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努力の実る世界  作者: 選択機
第2章 ティンバー・ウルフローナ王国
48/406

第34話 鳥の群れ

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます


6/26 改稿あり、加筆あり

 蜘蛛と芋虫を狩った後、食事をし休憩していた。


「皆さん、かなり早いですが、そろそろ街に帰りましょっか」


「すまんが、庭の畑にハーブ類を植えたいんだ。取って行ってもいいか?」

 タダシさんが手を軽く上げて言う。


「もちろんOKですよ、土ごと掘って持って帰りましょう」


「すまんな、ハーブが増えたら飯は期待してくれ」

 タダシさんは、微笑みながら言う。


「待ってください! 後方から魔物が来ています!」

 リョウタロウさんが、大声で叫ぶ。


「何処に居ます?」

 振り返ったが魔物の姿は見えない。


「こっちです! スピードが速い・・・空からです! あの鳥がそうです!」

 リョウタロウが指差した方向を見ると、10羽位の鳥の群れが見える・・・まだ、かなり遠い。


「こんなに近くなるまで気が付かないなんて・・・気を抜いてましたすみません」

 リョウタロウさんが頭を下げながら言う。


「カナタさん、さっき作った雷魔法がありますけど、使いますか?」

 ミズキさんが、杖を構えて言う。


「いや、威力が解らないから、山火事とかになっちゃったら厄介だし、逃げれるなら逃げたいな」


「迷わずこちらに向かっています。たぶん、逃げてもずっと追ってくると思います。街まで引っ張っていくのは駄目でしょう。敵は紫1桃1緑7です」

 リョウタロウさんが言う。


「そうですか・・・仕方ない、やりますか・・・様子見でストーンスピアを撃ってみます。ストーンスピア!」

(ストーンスピアは、細長くした投げ槍のような形で、回転を加えて直進性を強化した魔法)


 真っ直ぐに鳥に向かっていくが、当たる直前で上にずれたように見える。


「リョウタロウさん、見えましたか?」


「はい、鳥の近くに行った瞬間方向が変わりました」

 じっと鳥の群れを見ながら言う。


 鳥の進行方向は変わっていない。壁に当たったわけでも本体に当たったわけでもない・・・そうか! 風の壁か!

 お約束じゃないか! あんな巨体が空飛ぶのは、風魔法の効果だろ。


「すみません皆さん、ウィンドボールを鳥に連射してください。ミズキさんの雷魔法は保険ということで」

 ウィンドボールが鳥の近くに行くと弾け、風を生み気流が乱れて移動ができなくなるようだ。


「よし! 予想通り。ショウマ君、ケイタ君、タクミ君手伝って」


「おう! 突っ込むのか?」

 ショウマ君は、右手の拳を左の手のひらに当てながら言う。


「はい、何をすれば?」

 ケイタ君が、めがねをクイッとしながら言う。

 

「は・・・はい」

 タクミ君がビクッとしながら言う。


「タクミ君はストーンスピアの槍だけを作って2人に渡して、2人は身体能力上昇と魔法の身体能力強化を」


「「はい(おう)」」

 3人が同時に言う。


「ケイタ君、魔法とギフトを使ったら、先頭のピンクの鳥に向かって槍を投げてね」


「あんな小さい的に当てられませんよ?」

 ケイタ君は顔を顰めて言う。


「大丈夫。当てるのは俺がやるから、思いっきり投げてね。風の道!」


 風の道は、筒状の空気のパイプを作り出し、中の空気を回転させながら敵に向かって押し出す魔法。

 木工で弓を作った時に、試しに的に向かって射てみたら、全く的に当てられなくてムカついたので作ったオリジナルだ。

 魔法で当ててしまうと弓の価値がわからなくなってしまうため、結局ミミリさんに試して貰ったが・・・


 ケイタ君の前方に空気を吸われているので、ちょっと投げずらいかもしれないが・・・


「では、いきます!」

 凄い勢いで飛んでいく槍に空気の回転を加え直進性を増し、パイプの出口を先頭を飛んでいるピンクと紫色の鳥の前に設置する・・・ちゃんと見えているわけじゃないので感覚だが・・・早すぎて方向変えるのが難しい。


 少し軌道がずれたが、緑色の鳥に当たったのか1羽落ちる。


「緑1落ちました」

 リョウタロウさんが報告してくれた。


「了解。次ショウマ君、やっちゃって」


「いくぜ!」

 ショウマ君が、槍を投げる。


 交互に投げて貰うが、紫と桃色だけは当たらなかった・・・

 ピンクと紫を狙ってるのに微妙にそれる感じだな、何かの魔法でも使っているのか?


