第328話
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次の日の朝、タダシさんヨシさんアヤコさんの3人以外は寝不足で起きた。
寝不足でもいつも8時間ほど寝ているから一日位寝不足でも何の問題もないのだが…
インテリジェンスウェポンを手に入れたから、使って遊んでみようと言う事で遠距離で打ち上げ花火を上げたりしていた。
魔力はカーボンナノチューブを繋いで無理やり補給をしているので連発もできる。
どんな魔法が他に使えるのか面白がって使いまくっていたが、全部の魔法が使えるようだ。
まぁ、刀身が無いので武器と言うより杖に近い使い方しか出来ないのだが一応超振動も使えた。
「カナちゃん、これ面白いね! あたしも欲しいんだけど」
アカネちゃんが俺を見つけて走ってきて言う。
「次見つけるか、解析が全て終わって複製出来たら作れば良いんじゃない?」
「え~? これで良いから頂戴、カナちゃん」
「登録のし直しをしたらどんな事になるか解らないから駄目だって言ったでしょ?」
「え~、刀身を何とか復元するしかないって事なのかぁ…あ! カナちゃんなら何とか出来るでしょ?」
「出来ないよ! というか、皆俺を神かなんかだと思ってるの? 何でもかんでも出来るわけじゃないからね」
最近俺に聞けば何とかなるんじゃないかと言う雰囲気が漂っている。皆には俺がどう映っているのだろう…
話を戻しアカネちゃんにインテリジェンスウェポンの調査をお願いする。
コアはどの様になっているのか全く解らないし、刀身がない為なのか自分の意思と言う物が感じられないし喋ると言う事だったのだが喋る事もない。
とにかく、全部事細かく調べてもらおう。
リョウさんから、探索者ギルドへ行けば登録できるようになったと聞いた。
出来るだけ早く登録はした方が良いだろうから午後に行く事に決めた。
そんな話をしていると、ユカさんが本気で走ってくるのを索敵で確認し先回りする。
ユカさんは俺がやろうとしている事に気がついた様だ。
「カナタさん! 何ですか、あれは! スラムの子供達をなんだと思ってるんですか!」
ユカさんは、俺を見つけるなり大声で怒鳴りつける。
「スラムだろうとどこにいようと、子供達は子供達だと思ってるよ」
「そうじゃありません! 冒険者達が! 冒険者達がスラムの子供達を奴隷にしてるんですよ!」
「うん、知ってる。俺の予想通りに進んでいるね」
「な! 何でですか! 何でそんなに酷い事をしてるんですか!」
ユカさんは俺に近づき襟を掴んで大声で叫ぶ。
「ユカさんは、今の現状でスラムの…いえ、この街に住む子供達の未来はあると考えてるんですか?」
「だから! だから、援助をしているんじゃないんですか? カナタさんだって、元締めさんにあんなに頼んでくれたじゃないですか…」
「そうですね。でも、それじゃあ時間が足らないんです。俺達の第一の目的は何ですか?」
「家に帰る事で…す」
「そう、家に帰る。それを考えると、ここで時間を多く使えない。
使えたとしても一年が限界でしょう。一年で全員助けられますか?」
「助け…られません…」
「なら、無理やり奴隷にでもして学園に送った方が良いでしょう?
