・いえ、人を殺すのを楽しめるギフトを手に入れる可能性・・・ですよね」

 ケイタ君が、重い口を開く。


「タクミ君、不正解、ケイタ君、大正解」


「え? まさか・・・そんな・・・」

 タクミ君が、驚きの顔をする。


「それを踏まえて話を進めよう。ケイタ君・・・話してくれるかな? お願い」


「まず、一つお聞きしたいのですが、心が読める・・・などということは無いですよね?」


「ぷっふふ・・・ごめんごめん、噴出しちゃったよ。人の心ほど読めないものは無いと思っているよ。そんなギフトも持っていない」


「すみません。ですが、どうして商人にばらしたと解ったんですか?」


「簡単に言うと、勘」


「へ?」

 ケイタ君は、間の抜けた声を出す。


「えっとね、鍛冶師や商人にばれましたって俺に報告した後で、俺が、ネムガさんの作ったグラフェン入りの籠手を知っていることを、タクミ君に聞いて知ったでしょ?」


「はい、その違和感でですか?」


「うん、そこが最初の点だね。他にもケイタ君らしくない行動が多く見られたからさ、カマ掛けた」


「違ったらどうするつもりだったんですか?」


「ごめ~んって、謝るつもりだった」


「そうですか・・・」


「逆に質問。鍛冶師達を助ける作戦をケイタ君も練ってたよね? どんな感じ? 聞かせてもらって良い?」


「お金で鍛冶師の皆さんの買取をして、その後で仕事を回す為に、グラフェンで取引をするつもりでした」


「なるほどね、お金で解決できなかったら?」


「グラフェンを定期的に納入するなどしようかと・・・」


「なるほど・・・でも、他のプランも考えてたでしょ?」


「はい、最終手段は魔物に襲わせようかと」


「うん、それなら殺人にはならないし、自分が黙っていればって思ったと・・・」


「はい、その通りです」


「そっか~・・・今回、自分に足りなかった部分は何だと思う?」


「人を頼ること、でしょうか?」


「正解。他には何かある?」


「他ですか? そうですね・・・・特には無いと思います」


「そう? じゃあさ、ヒントとして問題を出そう。タクミ君も考えてみてね」


「え? 僕もですか? クイズ苦手なんですが・・・」

 タクミ君は、素っ頓狂な声をあげた。


「大丈夫、罰ゲームは無いんだから気楽にね、いくよ? 【ある詐欺師が50人から総額5億円ほど騙し取りました。その騙された人たちはこう言いました『あいつは3回連続で株の上下を当てたんだ、そしたら信じるだろ?』と。さて、その詐欺師の騙し取った手口は?」


「偽者の新聞を用意したとかですか?」

 ケイタ君が、眼鏡をクイッとして言う


 思ったより回答のスピードが速いなぁ。


「ブッブ~、その詐欺師は大掛かりなものなどは1つも用意していません」


「はい! その人は、未来を見ることが出来る超能力者とか預言者だった!」

 タクミ君は、手を上げて言う。


「ブッブ~、そんな能力あったら、詐欺師にならないって」


「たまたま3連続で当てたとかでしょうか?」

 ケイタ君が言う。


「ブッブ~、リスクが高すぎるでしょう・・・ヒント、詐欺師は自ら被害者達に3回当てる事を宣言しています」


「インサイダーとかではないんですよね? もしくは凄腕のトレーダーだったとか」

 ケイタ君が少し考えて言う。


「いいえ、違います。ちゃんとした取引ですし、トレーダーでもありません」


「未来人だった!」

 タクミ君が言う。


「さっきも言ったじゃん。それなら、自分で色々とやった方が良いって」


「ああ、そう言う事ですか・・・なるほど、解りました」

 ケイタ君が閃いた様に呟く。


「え? 解ったの? 全然解らないんですけど・・・難しすぎますよ・・・」

 タクミ君は頭を抱えながら言う。


(自分で解いてみたい! って読者がいらっしゃるかもしれないので、少し空白)