「仕方がない・・・ミズキさん、麻痺させる程度で雷魔法撃てる?」


「はい、やってみますが、威力の調整は期待しないで下さい」

 ミズキさんは、杖を構えた。


「最高の魔法使いなんだから、頑張って!」


「はい! サンダー!」

 ミズキさんが魔法を放つと、何も無い鳥の頭上から稲光が現れる。


「よし! じゃあ、確認に行くぜ!」

 ショウマ君が、1人で走って行きそうになる。


「待って!・・・ケイタ君も一緒に来てもらっていい?」

 俺は、ショウマ君を引きとめ言う。


「解りました」

 ケイタ君はめがねをクイッとしながら言う。


「リョウタロウさんも来て下さい」


「はい、解りました」

 リョウタロウさんも、頷きながら言う。


 4人で確認に行くと、雷の魔法が直撃した2羽はまだ生きていたが、全く動けなくなっていたためトドメをさして回収する・・・緑の方が損傷が激しい・・・最初から雷使えばよかったかも。

 カラスのような見た目で、大きさが4mもあるんじゃないかという巨体。

 しかも、紫とピンクのみ頭から角のような物が生えている。

 食べれるのかな? これ・・・タダシさんも連れて来れば良かったよ。

 今のところ食べれるか解らないが、素材は決して悪くないはず!

 羽は矢の素材に適してそうだし、こんだけあればいい練習になりそう。

 骨も鏃とかに使えればいいけど、まぁ鳥の骨を当てにしちゃ駄目だよね。


 皆の所に戻り、報告をする。

「ミズキさん、グッジョブ! 最高の状態でした」


「お役に立てて良かったです」

 ミズキさんはそう言って、笑顔を見せる。


「うん、あとさ・・・今みたいな笑顔でいてくれた方が可愛いと思うよ~、にっこりね」


「はい、努力します」

 ミズキさんは、引きつった笑顔になる。


 最初会った時は、こんな感じじゃなかった気がするんだけどなぁ・・・まぁいっか。

 タダシさんに見て貰ったところ、食べられることが解った。


 帰り道は索敵しながら帰り、魔物がいたら狩っていく。

 ゴブリン×18 トウグ×15 オーク×6を見つけ次第狩ってマジックバッグにしまう。

 錬金には魔石が必須だ。アカネさんに練習のため今までとっておいた魔石を全部渡し、色々試して貰ったが、 魔石の数が圧倒的に足りない・・・

 なので、練習して貰うためにも虱潰し・・・とまではいかなくても、少しの遠回りならする。

 自然薯モドキや栽培するためのハーブや明日葉モドキなど色々見つけ、育てられそうな物は根っこから抜いていく。

 そんな事をしながら移動したが、身体強化の魔法のおかげで夕方には帰ってくることが出来た。


 クエストの報告をするために一度全員でギルドに向かう。

 ギルドに入ると、酒場がオープンしていてかなりの数の冒険者が飲んでいた。

 三日空けただけでずいぶんと様変わりしたな・・・

 もしかするとテンプレの絡まれるイベントが発生するかもしれない・・・そんな事を考えながらカウンターに向かう。


「セネラさん、こんばんは」


「あれ? ソメイヨシノのカナタさん・・・でしたよね? お久しぶりです、最近は何をしていたんですか?」

 おお! すごいな、冒険者はいっぱいいるはずなのに覚えてるなんて。


「はい、カナタであってますよ。最近は木工とか骨細工とか色々ですね」


「そうなんですか~、いろいろ出来る方なんですね・・・今日はどの様なご用件で?」


「常時依頼の報告と解体を頼もうかと・・・エミルさんは居ますか?」


「はい、いますよ。直接解体場に運んでくれますか?」


「解りました。では、ランクアップすると思うのでお願いします」


「はい、ギルドカードの提示をお願いします」

 セネラさんにそう言われ、ギルドカードを渡す。


「え? うそ? あの・・・カナタさん・・・鳥っぽい魔物倒しました?」


「ええ、倒しましたよ」


「まさか・・・まさかと思いますが、ピンクのと紫のいました?」


「はい、角も生えてましたね」


「・・・13級ですよね? 本当に・・・偽者のカードじゃないんですよね? 本当は5級とか・・・」


「カードの複製は無理なんじゃないんですか? しかも、飛び級は無いんですから、13級であってますよ」


「いえ、エルセントバードとアルセントバードにセントバードが7羽・・・ラネア1グループに、ゴブリン×18 トウグ×15 オーク×6 12人とは言え、ありえない数字ですよ・・・」


「そこはほら、4日も空いていたんですからその集大成ですよ」


「ですが・・・エルセント、アルセント共に6級のモンスターですよ? どうやって倒したんですか?」


「ほら、そこはズバッと・・・」

 剣を振る動作をする。


「はぁ・・・もういいです・・・カードの更新をしますので1人ずつお願いします」

 かなり呆れられたが、カードの更新が終わる。


「12級、13級になりました。おめでとうございます」


「ありがとうございます」


「討伐報酬は、解体後に一緒に精算でいいですか?」


「はい、お願いします」


 そんな会話をしている時に、後からいきなり声を掛けられた。


「おうおう、皆さんおそろいで」

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