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努力の実る世界  作者: 選択機
第2章 ティンバー・ウルフローナ王国
62/406

第44話 カーボンナノチューブ

ブックマーク、評価、本当にありがとうございます

これからも少しでも面白いと思っていただけるように努力します


7/20 改稿あり 加筆あり

 食事も終わり、ユカさんと別れ洋服が置いてある部屋に入ってみる。

 そこには、タクミ君とケイタ君がいた・・・何? サプライズ的な何か?


「カナタさん! 見てください! 出来ましたよ!」

 ケイタ君が興奮しながら言うと、黒い糸のような物を見せてくれた。


「え? 何それ? 何が出来たの?」


「良く見てください! カナタさんが前に言っていた、多層カーボンナノチューブです! 魔力による物なので、バラバラになったりアスベストのようなことにはなりません。いい出来だと思うのですが、いかがですか?」

 ケイタ君が言いながら、眼鏡をクイッとしニヤリと笑う。


「これは、って糸のようにしたの? バラバラにならないの? まじで? めちゃくちゃ凄いね! でもさ、アスベストのようにって良く知ってたね」


「宇宙工学が好きですので、軌道エレベーターの事も解っていました。ですが、この手で作れることができるとは・・・この技術を日本へ持って帰りたいですね」

 ケイタ君が言いながら、糸状になったカーボンナノチューブを握り締める。


「どうやって作ったの? 俺は、グラフェンから止まっちゃってるんだけど」


「魔力炉のおかげですよ、地下室に魔力炉に近いものを設置しました。と言っても粘土で出来た壷ですが・・・」


「え? 陶器の壷なの? どういうこと?」


「見た目は陶器の壷ですよ、土は魔力を吸うと固まり、鉄は魔力を吸うと柔らかくなります。その原理を応用した物が魔力炉です。それを真似て2人で作りました」


「なるほどね~、魔力が火の様な物って考えると納得は出来るね」


「そうですね、陶器は火に入れると固まり、鉄は火に入れると柔らかくなるって事ですね」


「それで、どうやったの?」


「魔力が多いと形状を簡単にいじることが出来るんです・・・

 メタルクリエイションと言う、鍛冶で使う魔法をミズキさんに作って貰ったことにより、正確にイメージで作れるようになったので。

 そのメタルクリエイションを改良してもらい、グラフェン化、ナノチューブ化、という魔法を作ってもらった・・・

 あ! すみません、簡単に説明しますと、1人は魔力を注ぎ加工しやすくし、もう1人は形を形成するナノチューブ化と言う魔法を使うだけです。後はイメージですので問題は無いです」


「なるほどね、付加魔法は付けられるの?」


「付けられます。2個つけることが可能なんですが、1つは形状記憶再生で使ってしまっていますので、実質1つですね」


「形状記憶再生? なんか凄そうだけど、何それ?」


「形状記憶再生は、その形状に強制的に再生させる付加魔法です。そのおかげでバラけることも無く、破れても再生します」


「そ・・・そうなんだ・・・色々と規格外の装備になり始めてるね・・・魔糸については聞いてたりする?」


「聞いてますよ、魔糸は1つだそうですよ」


「そっか~・・・魔糸でピタッとしたハイネックのロンTと、タイツの薄いの作って衝撃緩和とか衝撃吸収を付けて、その上にカーボンナノチューブのハイネックの、ロンTとタイツを作り伸縮自在を付けて、出来ればその上に魔糸で普通の洋服作ってもらって、温度自動調節を付けて貰う事って出来ないかな?」


「なるほど! それはいいアイディアですね、グラフェンを使った籠手と、手袋のセットにも組み込めると最高ですね! 靴はどうしますか?」


「靴下に組み込んでおけば、何とでもなるんじゃない? でも、お金大丈夫?」


「問題になりませんよ、使っている額より入る額のほうが多すぎます。魔力と言うのは便利なものですね」


「そうだね、だから科学の発展が遅れちゃったんだろうね」


「そうですね、バランスをとるのは難しいですよね・・・あと、明日一度鍛冶場に来られませんか?」


「ん? 大丈夫だよ、午前中でいい? ってか何で呼ばれてるの?」


「たぶんなんですが、グラフェンシートを販売して欲しいと言うことだと思います」


「え? どういうこと?」


「本当にすみません、ぼ・・・僕が、試作品を魔鉄の剣で切ろうとしていたところを見られてしま・・・」

「僕が周りの警戒を解いてしまっていたんです。すみません」

 タクミ君が喋っていたが、ケイタ君が途中からタクミ君の言葉をかきけすように入ってくる。


 あれ? 親方がグラフェンの籠手の見本を作ってたよな? 何で今頃?

 それから、ケイタ君が喋りを邪魔したのは何でだ?

 考えても答えは出ないか・・・まぁいい、とりあえず話に乗ろう。


「いいよいいよ、ばれちゃったのはしょうがないでしょ。俺らが帰ったら誰も作れないから、出来るだけ秘密にしておこう。じゃないと争いの種になるかもだし」


「そうですね、装備を巡って殺し合いになったりするのは避けたいですね」

 ケイタ君は眼鏡をクイッとしながら言う・・・特に何らかの変化はないように見える。


 そんなこんなで夜は更け、ボタンを数個作って眠りについた。


 朝早くに目が覚めて、二度寝するかを模索したが結局起きることに・・・

 少しボタンを作り、厨房へ挨拶に行く。

 朝錬の時間までかなりあるが、そのまま外へ。

 農民の方の住居の進行具合を見ると、2軒は完全に終わり、他も枠組みがされているので、もう直ぐ終わるようだ。

 おとといの深夜にいじった畑に行くと、なんとうねが出来、たぶん芋も植えられている・・・はやいな。

 畑の数だけは多くあるから一気にやっちゃいたいが、魔法を見られると後が面倒なんだよねぇ・・・どうにかならないかな?

