第327話
ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。
コルネットで獣人の街に入り売れてしまった品物を補充がてら売って回り、ダンジョンで入手したと言う魔道具や素材を買ったりしながら屋敷に戻る。
ショウマ君がフランさんを迎えに行ってるから、2体のゴーレムを同時に操っている。
前に作ったファン〇ルの進化系とも呼べる物を使っている。スキルの分身を魔晶石に反映させ、俺の頭脳の補助をさせて操っている。
動き自体は俺がイメージした物を投影してあるので、ゲームで自分のキャラを中心に2キャラが動いている感じに近い。
基本的にショウマ君ゴーレムは一定の距離でついて来る設定なのでそこまで大変ではないが、交渉中などただ立ってるのも変なので動かしたりするのが大変だったりする。
商品を売り終えて屋敷に戻る。
作りすぎた在庫などが思ったよりも高い金額で、大量に売れたので嬉しい。作りすぎちゃった食料や布はまだまだ大量にあるし、また回ろうと思う。
ウルフローナの物価の高騰を押さえるべく大量に作り売った物だが、物価が下がりすぎてはいけないので在庫になった物…簡単に言うと死蔵品。
ミスティ星で他の食料なんかも作っているので、これから先もどんどん余っていくと言えなくもない。
というか、12人しかいないのに水田に畑に果樹園、キノコ栽培場を作っている時点で食べ切れない事くらい解ると思うんだけど…それなのに、大量に生産し続けてる。
時間を限りなく遅らせたマジックバッグやマジックボックス、亜空間収納に入れておけば食料も腐る事無くしまって置けるので問題ないと言えるので文句は言わないが…
時間が余った俺はミスティ星で皮をなめしながらミズキさんが来るのを待つ。
今回なめしているのは、グランネッツのレア種(エルフの国で倒した五本首)の手をつけていなかった物だ。
雨の時用の外套は作ってあったのだが、まだなめしてない物が大量にある。
なめしておけば何かで使えるようになるだろう。
「すみません、カナタさん。遅くなりました」
ミズキさんが走ってやってきた。
「大丈夫大丈夫、色々やってたから。じゃあ、インテリジェンスウェポンの実験に付き合ってもらっていい?」
「はい、大丈夫です!」
何でこの子はやる気満々なんだ? あぁ、魔法の杖が喋るようになるかもって言ったあれの所為か?
まぁいいや、本人にやる気がある事はいい事だ。
魔素強制支配を発動して貰い、俺とミズキさん以外には魔素を使えないようにしてもらう。
俺も使える人の指定は出来るが、ミズキさんのように上手く出来ない。
魔法だけはミズキさんに全く勝て無くなってしまったが、何となく嬉しい気がする。
これだけ嬉しそうに魔法を使われれば、そう感じるのも仕方ないだろう。
映像記録を開始して、インテリジェンスウェポンの構造をもっと詳しく調べ上げる。
やはり使用者以外は使用出来ず使用者を強制的に解除しようとすれば溜まっている魔力が暴走し爆発するようになっている様だ。
簡単に言うと、魔力が溜まっているところを切断し使用者解除すればいい。
しかし魔力がずっと流れているのを切断するのは危険が伴う。いきなり切断すればインテリジェンスウェポンのコアに魔力が流れなくなると破損する事があるかも知れない。
そこで、切断した魔力の代わりに俺の魔力を流す。ここで問題になるのは魔力は一人一人違う揺らぎを持っていると言う事。
俺はコネクトを使いそれを克服できる。というか俺以外にはできないと言っても良いだろう。
その後に奴隷紋を解除する。今回の奴隷魔法陣は魔法の腕輪などで多く使われているのもで、腕輪などの解除なら何度もやった事がある。
失敗したら大爆発を起こすだけだし、何の問題もない。
「どうですか? カナタさん、何か解りました?」
