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努力の実る世界  作者: 選択機
第2章 ティンバー・ウルフローナ王国
39/406

第29話 テンプレのポンプ

最近はブックマークの増減に一喜一憂しています

少しでも面白いと感じていただければ幸いです


ブックマーク・評価 本当にありがとうございます


6/20 改稿あり 加筆あり

「食事前にちょっとダイニングに集まってください。部屋にいる人とかにも声かけて下さい」


 居ない人に声を掛けてくれるように頼んで、ダイニングで待つ。


「集まって貰ってありがとうございます、昨日のお金を分配しようと思います」


「このクランの経営に使った方がいいと思うのですが・・・」

 ケイタ君が眼鏡をクイッとしながら言う。


「うん、みんなが良ければ、クランに半分入れてもらって生活費にするね。後の半分はみんなで山分けしよっか」


「カナタさん、今お金を渡されたとしても使う場所が無いですし、要らないんじゃないですか?」


「えっと、練習用の武器を買ってみたりしても良いと思うし、生地を買ってアヤコさんに服の作成の依頼をしてもいいと思うし、この世界のお金になれておくって言うのも必要でしょ?」


「それもそうですね、話の腰を折ってしまい、申し訳ありませんでした」


「いいよいいよ、気にしないで。説明が不十分になることがあると思うから、聞いてくれたほうが助かるし。

 でね、昨日の報酬の合計金額は【345230】になりました。

 端数を切り捨てちゃってますが、一人頭13000でいいですか? リョウタロウさんと計算したのであってると思いますけど・・・」


 誰一人として文句をいう人は居なかったので、そのまま渡す・・・後で気がついて細かくしてもらっておいて良かった。


「明日はフランソワーズ様が来るので、来るまでお休みしましょうか~」


「ごねんね~、いつ位に来るか解る? 料理の準備とかしたいんだけど」

 ヨシさんが、手を上げて聞いてくる。


「時間指定はなかったんですよねぇ、性格的には朝に来るんじゃないですかね?」


「そうか、調味料が完成してから来て貰いたかったんだが仕方がないか・・・」

 タダシさんが、腕を組みながら言う。


「ちなみに何を作っているんでしょう?」


「最近作り始めたのは、大豆モドキが有ったから味噌・醤油だな。今日手伝いに行ったら麦麹があったからな」


「麹が? 使っていたんですか?」


「それは聞かない方がいいと思うわよ、ふふふ」

 ヨシさんは口元に人差し指を当てて言う。


 捨ててある麦に付いてたとかそんな感じなのかな? ゴミに出されてた物って聞いたらいい気はしないよな。


「最近はって言ってましたが、前に作ったものはなんですか?」


「コノミに言われてな、マヨネーズを作ったぞ。

 新鮮な卵が売ってなかったから味はそこまでじゃないが、鉄板だといっておったからな。

 あとはブラウンソースを作ってみたんだが・・・トマトが若くて美味しくないのでな、まぁまぁの味だな。グラスドビアン・・・モドキはまだまだ出来上がっていないな」


えっと・・・なに? グラス・・・なに? 全く解らないんですけど・・・ネットで調べたいよ全く・・・


(ブラウンソース:小麦粉とバターをいためて茶色くした物をブイヨンで伸ばすソース。

 グラスドビアン:仔牛の骨や筋を長時間煮込んで漉した物【濃縮された肉汁】、作中は牛のモンスターのためモドキです)


「それなら、中濃ソースみたいなものはまだ作れませんか?」


「作れることは作れるが、甘みの多い果物と砂糖がないのでうまくはならんぞ」

 タダシさんは、頷きながら言う。


「果物に砂糖か・・・やっぱり甘いものは貴重なのかな?」


「たぶん、そうなのだろう。香辛料自体も無いものが多かったし、やけに高かったしなぁ」


「やはり自分達で取りに行くのがいいんでしょうね・・・あと明日は何を作るんですか?」


「あの嬢ちゃんは肉が好きだったろう? だから豚肉のみのハンバーグでも作ろうかと思っている。お土産にはカツサンドがいいと思ってな、どうだ?」


「いいと思います。肉は、万国共通好きな物ですから!」

 これで料理はOKだな。


「あとは・・・コノミさん、いい?」


「なんでしょう?」

 コノミさんは、いきなり話を振られて、ビクッとしながら言う。


「井戸のポンプって作れる? って違う、井戸のポンプの設計図描ける?」


「いえ、構造すら解らないんですけど」


「俺が書いたら、清書して貰える?」


「え? 描けるんですか? 何ですか? チートですか?」

 チートって・・・


「単に構造を知っているだけだよ。えっとね、車のショックアブソーバーの構造に凄く似てたから覚えているだけ」


「その部品も全く解りませんけど・・・もういいです! 何でもいいです! 清書しますよ!」

 え? 何で怒られたの? 周りの皆も呆れてるのなんで? なんかやっちゃった?


