第305話
ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。
メールを簡単に返信をして内容については一端置いておき、アスターさんともう少し話す。 だが、噂話ばかりで、確定した情報は出てこなかった・・・既に、目ぼしい情報は出たようだ。
話しを一端中止し一息つくと長いすにもたれ掛かる。 情報が混雑して来たな。 整理しよう。
亜空間収納から紙を取り出し、情報を書き出していく。
戦争が始まるかも?
これは、食料の高騰。 レティア教から信者への情報提供。 イサオさんがマーテルマルベリーと組んで攻略できそうだから(造船も早めに終わるかもという噂あり)
スノードロップ領の食料の高騰の原因は?
俺達が食料を買いすぎて元々インフレだった事。 各村が盗賊に襲われ、食料が奪われた事。 ダンジョン都市と繋がる街道に盗賊が出て食料を奪われている事。
食料が滞って、何が起こった?
冒険者が買い物にスノードロップの街へ挙って来て、食料を買い漁り食料の値がもっと高騰。 大々的に食料を積んだ馬車は盗賊に襲われやすいらしい。
盗賊について。
各村を襲った盗賊は、食料を殆ど持って行った様だが村人を殺していない。 怪我した人は多数。
村を襲ったと思われる盗賊は、ダンジョン都市に着たばかりの新人探索者との事。 リョウさん達が捕まえた盗賊談。
人族の探索者ギルドにお金を払うか、奉仕(盗賊)活動をしなければ探索者ギルドに入る事が許されていないと言っていたようだ。
探索者ギルド。
冒険者ギルドとある程度の繋がりを持ち、ダンジョン探索者のサポートをしている。
マーテルマルベリー国が支援する人族の探索者ギルドと、ウルフローナ国が支援する獣人、エルフ、ドワーフなどの多種族の探索者ギルドの2つがある。
登録した探索者ギルドのメンバーがダンジョンをクリアすれば、その国のダンジョンになるという魔法契約をしている。
ダンジョン都市の冒険者ギルド。
従業員が人族しかいない。 獣人を冷遇している。 1週間以上張ってあるクエストしか受けさせてもらえなかったりするらしい。
レティア教について。
人族の大きな街に1つは教会があるデカイ宗教組織。 司教の話などを総合的に見ると、街を魔物に襲わせ助ける自作自演を繰り返している集団。
ギフトを確認し優秀な子供を無償で育て上げている。(洗脳しているかは不明)
今回は、戦争が始まる事を信者に何故か情報提供した。
俺達のソメイヨシノの足止めをマーテルマルベリーから依頼されている。
マーテルマルベリー国。
軍事が盛んな国家。 絶対君主制。 人族至上主義。 ウルフローナ国とダンジョン都市をめぐって争っている。
学園の生徒たちの仇がいっぱいいるクソ国家。
う~ん、書いてみたけど解んないなぁ。 何かしら見落としがあるっぽいけどどこだ?
情報を書き出し終わった時に1時間経った様で、ヘデラ侯爵をアスターさんが呼びに行っている間に紙を眺める。
何か見落しがあるのか? もっと広い視野で物事を見ないと駄目なんだろうけど。
なんでこうなったんだ? ぜんっぜん解らん。
そもそも、なんで俺達の足止めをしてたんだ? イサオさんからの依頼か?
もっともっと広く、それこそ過去から未来にいたるまで全てを・・・考え・・・
過去? あ! そうか! あぁそうかそうか、ようやく解った。
でも、そうだとすると良い趣味してるよ。 俺より性格が悪いんじゃないか?