「最初に400人集めた。簡単に言いますと、騙す人数の8倍の人数を集めた・・・どうですか?」

 ケイタ君が眼鏡をクイッと上げて言う。


「うん、大正解! 良く解ったね」


「え? え? どういうことですか? 正解聞いても解らないんですが・・・」

 タクミ君が、ちんぷんかんぷんですと言う顔をする。


「いいですか? 400人を半分ずつに分け、1グループには株が上がると言い、もう1グループには株が下がると言う。

 これで正解した人の数は200人。もう一度やると100人、さらにやると50人。

 つまり株の流れを読んでいたわけではなく、最初から50人を騙すために集めたと言うことですね」

 ケイタ君がタクミ君に細かく言う。


「だいせいか~い! 凄いね、やはり頭が良い」

 俺は手を叩きながら言う。


「はぁ・・・なるほど、種が解ければあっけないものなんですね」

 タクミ君はポツリと呟く。


「そう、コロンブスの卵と一緒だよ。知ってれば何の変哲も無いってこと」


「そうですか・・・なるほど、僕に足りなかったものは、経験ですか」

 ケイタ君が頷き、呟く。


「うん。経験が無くても上手くいく事も多いから、一概にはいえないけどね。今回は、経験が足らなくて人に何を頼んでいいか、どうすればいいのか解らなかったんじゃないのかな?」


「ですが、これは僕達が勝手に・・・」


「そうだね、勝手にやろうとした。まぁ、1人でやれるに越したことは無いよ・・・だけど、自分の自由を犠牲にしてまで行動しようとするのはやりすぎだよ」


「なんとか説得する・・・はずだったんです」


「俺が話しているのを見て、どう思った?」


「説得は無理だと、僕の方法では殺すしか選択肢がなくなると」


「うん、やっぱりケイタ君は頭もいいし、頭の使い方も上手いね」


「もし、カナタさんが詐欺をしてそれを覚えたらどうするんですか?」


「人を殺すものじゃない限り遠慮無く使う。力はただ力でしょ? ギフトはON・OFFで切る利点があるんだし」


「ですが! ON・OFF出来ないものがあったりしたら? それだけではないですよ!」

 ケイタ君が珍しく声を荒らげる。


「待って待って、イサオさんの事を言っているんでしょ? 俺があんなふうになったら・・・と」


「そうです、あれは異常です。何があったのか解りません」


「洗脳か・・・力に囚われたか、洗脳の魔法や魔道具もあるかもしれないね」


「今なら、カナタさんを止められます。ですが、強くなり続けたら?」


「間違いなく俺は超越者とかになるだろうね・・・全ギフト覚えられるんだし」


「そうなれば・・・誰も止められないんですよ」


「ケイタ君、また1人でやろうとしてるでしょ? よ~く見て? 周りにはとてつもなく強い仲間がいるんだから・・・みんなで対処すればいいでしょ?」


「それでも届かなかったら?・・・僕は、どうすればいいのか」


「なにを言ってるの? 届かなかったらじゃ無くて、届かせれば良いだけでしょ? それ位軽くやっちゃってよ」


「そんなの・・・僕は、神様ではないんですから・・・」


「え? じゃあ、神様超えちゃえば良いじゃん」


「え?」


「だってさ、神様でさえ倒せない魔王を倒すのが目標でしょ? つまり宇宙一強くなるってことじゃないの? 神様を超える事ですら登竜門でしょ?」


「あぁ・・・ははっ、そうでした・・・何を言っていたんでしょうね、僕は・・・何を怖がっていたんでしょうね」


「うん、宇宙一強くなるためには、洗脳対策もしなきゃだし、いろんなことが必要になってくる。2人とも一緒に手伝ってくれない? 俺1人じゃ限界に直ぐぶち当たると思うしさ」


「解りました! そうですね、お手伝いさせていただきます」


「僕も、足を引っ張らないように頑張ります」

 タクミ君は、決意した表情で言う。


「暴走したときは、みんなで止めてね。俺もみんなが暴走した時には全力で止めるから」


「はい、よろしくお願いします」

 タクミ君が頷く。


「ええ、善処します」

 ケイタ君が眼鏡をクイッとしながら言う。


「じゃあ、帰る前にファウストさんのところに顔を出してくるね、いってきます」


「はい、気を付けて行って来て下さい」


 ファウストさんのところに向かうと、居眠りをしているショウマ君と、薬を真剣に作っているファウストさん、ユカさん2人の姿があった。


 俺も少し薬作りをしようと思ったときに、フランソワーズ様が駆け込んできた。


「ファウスト! 何処だ!?」

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