第42話 食材確保
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お屋敷へ帰りダイニングに行くと、アヤコさんが待っていた。
「カナタ君、ユカちゃん、採寸するからこっちにおいで」
「もう洋服の型紙作りまでいったんですか?」
「いや、他の皆は縫いまで始めてるよ。2人だけサイズを測ってなかったからね・・・あ、そこに立って一周ゆっくり回ってくれるかい?」
「こんな感じですか?」
「OK。ギフトってのは便利だね、いちいちメジャーで測らなくても計測ができるんだから。次ユカちゃん」
「へぇ~、便利なんですね~」
「OKだよ、ユカちゃんはやっぱり凄いねぇ・・・」
「やだ! なにを言ってるんですか! アヤコさん! 恥ずかしいですよ・・・」
ユカさんは、顔を真っ赤にしながら言う。
「はっはっは、そうだ! カナタ君、外の人たちにはツナギにしてみたんだけど、良かったかい?」
「はい、お金は足りてますか?」
「使えるところが無いからね、特に問題ないよ・・・ただ、前作ってもらったボタンとサイズ違いのボタンをまた欲しいくらいだね」
「はい、余ってもいい物なので多く作っておきますね」
「頼んだよ、あと食事はいつものところに置いてあるって言ってたよ」
「ありがとうございます。あ! 思い出した! アヤコさん、魔糸に伸縮自在って掛けられるんですよね?」
「もちろん掛けられるよ、どうしたんだい?」
「輪ゴム位になります?」
「編めばそのくらいにはなるよ、何か作るのかい?」
「そうなんです。木工と骨細工の試験で使いたいなって思って」
「試験なんてあるのかい? 凄いね」
「両方とも3日で卒業なので・・・普通はやらないらしいんですけど、実力を示すのです! って言われまして」
「そうかい、どのくらい必要なんだい?」
「髪留めを作ろうと思っているのでヘアゴム位で」
「そのくらいなら作っておいてやるよ。明日の夕方とかでいいかい?」
「期限は無いそうなので、いつでもいいです」
「あいよ。じゃあ、先に寝るよ」
「「はい、おやすみなさい」」
食事をしてゆっくりしたかったが、畑を軽くでもやっとかないとなぁ・・・と思い外へ。
石と土の選別か・・・どうやったら楽なんだ? いい方法無いものかな? う~ん・・・解らんな・・・
やっぱり地道に篩で分けてくしか無いのかな? 一度持ち上げてみるか・・・
周囲を見回し誰もいないのを確認したら、1㎥位持ち上げて、他の場所に移してみる。
う~ん・・・そうか! 1人でやるから駄目なんだな、でかい石だけ取り除いて後は篩で・・・って篩が無いのか・・・
あれ? 土魔法で篩作って揺すればいいんじゃない? 簡単なことだったんじゃないか。
50㎡くらいなら一気に持ち上げられるし、でかい篩作って一気に終わらすか。
100㎡移動させ、その土で篩を作り、篩の中に土を移動し、穴に落としていく・・・魔法の訓練にはなるけど・・・かなりきついな・・・集中しなくちゃいけないけど、誰にも見られるわけにも行かないし・・・難しい。
風魔法で周囲の音を聞き取り、土魔法で篩を持ち上げ揺すり、土を篩に入れる・・・魔力がごっそり無くなっていくのが解る・・・ギリギリ終わるか?・・・いや、無理っぽいな・・・出来るところまでやればいいか。
ギリギリ魔力がなくなる前に終わったが・・・でかい篩をそののままにしておくことが出来ないため、座って星空を眺める・・・異世界なんだな・・・月が2つある・・・なんかこの生活になじんできたな・・・
篩を壊し、石だけになった山はそのままにして、屋敷に帰った。
次の日、朝早くに起きキッチンに挨拶に行くと、
「カナタ、狩りに行かんと豚肉がないぞ」
タダシさんが、顎を触りながら言う。
「行きましょうか。午後からはゆっくり習い事でもしましょう」
「ああ、あと野草類ももっと採って帰りたい。葉物野菜も欲しいな・・・何かあればいいんだが」
「まぁ、ある物で何とかしましょう。皆起こしてきますね」
「ああ、頼む。ヨシ、農民に草むしりを頼んでくる。頼んだぞ」
「ええ。あと、計算も昨日と変わらずにやっておくように言っておいてね」
ヨシさんは、パン生地をこねながら言う。
「ああ、伝えておく・・・そうだ、カナタ」
「何ですか?」
「外のやつらのLv上げちまって良いか?」
「構いませんよ・・・というより上がって無かったんですか?」
「聞いてみたら、Lv3位らしいぞ。畑やるにしても体力あった方が楽だろう」