「うん、解除の目処がたった所だよ。さて、失敗したら爆発するから結界を起動しておいた方がいいと思う」
「解りました。でも、カナタさんは大丈夫ですか?」
「失敗したと思ったら即座に結界を発動させるよ。じゃあ、準備はいい?」
ミズキさんに頷かれ、作業を開始する。
インテリジェンスウェポンにコネクトを使うと、持ち主の映像が見える。あれ? 途中で切れた。
特に重要そうな記憶は無かったので気にせずに進めていく、なるほどそう言う事か。
奴隷紋の解除には内側と外側の解除が必要と言う事が解った。今まで外側から解除しようとしていたが、それだけでは不十分と言う事か。
生物に使って無いので解らないが、多分この方法なら解除が可能だろう。
コネクトは便利だ。しかし、何で俺がこのスキルを手に入れたのか残念ながら解っていない。
奴隷紋を解除すると、新しい奴隷紋が構築される。
コアの部分からの構築なので今回はいじるのをやめておいた。いじって壊れてしまってもつまらないしね。
「ミズキさん、全部完了したよ」
「お疲れ様でした。凄い集中力でしたね」
そう言われて周りの見渡す。既に暗くなり始めていた。
「あれ? もう夕方? お昼くらいじゃなかったっけ?」
「何回か話しかけたんですけど、気が付いていなかったので」
「あぁ、ごめん。気が付か無かったよ」
「それで、インテリジェンスウェポンはどうでした?」
「もちろん名義変更できたよ。能力の把握も説明みたいのが頭に流れ込んできたから大体解るけど、特に注目する能力は無いな。見た事のない面白素材が使われている事くらいか」
「それで? 喋る武器は作れそうなんですか?」
「それは作れるよ。でも、コアが完全に把握できたわけじゃないから、今は中途半端な物しか作れないけどね」
「今はってことは、ゆっくりと調べれば似た物が作れるかもしれないって事ですか?」
「基本はミスティゴーレムに近いから、作れるようになると思うよ。まぁ、解らない事が多すぎるから能力が完全に作れるかはやって見ないと解らないけどね」
屋敷に戻る間にインテリジェンスウェポンの説明をする。
魔法媒体として使用出来る事、魔法自体を本人の意思を反映し使用者自身の魔法を勝手に模倣し使用する事、使用者の危機にインテリジェンスウェポン内の魔力があればバリアのような物を張れると言う事、魔力で切っているようで魔力が切れたらナマクラだと言う事、スキルの索敵に近い物が使える事。
魔力は自然回復し使用者の魔力でも回復が出来る。
今回の書き換えでコネクトで魔力の揺らぎを変えて行っていたが、使用者として登録されているからか魔力の揺らぎが変わっても大丈夫なようだ。
「質問なんですけど、私達の魔法も使えるんですか?」
「使えるっぽいよ。威力にもよるけど溜まってた魔力が全部消費される感じかな」
「そうなんですか…あんまり使えないですね」
「そんなことは無いよ。攻撃の接近でバリアが張れる機能だけを抽出できれば、今のバリアの性能が向上できるよ。普段着で移動する事も可能になるんじゃないかな?」
「そうなんですか? この全身タイツを脱げるのは嬉しいですね」
全身タイツって…出来るだけ見た目にも拘って作ってるんだけど…
「でも、温度調節機能が働くなるから外に出た時とか暑さ寒さがダイレクトになるよ」
「そこは魔法で」
「そんな魔法作らない! 折角感情が戻ったんだから魔法を作って感情が薄くなったら困るでしょ?」
「わ、かりました」
ミズキさんはかなり不満そうな顔をする。
「不満そうな顔しない。 屋敷に着いたらインテリジェンスウェポンの起動するから楽しみにしててね」
屋敷に戻り、皆の前でインテリジェンスウェポンの起動をする。
どちらかと言えば、少年の声に近い合成音? で起動が確認できた。
これならインテリジェンスウェポンをゴーレムに組み込み、自立思考型ゴーレムが出来るかもしれない。そう考えほくそ笑んだ。