表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
努力の実る世界  作者: 選択機
第4章 ウルフローナ国 新王都モンステラ編
380/406

第311話

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。

 俺が全く役に立たなかった事は、皆の成長と受け止める事で乗り越え全員を窪地へと呼ぶ。

 ライナたちが呼んだ冒険者達一人一人に報酬を渡し、盗賊達の身柄を買い取る。

 話していた予定よりかなり大目の金額を渡し口止めをお願いし、俺達と共に来た商人をダンジョン都市まで護衛もお願いした。

 冒険者ギルドを通した依頼ではないが、金額が金額なので冒険者達はキビキビと動きダンジョン都市を目指して行った。

 卒業生達も女性陣が付き添い商隊と共にダンジョン都市を目指して歩いてもらっている。

 俺とショウマ君は全身鎧のままだし、他の皆は帆布のような厚い布地のローブを全身にかぶり顔も面で見えなくしている。


「お前達、なんでこんな事をするんだ! 狩りをしていた時の流れ矢がたまたま飛んで行っただけだろう!」


 盗賊達は、そうだそうだと叫んでいる。


「あれはたまたまと言うんですか。それにしては皆さんの流れ矢が一斉にこちらに飛んできたようですが」


 コルネット・タルーンを操り一人の盗賊に話しかける。


「そんな事は知らん! 食料不足なのは知っているはずだろう? しかも、ここはダンジョン都市の管轄地で緩衝地帯のはずだ」


「ダンジョン都市の管轄地で、流れ矢が飛んだだけだから無罪だとおっしゃるのですか」


「当たり前だ! さっさと縄を外せ!」


 俺達に向って盗賊達が罵声を浴びせる。


「質問ですが、どの様な魔物を追っていたのですか?」


「あん? オークだよ、オーク。食糧不足で高値で買って貰えるんだ」


「ふむ、我が商隊とあなた方の間にオークが沢山居た訳ですか。しかし、商隊とあなた方の全方位を囲んでいた冒険者や私の手の者達はオークや魔物など見ていませんでしたが?」


「知るかよ! 居たんだよ! 大方、仲間が勝手に狩って持って行っただけだろ!」


「左の(カナタの事)、話が合いません。嘘付きはどちらか確認したいのですが」


「畏まりました」

 俺はコルネット・タルーンに頭を下げる。


「な、なんだ? なんだよ」


 盗賊の男に近づき胡坐で座っている男の膝を踏み砕く。すぐさま回復魔法を使い膝を治し又踏み砕く。

 周りの盗賊が目をそらすほどの叫び声が響き、何度か行ったところで男は涙を流し横たわったまま謝る。

 髪の毛を掴み体を持ち上げ、スキルの威圧を使って盗賊全員を怯えさせ男を近くに居る盗賊に投げつけ、もう一度近づき髪の毛を掴み持ち上げ回復させ手を放す。

 地面に崩れ落ちた男の顔面を踏みながら盗賊たちに向けて喋る。


「聞かれた事に素直に喋れ。死にたいのなら直ぐにでも逝かせてやる」


 盗賊達はその光景を見て誰も何も喋らなくなってしまった。


「さて、皆さんには聞きたい事があります。リーダー格は何方ですか? 皆さんは、リーダー格の方を見て下さい」


 コルネット・タルーンを操り盗賊143人に話しかける。

 しかし、チラチラと動いている人は見受けられるがあからさまに見ている奴はいない。

 縄を切り逃げ出そうと動いている人もいる始末だ。


「最初に言っておきますが、この黒い縄はミスリル以上の切れ味のナイフでも切るのに2時間くらいいかかります。二重菱縄と呼ばれる特殊な縛り方をしていますので、縄抜け出来るとは思わない方が良いでしょう。それを踏まえて、皆さんに提案です。リーダーを教えて下さい、今なら罪を軽くする事も出来ますので」