そして、冒険者達がやっているのは違法ではないんです。両国が取り合っている場所で無政府状態と言えます。
そんな中で生活をしている人たちを見捨てて進むのは簡単です。でも、何とか助けたい…最悪恨まれたとしても…違いますか?」
「その…通りです」
「ここまで来たらユカさんに出来るのは一つです。奴隷となって送られる人の家族や仲間を一緒に行ってくれるように説得する事です」
既に泣き出しそうなユカさんを慰め、皆に言わないようにお願いした。
もしかしたら、事情を知らないショウマ君辺りが怒って壁を突破できるかもしれないしね。
コルネットを操り馬車の中に乗せる。
コルネットがいつも乗っている彫刻が施されている馬車(御者ゴーレム付き)とケーミゴーレム(馬と鹿のハーフっぽい騎獣の形のゴーレム)に鎧を着せて、俺とショウマ君も鎧を着て鎧ケーミゴーレムに跨り護衛のゴーレムも引き連れてコロシアムへ。
コロシアムに到着すると、驚くほどの人でごったがいしていた。
こんなに人が集まるなら飲み物とか食べ物とか外でも販売する計画を立てれば良かった。
そう考えながらコロシアムの入り口の前に到着し、馬車を亜空間収納にしまうとかなり高い台を出す。
台の上にコルネットを乗せると、スピーカーを模した魔道具で集まった冒険者達に話しかける。
「冒険者の皆さん、一度入り口前へ集まって下さい」
5分ほど台の上で待ち、話を再開する。
「今日は、集まってくれた事に感謝を。開門したら、目の前の受付で登録をお願いする。その際に、奴隷の受け渡しもして貰う手はずになっているので間違えないようにして欲しい」
受付には、タダシさん、ヨシさん、リョウさんの3人と、卒業生など多数が参加している。
もちろん全員が帆布のローブと仮面をつけて変装している。
奴隷が本当に自分の物かの確認と違う部屋への誘導、登録書への代筆、その他の雑用などで人数が足りているとは言いがたい状態になってしまった。
仕方なく整列させるなどの簡単な用事はゴーレムで対処するようにした。
俺とショウマ君は手伝えないし、頑張ってもらうしかない。
控え室にコルネットを置き、カーボンナノチューブを天井に這わせてゴーレムを使って皆を手伝いに向かう。
見たのは、かなりスムーズに全員を案内している所だった。
参加人数を確認すると、千人近い人数になっていた。まぁ、パーティメンバー全員での参加も許可したからだ。
登録の列が殆ど無くなった辺りでゴーレムを戻す。
冒険者が観客席で待っている所へ卒業生の子が飲み物や食べ物を販売している。冒険者達はこぞって買っているが、お腹一杯になりすぎると動けなくなるんじゃないのか?
商魂逞しい卒業生を横目に控え室に戻る。
控え室に戻り、ショウマ君の装備を少し変更する。
強くなるように変更するのではなく、弱くなるように相手に大きな怪我を負わせないようにするための変更だ。
今回はコブシを使うのは禁止、武器を使って戦ってもらう。今回使用する武器は十手に似た物だ。
この十手には、攻撃力が半減する付加魔法がかかっている。それでも、殺してしまう可能性は残る。
今回の戦闘では冒険者も武器屋防具はいつも使っている物を使うので、防具のある所を攻撃するようにして貰う。
全部の準備が終わり、コロシアムに移動し始める。
今回の戦闘における注意点などを説明する。戦闘で負けを宣言したり怪我をした場合は救護班が医務室に運び負けとなる。
命のやり取りではないのでそうなっている。
「今回使用出来る物は、武器防具、魔道具、魔法、従魔とありとあらゆる物です。しかし、募集要項に書いたように破損の保障はいたしません。
それだけでは、集まってもらった皆様に失礼と思い特別な報酬を出すことにいたしました。
それは、勝利者報酬です。最後に攻撃した方や一番攻撃を与えた方には報酬を出す事をお約束します」
コルネットがスピーカーでそう言うと会場が驚くほどの声援につつまれる。
熱気が冷めやらぬ中、戦闘の合図が響き渡る。
最初に飛び出したのは、どこかの世紀末で戦っていそうな装備の冒険者達だ。
大きな両手斧やハンマーなどを掲げて攻撃している。
ショウマ君は、相手の武器が降りてくる途中で攻撃を当て逸らし、体術をを遺憾なく発揮し1度も相手の攻撃がカスってもいない。
武器を使うのが苦手なショウマ君でも、この位はなんて事ないだろう。
鎧の厚い部分や手足などを攻撃し、相手は蹲る。骨が折れたりしている様だ。
ショウマ君は蹲った冒険者が降参したのが聞こえたようで、蹲った冒険者から離れ次の相手と戦闘を始める。
順調な滑り出しと言ってよさそうだ。
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