炎蛇
最近ようやくユニークの意味を知りました
1日に約200人ほどの方が読んでくださってると思うと
恥ずかしいのと嬉しいのが半々な、今日この頃です
ブックマーク・評価 本当にありがとうございます
俺は、商家の三男だった・・・家を継ぐ事も金を渡されることも無い。
だが、俺には魔法の才能があった。小さい頃に火の魔法使いが家にいた。
そいつから魔法を習うと、直ぐに魔法をものにし親父達を驚かせたっけ。
そいつは魔道士の学校に入る事を勧めたが、入学金が高く入ることなど出来なかった。
自己流で鍛錬をして、街に魔法使いが来た時に家に呼び、教えて貰ったりした。
15歳になって成人した頃には火炎の子なんて呼ばれていたりして、PTへの誘いがひっきりなしだった。
同LvのPTに入って、ゴブリンを多く倒す快進撃。
順風満帆だった・・・あの時までは・・・
ゴブリンリーダーが率いるゴブリン共に出会ってしまった・・・
仲間の2人は死に、1人は攫われ、PTは壊滅状態に陥る。
その時俺は必死に逃げていた・・・魔法使いだった俺は、体力が無く後の2人のお荷物でしかない・・・
死にたくない・・・そう思っていた。
だが、2人は、あろう事か俺を突き飛ばした・・・「すまん」と言いながら・・・
坂を転がり止まった時、幸運なことに人1人がギリギリで入れる穴蔵を見つけた。
息を殺して、ゴブリン共がいなくなるのを待った・・・助からない、怖い・・・そう思いながら息を殺していた。
結局ゴブリンは来なかった。助かったのだ・・・そうすると怒りが溢れてくる・・・あいつら殺そうとしやがって! ぶっ殺してやる!
街に帰り、あいつらを探したが見つけられなかった・・・ざまぁみろ! そう思った。
もう人に利用されるのはごめんだ・・・俺が利用する側なんだ!
◇◆
金を稼ぐため、ダンジョンに潜るようになった。
そこで、野良PTで狩りに行く時に、ある女と出会った。
その女の魔法自体はそこまで強くないが、俺の魔法にあわせることができ、敵を一気に殲滅できるようになった。
話してみると、意気投合して直ぐにPTを組む事になった。
一度やってみたが、体の相性が悪くそこからしなくなったのは、余談だな。
かなり稼いで、荷物持ちが欲しくなってきたので、奴隷を買った・・・高かったが力の強い獣人にした・・・もちろん女だ。
◇◆
ウェーブも終わり、モンスターの氾濫も無かった。
まだ新人の俺らは、金が厳しくなってきた。
「ねぇクルト、獣人の国で芋虫退治の募集があるんだけど、行かない?」
急に話し掛けられ、少し驚いた。
「ヴィスト、いきなりなんだ? 結構人気のクエストだろ?」
俺は腕を組みしかめっ面で答える。
「いやね、ウェーブ後だから、クエストが人気ないみたいなんだよ。チャンスじゃないかい?」
ヴィストは、顔を近づけて、小声で言ってくる
「あぁ・・・ラネアクロウラーか・・・まぁ、火に弱いから俺らなら倒せないことも無いか」
俺は、考えてにやりと笑う。
「でしょ? 一攫千金よ!」
ヴィストは、拳を作り言う。
「じゃあ、クソ田舎にでも行くか」
そう言って立ち上がった。
◇◆
「やばいよ! オークが3匹なんて・・・どうするんだい!?」
ヴィストが叫んで聞いてくる。
「しかたない! 奴隷を与えて逃げるぞ、いいか?」
奴隷を蹴り、オークの注意を引いた瞬間に逃げる・・・そうしようと思ったとき、助けが入った・・・
「ストーンアロー」
どこからか声がして、石のツララのようなものが飛んでくる。
オークの頭に当たり、深く突き刺さり・・・1匹のオークが倒れる。
「な! 一撃・・・だと・・・」
間髪いれずに、後の2匹も倒された・・・無詠唱? いや、詠唱省略か? 見たことも無い魔法で高威力・・・
こいつをぜひ仲間に! そうすれば!
「なぁ、ヴィスト? 仲間に引き込めれば一攫千金どころじゃないと思わないか?」
俺は、にやりと笑いながら言う。
「ええ、女でよかったと思っているところよ」
ヴィストもにやりと笑いながら言う。
この男を、仲間にする! 所詮は俺と同じ男だ・・・手はいくらでもある。