 コルネットは問いかけるが全員下を向き、たまに周りを見る奴がいるだけだ。

 これでは埒があかない。遅くなりたくないし、最後の手段に出るか。いや、もう1度だけ声を掛けてみよう。


「声を掛けるのも最後です。罪を軽くしたい人は居ないのですか?」


「あ、あの、参考までに軽くなるとどの位の罪になるんですか?」

 若い見た目の男が怯えながら聞いてくる。


「最大でですが、借金奴隷となる程度まで落とす事は出来ます。今のままでは一族全員死罪ですので、破格と言えると思いますよ」


「え!? なんで?」


 一族全員死罪と言う言葉を聞き盗賊達はどよめく。と言っても、かなり脅しているからおおきく騒いだりはしていない。


「さて、誰も協力してくれる人は居ないようですね。本当に残念です」


「待ってくれ、いえ、待って下さい。言いますので」


 喋った人は全部で58人。冒険者ギルドカードを全員持っていたので名前やLvも確認する事が出来た。

 喋った人間は本当にようやくダンジョンに入る事が許された位の強さの人達だった。

 リーダー格の疑いがあるのは全部で15人、副リーダーないし幹部のような働きをしていたのが20人。

 リーダー格と思われる男達は軒並みLvが高い。高いと言ってもLv40位なのだが、他の人と比べると高いのだ。

 そしてリーダー格だけは冒険者ギルドカードを持っていない。身元がばれる事を嫌ったと思う。

 幹部は半分くらい冒険者ギルドカードを持っていなかったが、Lvが特別高いと言う事もないようだ。


「さて、この木札を見て下さい。これはウルフローナの王族と同等の地位があると言う魔道具の木札です。つまり、皆さんはウルフローナの王族に間違って矢を射たと言う事になります。緩衝地帯であろうが、王族への戦闘行為とみなされる行動を取った皆さんは死罪。皆さんの親戚縁者も死罪、もしくは犯罪奴隷となります。お解りですね?」


 それを見た盗賊が戸惑い。何を言って良いのか解らなくなっている様だ。

 何処かの縮緬問屋のような感じだな。頭が高いとでも言った方がいいか?


「俺達は人族だ。獣の国の法で裁かれる言われはない」

 リーダーと見られる男がコルネットを睨み付けながら言う。


「ならば、マーテルマルベリーの王族が国境付近で獣人に襲われ国を滅ぼしたと言うのもおかしいですよね?」


「そんな事はない! 人族の方が獣より優れている! 獣は人に飼われていれば良いのだ!」


 こんな所で問答してても意味はない。無理やり冒険者ギルドカードを再発行し身元の調査でもした方がいいだろう。

 地球でも自爆テロなどは結構あるっぽいし、何をやられるか解らないから改造版奴隷の首輪を全員に付けておいたほうが良いよね。

 改良版奴隷の首輪は魔力を使おうとすると、魔力を吸収、霧散させる効果を追加したものだ。今回は、主人としてつけたのではなく魔力霧散効果だけを狙ってつけたものだから、外そうと思えば外せる。

 しかし、奴隷の首輪を外すのにも魔力を使うから外すのは難しいだろう。

 全員を馬車檻に入れ、ゴーレム馬を出し繋いでいく。冒険者ギルドカードをもっていなかった人と喋らなかった人は立った状態でぎゅうぎゅうに馬車檻に詰め、喋った人間は簡易的な椅子がある比較的スペースのある馬車檻に詰める。

 タダシさん、リョウさん、ケイタ君の3人がスノードロップ領に盗賊を引き渡しに行く。


 俺も行きたかったが、コルネットの操縦は俺しか出来ないので仕方がない。

 それにしてもお粗末なものだったな。 敵は何を考えている? それとも、捕まえられるのも想定内と言う事か?

 逆に捕まえられる事を見越して何らかのことを準備していたのか? あ~、ぜんぜん分からん。

 自爆テロのような事も警戒して全身を魔法で探索し魔流眼でも確認したし、歯などに毒を詰めているとかありがちな事も警戒したし、ギフトや魔法の探索を潜り抜けるアイテムがあるかも知れないから改良版奴隷の首輪も付けさせた。

 もしかしたら襲ってきた奴の中に貴族が紛れ込んでいるとか、本当にタイミング悪くその場所に居合わせただけとかも考えられるがそんな事を考えても限がない。


 相手がどの様な身分でも調べないと解らない。なるようにしかならないか……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