 おっと、朝錬の時間過ぎてるかもしれない・・・急いで戻ろう。


 少し遅れてしまったが朝錬をして、朝食を取り、Lvを上げる(Lv16.Lv15)。


「お金の清算をしに、ギルドへ向かいましょう」


「はい、解りました。私は解体場に行き、回収してきます」

 リョウタロウさんが、解体場の方を指差しながら言う。


「儂も、リョウタロウと一緒に行こう」

 タダシさんが、一緒に行ってしまった。


 それだけではなく、それぞれ、用事のあるところへ向かっていく。

 皆に、信用されてるって事なのか・・・面倒なのか・・・いや、面倒なんだろうな。


「いらっしゃいませ、清算ですね?」

 セレネさんが、こちらの顔を見て言う。


「はい、お願いします」


「今回は、売る部位が大変少なかったため、マイナス33067となります。現金の支払いで大丈夫でしょうか? それともオークの肉を1体分を売却していただければ、ギリギリですがプラスに転じます」


「ギリギリ? オークの肉の買取、下がったんですか?」


「そうなんです。かなり大量に売っていただきましたので、安くなってしまったのです・・・ですが、一時的なものだと思われますが」


「そうなんですか~。じゃあ、現金でお願いします・・・いえ、カードから直接払うことは出来ませんか?」


「出来ますよ、手数料はかかりますが」


「では、それでお願いします」


「畏まりました」


 カードを渡し、何で鍛冶場に呼ばれているか考えてみる。

 魔力の補充の金額などは2人で決めていたのに、いきなりなんで? 大金になるからか? 契約書にサインをするのに呼ばれたのかな?・・・解らん。

 支払いを終え、外に出る。


「ケイタ君、タクミ君、待っててくれたんだね」


「はい、そんなに時間がかからないと思ったので」

 タクミ君が笑顔で言う。


「じゃあ、行きましょうか~」


 鍛冶場に着き、奥の事務所に通される。そこにはソファーのような長椅子に座っている、ゴリラっぽく見えるがたぶん人族のおじさんと、椅子の隣に立っている牛の獣人、後ろに護衛だろうか、冒険者っぽい2人が待機している。


「ようこそおいでくださいました、私はこの鍛冶場と専属取引している商人のゴラントと申します」

 ゴリラのように見える人が、椅子に座りながら頭を下げてくる。


「俺は、この鍛冶場を纏めるネムガだ」

 牛の獣人の人が、礼をしながら言う。


「カナタです、2人がお世話になっています」


「いや、こっちが助かっている」

 ネムガさんがニヤリと笑いながら言う。


「そうですとも。お二人は魔力を補充できて、鍛冶の腕前ももう直ぐ一人前・・・こんな有望な新人はいないですよ。鍛冶場に正式に入ってもらえませんか? がっはっはっは」

 ゴラントさんは、椅子にふんぞり返りながら言う。


「ありがとうございます。ですが、私には決めることができません。ただ、私たちは勇者を目指していますので」

 何だ? ネムガさんが、ゴラントの事を凄い睨んでる・・・仲が悪いのか?


「そうですよね、2人からもそう聞いています。実に惜しいですな」


「それで、私を呼んだ理由は何でしょうか?」


「この板のことなんですが・・・」


 テーブルの脇においてあった木の箱を開け、黒いシートを取り出す。


「これの製造法を売っていただけませんか?」


「製造法をですか?」


「そうです。金貨5枚でどうですか?」


「売ることができないです」


「な・・・大金貨1枚では?」


「お金の問題ではありません。製造法を教えられる方は、このシートの構造がわかる方に限られています」


「構造ですか?」


「そうです。構造を把握し、その構造を再現すると言うのが製造法なのです」


「そんな・・・どうやって・・・」


「製造法はお教えしましたが、作成は出来ないと思います」


「しかし、この2人は作れるのでしょう? 構造を教えて下さい、お願いします」


「構造ですか・・・いいですが、髪の毛を縦に5万個に切断した1個が認識できますか?」


「な! そんなに・・・どうやって・・・顕微の魔眼か?・・・いや! そんなに細かいのですか?」


「そうですよ、なので構造をお教えしても作れません」


「ならば、定期的に売っていただく事はできますか?」


「売ることはできても、定期的には難しいですね、勇者を目指しているので1つの場所に留まり続けることはできませんし」


「ならば! ならば! 売っていただける分だけでいいので、お願いします」


「2人に聞いてみてください。2人がいいといえば大丈夫です。2人とも後は任せて良いかい?」

 2人は頷き、小声でケイタが聞いてくる。


「はい、契約書はどうするのですか?」


「ケイタ君、タクミ君、2人に任せたよ! ちゃんと2人でね!」


「ああ・・・なるほど・・・解りました」

 俺が言いたい事を察してくれたらしい。


 そっと、ケイタ君が俺に耳打ちしてくる。


「助かりました。しかし、構造の時の髪の毛の5万分の1ですが、カーボンナノチューブの太さですよ、原子の大きさではありません」


 最後にそこ!? って思いながら鍛冶場を後にする。

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