 その後、ノートに簡単な図を書いて、効率よく水をすくうにはどうしたら良いか話し合って、結局基本形に落ち着く・・・そんなもんだよね。

 この前買った羊皮紙に綺麗に清書して貰う。

 この世界の文字が書けるのは俺だけなので、注意事項として呼び水の事も書いておいた。

 これでお土産としてはバッチリだろう。


 そこからみんなでご飯を食べて、お喋りをして寝た。


 次の日の朝、いつもどおりショウマ君と朝錬をするが、今日はケイタ君を誘ってみた。

「しょうがないですね」

 なんて言っていたが、かなりノリノリだった・・・まぁこっそり付いてきてたしね。

 明日は、タクミ君とリョウタロウさんを誘ってみよう。


 朝錬をしていると、門の方からフランソワーズ様が来ているのが見える。


「朝から稽古か! 感心だな!」

 フランソワーズ様は、腕を組み頷きながら言う。


「おはようございます、フランソワーズ様、グロスさん」


「ああ、おはよう。金を渡しに来たぞ」


「はい、ありがとうございます。では、一緒に中へ入りましょう。2人はダイニングへ行ってて」


 中に入り、魔力の残量を確認して貰うために階段下へ。


「な! なん・・・と・・・魔力が溜まっておる・・・凄いではないか! カナタよ、ありがとう、助かった」


「いえいえ、この位何でも無いです。お役に立てたのなら幸いです」


「報酬を渡したいが、持ち合わせがない! 今度来た時に渡そう」


「いえ、家に住まわしていただいているだけで十分です」


「そうもいかん、なにか・・・何かしてほしいことなどは無いか?」


「そうですね・・・でしたら、パルメント殿に会ってみたいのですが・・・」


「ああ、もう手紙は送ってあるので返事まちだ。他にはないのか?」


「そうですね~、今のところは無いですね」


「なんと欲がない! そんな事では大物になれぬぞ!」

 えぇ~・・・何で怒られたわけ・・・いきなりだと思いつかないんだよねぇ・・・


「それよりも、食事していきませんか? タダシさんが、美味しい料理を作ってくれていますので」


「そうか? では、頂くとしよう。褒美は思いついたらギルドへ言付けておいてくれ」


「はい、かしこまりました」

 そう言って、みんなでダイニングへ向かって行く。


「うん、来たか! 早速だが温かいうちに食べよう、席に着いてくれ」

 2人が手分けをして食事を運んでいき全員に行き渡った所で、


「では、いただきます」

 朝からお肉で重い気がするが、若返ったせいか解らないが胃もたれなどしない。

 素晴らしい、若返り効果! ただ、最近歯がグラグラするんだよね・・・生え変わり? 気のせいかもだけど・・・最近タダシさんの髪の毛も増えてるように見えるし・・・


「な、何だ? うまいな・・・これは! これは、なんと言う料理なのだ? このソースは何だ? どう作るんだ? 肉なのに柔らかい・・何だこれは・・・パンも柔らかくほんのり甘い! 何なのだ? どうなっているんだ?」

 フランソワーズ様は一口食べては、首と尻尾をぶんぶん振りながら喋っている。


「落ち着いてください。落ち着いて、落ち着いてくださいってば」

 なだめようと必死になるが、興奮が冷める気配は無い・・・グロスのほうを見ると、一口食べて固まっている・・・助けは期待できない・・・


「食事終わったら、説明をしますから、先に食べちゃってください。冷めちゃうと折角の料理がおいしくなくなっちゃいますよ」


「うむ、それもそうか! 後での説明は約束だぞ! いいな? 絶対だぞ!」


「はい、料理屋も出せたらと思っていますので、全部は言えませんが」


「それはいい! 名案だ! 名物ができるのは大歓迎だ!」


「ありがとうございます」


 驚くほどお代わりをしてから食事が終わり、簡単に作り方を説明した。


「なるほどな、ダンジョンの自由都市でも食べたことの無い美味さだった。素晴らしいな」

 ダンジョンあるのか・・・その前にアイテムバッグだろうな、直ぐパルメント殿に会えるといいけど・・・


「食事のお土産もございますので、後でお持ち帰りください」


「何! ハンバーグをくれるのか!?」

 フランソワーズ様は、急に立ち上がり、尻尾を振りながらキョロキョロ周りを見る。


「い・・・いえ、カツサンドという食事ですね、冷めても美味しいですよ」


「ハンバーグではないのか・・・」

 どんだけハンバーグ好きなんだよ・・・余分に作った分まで全部食べたじゃないかよ!


「あと、こちらも喜ばれる物だと思います」

 ポンプの断面図が描いてある羊皮紙をフランソワーズの前のテーブルに置く。


「これは何だ? ハンバーグを作る魔道具か? それとも、食べ物を作る魔道具なのか?」

 食べ物から離れてくださいよ!


「これはポンプと言って水を汲む機械です」


「そうか・・・だが、獣人族は魔力が少ないので魔道具は宝の持ち腐れだ」


「これは、魔力を使わず水を汲むのです」


「な! 何? そんな物があるのか!? なんと言うことだ・・・」


 よし、ポンプもテンプレどおり無いようだな・・・ポンプの使い方・弁の部分の劣化などを説明する。素材については水に浸けっぱなしで大丈夫な素材をって言っておいたから大丈夫だろう。


「試作をして、実用できるか検討してから報酬を払おう。いくら払えばよいか解らぬゆえ、叔父上にも報告しなければ」

 あれ? 思った以上に大事になってる? まずったかな?


 報酬の銀貨2枚を置いて、足早に屋敷を出て行く。また来るって言ってたので、まぁ大丈夫でしょ。

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