そうなると、なんとしてでも俺達全員がダンジョン都市に行かなくちゃ駄目だな。
その前に、盗賊も全て捕まえるようにしなければならない。
さて、リョウさんが皆にスノードロップ領に集まってもらうように連絡をしてくれたけど、急いで戻ってもらえるように連絡しないといけないな。
「フランさん。 皆を一端ここに、領主の屋敷に集めたいんですけど何とかなります?」
「何か思い付いたのか? 姉様には直接私から話すとしよう」
ヘデラ領主は、顔色も少し前よりも格段に良くなりスッキリした表情で部屋に入って来た。
フランさんが事情を説明し、話し合いは一端中止となる。
皆に連絡したからといって直ぐに集まるわけではない。 なので、商談をする事にした。
「小麦、燕麦のみで大丈夫という事ですね。 お肉はオーク50匹、これは全部首を落とし血抜きは終わらせてあります。 ですが、皮等は剥いでません。 後は野菜類ですね。 人参にピーマン、ナガチシャ・・・キノコ類も多数ありますけど全種類買いますか?」
「確かに買い取りたいのですが、おいくらになりますか?」
俺の目の前に座って交渉しているのは財務官。 ヘデラ侯爵はいったん戻って着て、フランさんと昔話中。
仕事の話じゃない時のヘデラ侯爵は穏やかな表情で話している。 フランさんも楽しそうだ。
顔色もある程度戻っているようなので、これ以上心配しなくても大丈夫そうだ。
「そうですね。 このくらいですかね?」
紙に商品名、重さ、金額を書き込む。 重さや長さなどは俺達が統一基準を設けたいと言って、ティンバーさんにお願いしてあった。
俺達の基準となってしまったが、概ね良好となっている。
他国の獣人の国でも、統一基準にするように話が進められている。
「おおお! 安い、お願いします」
「ええ、喜んで。 あと米や魚なんかはどうしますか?」
「魚はいただきたいです。 米というものが解りませんが、どういうものですか?」
「見た事無い物を渡されても困ると思いますので、今回は米は無しにしましょうか。 他には何か足らないものがありますか?」
「木材や鉄、石材なども足りません。 襲われた各村の支援もしたいので、あれば多めに譲っていただきたいです」
「襲われた各村は、仲間が支援に向ってくれて復興は完了しています。 明日からでもいつも通りの日常を送る事が可能となっていますので気にしなくても良いです。 一応確認で何名か送ってみて下さい」
文官さんは驚きの表情をして、ハッと気が付き頭を下げる。
「ありがとうございます」
「木材や鉄や石材なんかは、王都に余るほどあるはずなので、連絡を取り送ってもらえるように手配します」
王都のセードルフに伝えれば、ティンバーさんやヴォルストさんに伝わって支援物資が届くだろう。
頑張って、魔力消費減少機能付き置き型通信機を作っといて良かった。
「何から何までありがとうございます」
「いえ、こちらとしても良い取引でした」
取引が終わった所で、ケイタ君達スノードロップ領に来ていた面々が屋敷に着いたと連絡があった。
アスターさんにお願いしてメイドさんを送って貰い、俺は食品の倉庫へと文官さんと向う。
食品を倉庫に出し、チェックしてもらっている間に応接室へと戻る。
当たり前だが、ケイタ君達は既に到着していた。 アヤコさんは指編みのレースを作り、ユカさんはヘデラ侯爵と別室へ、ケイタ君は俺が残した現状を書いた紙を見ていた。
俺は、挨拶も早々にケイタ君に小言を言われる事になる。
「カナタさん、斥候達は僕の判断で接触して来た兵士に渡しましたよ。 領主の斥候だと思うので手荒な事はしていません」
「あ! ごめん、言うの忘れてた」
「良いですよ、いろいろな事をやってたんでしょうから。 それで、この紙に書いてある事は事実ですか?」
「そう、事実だよ。 ケイタ君はどう思う?」
「敵・・・になるんでしょうか? 読む限りでは、相手にもカナタさんがいるという事ですよね。 かなり厄介ですね」
「えっと、俺って褒められてる? それとも貶されてる?」
「両方ですよ。 それにしても、一番怪しいのはレティア教ですか。 噂ではかなり良かったのですが」
「利権を持った一部が・・・ってことじゃない? 教皇って、ずっとお祈りしてるって聞いてるし枢機卿も1人以外余り外に出てないって聞いるから」
「僕も聞きました。 しかし、現状では可能性が高いというだけですから気を引き締めないといけないですね」