日常会話(4)
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ダイニングで皆が休んでいるときに、リョウタロウさんから声をかけられた。
「すみません、カナタさん、ギフトって何だと思いますか? 色々考えてんですけど納得が行く答えが出なくて・・・」
「そうですね~、憶測なんですけど、自分の望んだ力かな?」
「可能性としては考えていたんですけど・・・やはりそう思いますか」
リョウタロウさんは頷き言う。
「ちょちょっと~ちょっと待ってよ~カナちゃん! 錬金なんて~あたし知らないんだけど~」
アカネさんが、手を軽くあげて言う。
「ああ、それね・・・アヤコさん」
「なんだい?」
アヤコさんは、裁縫の手を止めてこちらを向きながら言う。
「すみませんが、アヤコさんって、アイディア主婦になろうとしたことありませんか?」
「アイディア主婦ってなんだい?」
アヤコさんは首をかしげながら言う。
「商品になるアイディアを考える人のことですよ、特許とったりするあれです」
「ああ、あれかい? やったことあるよ、採用されたことはないがね」
アヤコさんは、ニッと笑い言う。
「ありがとうございます」
「え~? それが~なんか~関係あるの~?」
アカネさんは首をかしげながら言う。
「そうだなぁ・・・便利なものを生み出してお金を稼ぎたいと思ったこと無い? 特許とってウハウハに! とか」
「もしかして~それが~錬金だって言うの~?」
「あくまで憶測だよ、まだギフトについては何も分かっていないのと一緒の状態なんだから」
その後、色んな意見が出たが、核心をついているであろうモノは無かった。
◇◆◇
「カナタさん、研ぎのことなんですがいいですか?」
タクミくんが、話し掛けてきた。
「うん、いいよ~教えてくれるの?」
「はい、外でやりましょうか」
タクミ君は、砥石とロングソードを両手に抱えて、出て行く。
「うん、わかった」
俺は、タクミ君の後ろについていった。
タクミ君は庭に出ると、テキパキと準備をしていく。
「この砥石なんですが、天然の物なので水にはつけないで、水をかけながら使うんです」
1つの砥石を指差しながら言う。
「へぇ~そうなんだ」
「砥石で研ぐ時は、最初に研ぐ面が平らかどうかを見ます。丸まっていると真っ直ぐにならないので。あと、砥石がグラグラするので、木で受けを作るのがオススメですね」
タクミ君は、砥石の下にある木材を指差しながら言う。
「うん、結構準備するものがあって大変なんだね」
「そうですね、しかし、自分たちの命を預けるものですから手入れしないとですよ・・・
続けますね。剣なんですが、あまり角度を浅くし切れ味を良くしないようにしてください。切れ味を良くすると刃がもろくなって折れてしまうこともありますので・・・
刀ではなくて剣なので尖ってれば致命傷を与えられますし」
「研ぎを見ると、完全に切るより突くって感じの武器なんだね」
「そうなんです。研ぎ終わった砥石なんですが綺麗に洗って、この保護剤を研ぐ面以外のところに塗っておけば終わりです」
タクミ君はそう言うと、砥石を軽く拭き保護剤を周りに塗っていた。
「ありがとう、今度やってみるよ」
「それでですね、狩りに砥石なんて持っていけないじゃないですか・・・なので代用品があることも教えて貰いました」
タクミ君は、嬉しそうに笑いながら言う。
「そんな物あるの? シャープナーみたいな物?」
「そうなんです。これなんですけど、この棒に包まっている皮を触ってみてください」
タクミ君が見せてくれた木の棒には、灰色の布のようなものが巻きついている。
「ザラザラだね、サンドペーパーとか?」
「砂鼠の皮なんだそうですよ、これで手元から切っ先にかけて削るみたいですね」
タクミ君はドヤ顔をする。
「なるほど、助かったよ。ありがとう」
「はい、あと・・・言いにくいんですが、ワイヤー見つかりました」
タクミ君は申し訳なさそうに言う。
「あったんだ! 何処にあったの?」
「それがですね、ネジを作る方達が使っていたようなんです」
「ネジを? どういうこと?」
「ワイヤーを芯に巻きつけて溶接して、山にしているようですよ」
「旋盤が無いんだから仕方がないといえば仕方がないのかもね。でも見つかって良かったね」
「そうなんですが・・・ミズキさんに言いにくくって・・・」
「ああ! 帽子! すっかり忘れてたけど見つかる前に作ったんだっけ」
「はい・・・結構気に入ってるみたいなので、なんて言えばいいのか・・・」
「そっか~そうだね、帽子被りながらニヤニヤしてるもんね」
「それで・・・お願いできませんか?」
「う~ん・・・解ったよ、言ってくる・・・」
「よろしくお願いします」
ミズキさんにワイヤーがあったことを言うと、ケイタ君に買ってきて欲しいと伝えてと言われ、ケイタ君にも伝言を頼まれ・・・
行ったり来たりのたらい回し状態になってしまった。