「Lv10にもなってないんですか・・・11から大銅貨1枚に変わるから、10で止まってるのかと思ってました」
「Lv0の者もいるんだぞ・・・まぁ、上げてしまえば体力や力も上がる。こちらにとっても利益が大きいだろ、じゃあ、行ってくる」
みんなを起こして、今日はオーク中心に狩りに行く予定を立てる。
「今日も12人一緒に行動しましょう。見つけ次第魔物はガンガン狩って行く方針で」
「ゴブリンなどの弱い敵が出てきた時に、訓練で接近戦もしておいた方が良いのではないですか?」
ケイタ君が、眼鏡をクイッとしながら言う。
「そうだね、ただ無理をして怪我をしないようにしよう」
「は~い、カナちゃ~ん、モンスターを操ってみたいんだけど~、出来る~?」
アカネさんが手を上げて言う。
「簡易服従の魔法(人に掛けられない様に安全装置をつけた)は、バッチリですか?」
「虫にはかけたことあるけど、動物はまだだからやってみたい」
「テイマーになるんだったら必要でしょうから、練習もしましょう」
そんなこんなで、Lvを上げて(Lv15.Lv14)早速外に出る。
一番最初に来た森林で探索をする。
「ラネアクロウラーとスパイダー2グループ・・・いや3.4グループいます。その奥にオークだと思われる敵性反応」
「やっちゃいますか、土魔法主体で糸の回収もします」
「うっす、久々の戦闘だ!」
ショウマ君が、嬉しそうに言う。
「あの、氷魔法にしませんか? 戦闘で使ってみたいので」
ミズキさんが、言う。
「了解、氷魔法で行きましょう」
群れに近づくと、繭になってる、もしくは成り掛けが8、後はもう過ぐ糸を吐き始める感じだろう。
「俺とケイタ君、ショウマ君、リョウタロウさんは糸回収組み、他の人は1人1体ずつでいい?」
「今回は倒しちゃっていいでしょ~? 蜘蛛は~嫌・・・」
アカネさんは、嫌そうな顔をしながら言う。
「いいよ。皆さん、出来るだけ頭部、8個の目の真ん中を狙ってください。結構人気の食材なので毒に汚染されるともったいないので」
「蟹っぽい味だしな、出来れば取っておきたいな」
タダシさんは、ニヤリと笑って言う。
タダシさんも食べてたんだ・・・さすが料理人・・・
そうこう言ってるうちに、芋虫が糸を吐き出し始めた。
「では、行きましょう!」
糸回収組が一気に走り出すと、スパイダーが近づこうとする・・・その動きを利用して眉間に氷の槍が突き刺さる。
糸がかかり始めた芋虫から無理やり糸を取り、リョウタロウさんに渡していく。全くの無傷で敵を全て片付けて、残るは糸の回収のみとなった。
「なぁカナタ、芋虫の死骸なんだがな、畑で使っていいか?」
タダシさんが芋虫を見ながら言う。
「いいですけど・・・使えるんですか?」
「芋虫はほとんど水分で、しかも栄養を蓄えているらしいから、いい肥料になるらしいんだ」
「了解です。それなら腐葉土もあったら回収しちゃいましょう」
「ああ、そうだな。集めに行ってくる。野草の採取も一緒にやっちまうさ」
「了解しました。えっと、ケイタ君、ショウマ君、アカネさん、オークに行ってみる?」
「おう! 接近戦でいいか?」
ショウマ君が、セスタスをぶつけながら言う。
「解りました、行きましょう」
ケイタ君が眼鏡をクイッとしてから言う。
「オークか~・・・まぁいっか~・・・いく~」
アカネさんが、少し考えてから言う。
「倒し方は、皆の好きなようにやってね、サクッと行っちゃいましょう。行ってきますね~」
奥にいるというオークは全部で6匹。この数なら何か不測の事態が起きても、魔法で何とでもなるだろう。
「あらら、水場か・・・雷は使えないね」
「問題ないでしょう。この近くには6匹以外居ませんので」
ケイタ君は、周りを見渡してから言う。
「アカネさん、ここから魔法届く? 俺は無理なんだけど」
「あたしも無理に決まってるじゃん」
「簡易服従を最初にかけてから、攻撃で突っ込もう」
「おう!」
木に隠れながら身を低くし、ゆっくりと近づき、1番近いオークにアカネは小声で言った。
「あたしに従え」
オークは動きを止め、微動だにしない。服従の魔法は成功したようだ。
「アカネさん、他のオークに嗾けてみて、成功したら攻撃開始」
頷くと、他のオークに攻撃させてみる。
いきなり仲間から攻撃され、パニックになるオークたち。この機を見計らって一気に攻撃を仕掛ける。
ますますパニックになり、一方的に倒し死体を引きずってみんなの元へ戻る。
朝一なので、まだまだ時間はある・・・この調子で食材を取っていこう。