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努力の実る世界  作者: 選択機
第4章 ウルフローナ国 新王都モンステラ編
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第325話

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。

 ケースに入ったインテリジェンスウェポンを取り出す。

 構造解析の魔法をかける。あぁ、なるほど俺が呼ばれる訳だな。


「簡単に言いますと、前回の使用者との契約が残っているようです。使用者を探し出して破棄させた方が良いですね」


「は? こいつに使用者なんていないぞ? ダンジョン内の宝箱で見つけた物なんだからな」


 ダンジョンに? 使用者がいないのに登録が外れてない? どうなってんだ?


「ん~、多分ですが、剣が折れた時に手元の魔法陣が壊れたとかですかね? 魔晶石にもひび割れがありますし」


「魔晶石にヒビ? 魔道具の権威にも見て貰ったがそんなの一言も」


「あぁ、それは多分内側にだけ出来た物だからじゃないですか? どうしてこんな所に傷が入ったのか解りませんが」


「おまえさん、なんでそんな事が解るんだ? 意味不明なんだが」


「そんな魔法が使えるだけですよ。そして、ケイタ君が俺を呼んだ理由が分かったよ。インテリジェンスウェポン契約者と結ぶ魔法陣は奴隷魔法と同じ物だからだね」


「奴隷魔法? ってあれか? 魂に魔法陣を刻むってヤツか?」


「そうです。魂の感覚も人とかとほとんど同じ感じだったので書き換えも出来そうです」


「は? どういう事だ?」


「俺は、実験と証して人を大量に殺した事があるんです。たぶん現在発見されている奴隷魔法を一番詳しく知っています」


「なんだと! お前は! …はぁ、違うな。盗賊でも何でもない、ましてや快楽殺人者なら獣人の国やエルフの国で人助けなどしない。訳を話してくれるな」

 ラクチェさんは怒り酒を一気に飲む、次の瞬間に気が抜けたように座り言う。


 思ったよりも冷静に話を聞いてくれるみたいだな。

 はぁ…自分自身が情けない。人に話して罪が無くなる訳でもないだろう。まして、怒られたとしても気持ちに整理が付くだけだろう。はぁ…

 そんな事を考えて黙っているのを見かねてタクミ君が二人に説明してくれていた。時折追加で説明したが、些細な説明だった。


「なるほどな、最近賑わしていた薬はエルフの国が作ってたって訳か。意識を誘導された事などないから、何も言えんな」

 ラクチェさんが話を聞き終わり、酒をあおってから言う。


「インテリジェンスウェポンを、私なんかに渡してしまってもいいんですか?」


「ん? そんなもん関係ないだろ? 今は意識を誘導されているわけじゃないんだろ?」


「しかし、人を多く殺しています」


「はぁ? 死刑囚を殺したからって何だって言うんだ? それが罪だと言うなら、盗賊を数千人単位で殺している俺は死ぬしかないだろうな。がっはっはっは」


 この世界の人は、俺達と根本的に考え方が違うって解っていたはずなのにな。自分本位で本当に情けない。


「で? いけそうか?」


「いけるとは言いにくいですね。インテリジェンスウェポンの登録抹消・再登録は問題なくできますが、抹消した瞬間に持っている人が登録者となると思います。つまり、俺になってしまいます。あと、抹消した瞬間に内蔵魔力が暴走する可能性もありますね。暴走した場合の被害は、この街がすっぽり入ってしまう位ですかね?」


「なんだそりゃ…つまり、一か八かの賭けに出なけりゃ無理って事か?」


「そう言うわけじゃないですよ。俺一人では無理なだけで、仲間の一人に頼んで手伝ってもらえば安全確実に再登録されますね。もっと確実に行うなら半日くらい貸してもらえると有り難いですね」


「持ってても何も出来んし貸すのは良いが、記録を見せてもらいたい。それが条件だ」


「それはもちろん、構いません。では、借りていきますね」


 俺はインテリジェンスウェポンを亜空間収納にしまう。亜空間収納を使える事に驚かれ、色々聞かれる事になったが些細な事だ。

 インテリジェンスウェポンを作り変え、他の形にして女性陣の誰かに渡したい。出来るか解らないし、全うな方法で登録を変更出来るかすら解らない。

 構造を解析してゴーレムの精度を上げるのを第一の目標にしておこう。色々考えて失敗した時に自分自身のモチベーションが下がると面倒だし。

 タクミ君と他愛もない話をしながら屋敷へ戻る。


「あ、カナタさん。水売りの人がいますよ」


「水売り? って、飲み水を売ってる人ってこと?」


「そうですよ。朝方には人族の街で売って、夕方に獣人の街を回って売るらしいです。この光景を見ると水道って凄い事だったんだと実感しますね」


 ウルフローナは比較的安定していたし人々も優しい人が多く、異世界と言うより海外に派遣している感覚に近かったが最近は異世界なんだと再確認させられる事が増えた気がする。

 屋敷に入り、すぐにミスティ星へ向う。ゲートが設置された家を出ると、亜空間収納からコロシアムを出して確認する。

 大きさ直径200mの半円形で見た目だけなら東京ドームに近く、エルダートレント材で出来ているのでマジックハウスと化している。

 なんだかんだ色んなイベントでコロシアムを使う事が多いし亜空間収納に一つくらいあっても悪くないだろう。

 中も確認をしていく、コロシアムと全く変わらない。地面も土で出来ている。

 全部の確認が終わると亜空間収納にしまい、次の確認に入る。

 確認する物は簡易的な壁、H鋼を地面に突き刺しHの隙間に金属の板を入れる本当に簡単な壁だ。板も節約のために縦長にスリットが開いている。

 スリットがあるので剛性等を心配して、オークに攻撃させて見たが凹む程度で突破するにはかなりの時間を要することが確認出来ている。

 ドワーフのラクチェさんの話では、真魔鉄なので盗まれる心配もあるが鉄鉱石も砂鉄も腐るほどあるので特に気にするほどのことはない。

 屋敷に戻るとユカさんが起きていた。


「カナタさん、本当にすみませんでした。楽しくてつい飲み過ぎてしまって」


「いや、謝る必要はないよ。俺も楽しかったから気持ちが解るし、気を抜いて酔うのも久しぶりだったでしょ?」


「はい、まぁ、それはそうですけど」


 まだ納得いかないようだが、話してるうちに気が紛れたのか今度なんかやってくれると言う事で落ち着いた。

 出切ればエロイ事をお願い…はっ! ここってウルフローナじゃないし、夜の店にいけるんじゃない?

 たしか、そう言うお店があるって教わってたよな?

 でも、近場の日付は駄目なんだよな…今日はナリッシュ君達が尋ねてくるって言ってたし、明日はフランさんが兵士を数人連れてダンジョン都市にやってくるっていってたし。

 なんとか時間を作って行かなくてはならない。これは異世界の探索の基本だからだ!

 通信機にあるスケジュール機能を使い時間を作れないか睨めっこしていると、ナリッシュ君達が尋ねてきた。


「お久しぶりです、カナタさん」


「お久しぶり、ちょっとガッシリしたかな?」


「そうですか? 自分じゃ良く解らないのですが」


 皆に挨拶をして、新しいPTメンバーを紹介された。う~ん、ナリッシュ君はハーレムの道を進んでいるのか。

 色々な話を聞いていく、アベリアさんも久々に顔を出し全員で食事をする。

 食事中の会話はダンジョンについてなどが主な物だ。罠の見つけ方や解除の仕方など色々聞けて勉強になる。


「あれ? まだ探索者登録はしていないんですか?」

 ナリッシュ君が疑問を口にする。


「なんか、教官の数が足らないらしくてね」


「あぁ、怪我をする教官が増えて滞ってるって言っていました。僕達にも教官役をやるように言われて…」


「お! じゃあ、丁度良いね。探索者の登録の教官役をお願いするよ」


「駄目です! 絶対駄目です! 本当に勘弁して下さい」


 何故か良く解らないが、思いっきり拒否された。

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