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努力の実る世界  作者: 選択機
第4章 ウルフローナ国 新王都モンステラ編
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ナリッシュとダンジョン(1)

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。

 僕達は商隊を護衛しながらダンジョン都市へと到着した。 護衛した商隊は僕達が偶々近くを通ったときに助けた商隊だ。

 ダンジョン都市については全く無知だと言うと、冒険者パーティ紅の爪のリーダーのベルンティアと依頼主でもある商人達に話を聞く事が出来た。

 カナタ様からの依頼でもあるイサオさんと言う人の事も聞く事が出来た。

 なんでも数日で中級の探索者(ダンジョンに潜る冒険者の呼び名)と同じ所にまでたどり着き、あっさりと中級の壁と呼ばれるボスを倒したとの事だった。

 強さについては全く疑う事が出来ないくらいらしいが、傲慢で強欲・・・色んな探索者と揉めたりしている様だ。

 しかし、PTメンバーの事は大切にしているとの話も聞けた。 う~ん、どんな人なんだろう? 仲間は大切にするが外の奴らは敵というような感じなのかな?

 直接会ってみたかったが、直接会える事はないようだ。 理由は、イサオさんが人族で僕が獣人族だからだ。


 ダンジョン都市の人族と獣人族は争っているというのは聞いていたが、直接的な戦闘で争っている訳ではなくクリアを先にした種族の土地になるというものだ。

 それがなぜか拗れ、ダンジョン都市では2つの街が出来上がっているらしい。

 人族しかいない街とその他の種族が住む街、2つの街に名はないが人族の街と獣人の街と呼ばれているようだ。

 獣人族は人族の街に入る事が許されないようだ。 もちろん、人族の奴隷ならどのような種族でも道具として扱われるので中に入る事が出来るみたいだけど。

 なので、僕達がイサオさんに会うためにはダンジョン内で会うしかないらしい。

 いつ入っていつ出ているかも解らないのに会う事なんて不可能と言える。

 まぁ、カナタ様から直接会う必要は無いと言われているし会いに行く事もないだろう。

 商人から渡された報酬を分配され、皮袋にしまって鎧と胸の間にしまうとベルンティアが口を開く。


「なぁ、ナリッシュ。 良ければ一緒に冒険者ギルドへ報告にいかねぇか?」

 ベルンティアはこちらを見て言う。


「僕達も報告しなきゃいけないので一緒に行くのは構いませんが、冒険者ギルドってあるんですね。 てっきりさっきベルンティアが寄道した探索者ギルドが兼任しているのかと思いましたけど」


「中立地帯に冒険者ギルドあるんだが、人族とのいざこざが絶えないから治安が悪くてな。 面倒なんだ」


「そうなんですか。 やらなきゃいけない事もあるので、一緒に行けるのは助かります。 よろしくお願いします」


 中立地帯には協会や冒険者ギルドなどが建っているが、その他の家や元商店のような建物はボロボロで誰も住んでいないようだった。

 そして、中立地帯はなんと言っても臭い! その辺の道端に排泄物などがある。

 この街は、壷を置いてその中に排泄し捨てるわけではないのか? でも、獣人の街はこんな匂いなどしなかったし・・・どうなってるんだ?

 冒険者ギルドに入ると早速人族の人に絡まれる。 と言っても、何か言われた訳じゃなくカウンターへの道を塞いで来るくらいだが。


「おいおい、誰だ? 獣は獣魔のスペースに繋いで置かなきゃ駄目だろう。 飼い主に文句言ったほうが良いか?」

 1人の冒険者が僕達を指差して言うと、他の奴らも笑い声を上げて煽って来る。


「俺達は争いに来た訳じゃなく、報告に来ただけだ。 退いてくれ」


「おい、獣がワンワン言ってるぜ? 誰か言葉解る奴いるか?」

 またも大きな声で笑い誰も道から退こうとしない。


 本当に面倒だな。 退いてくれれば報告だけなので一瞬で終わるって言うのに。


「お! 結構可愛い女がいるぞ? こっち来て酌でもしろや、気に入ったら絞り立てミルクでもご馳走してやるよ」


「それなら俺の方が良いに決まってる。 俺の方がテクニックは上手いぜ? 1回ヤってみりゃ解る」


「はん、お前彼女に振られたとき下手糞って言われてただろうが!」


「お前だって、子供サイズって言われてただろうが!」


「あん? やんのかてめぇ」 「上等だ。 訓練場にいくぞ」


 何もしていないのに冒険者達は訓練場に連なって行ってしまった。 呆気に取られていると、ベルンティアが喋り出す。


「まぁ、絡まれずに良かったというこった。 報告に行こうぜ」


 カウンターに着くと、無表情な人族の受付嬢が淡々と受理をしてくれた。 それにしても、ベルンティアの報告書は大量だな。

 ベルンティアが絡まれた事を抗議するのかと思ったが、抗議をしないようだ。 と言うか必要以上に会話をしていないし、冒険者ギルド内でも確執があるようだ。

 僕達はカナタ様に手紙を出せるかどうか聞いたが、何も答えてくれない。 本当にこんなんで良いのか? 冒険者ギルドは種族や国を超越した団体だったはずだろう?

 文句を言おうとしたときに、ベルンティアから止められる。


「何を言っても無駄だ。 この冒険者ギルドは人族しか居ないからな」


「でも、冒険者ギルドは種族を越えて協力する団体のはずでは?」


「そんな事は関係ないんだろ。 冒険者ギルドは探索者ギルドと繋がっていて、人族が優位な今はこんなもんさ」


 獣人族が優位だった時代は、種族による差別は少なかったと言う話はあるらしいが、かなり昔の事で余り覚えている人も居ないようだ。

 そうなると、手紙はどうやって出せば良いのだろう? ベルンティアに相談すると、探索者ギルドで簡易的に冒険者ギルドの受付などをしてくれるそうだ。

 今回の報告は溜まっていた報告書を持って行ってくれるように頼まれていたらしい。 本来は探索者ギルドの職員が報告書を持っていくのだが、仲は余り良くないらしく数ヶ月に1度報告しにいくようだ。


「これに名前とパーティ名・・・はないんだったか、まぁ、書いてくれ」


 そう言われ、報告書を軽く読むと冒険者ギルドへの報告を依頼した報告書のようだ。 報告書に名前を書いて渡す。


「それじゃあ、探索者ギルドへ行くか?」


「そうですね。 時間もまだまだありますし一緒に行きます」


 探索者ギルドに入ると、多様な種族が探索者ギルドに併設された場所で笑い合い飲み食いをしていた。

 特に絡まれる事も無くカウンターで、受付を済ませる。 手紙が出せるか質問したが、ここならば手紙を出す事が出来るらしい。


「すみません、ナリッシュ様、カリッシュ様(ナリッシュの妹)、ミリア様(ミミリさんの妹、ナリッシュと幼馴染)。 探索者として登録するためには、探索者の適正テストとして検査官との模擬戦を行っていただく事になりますがよろしいですか?」


「はい、構いません」


「模擬戦を行うのがいつがよろしいですか?」


「今からは出来ますか? 明日から少しダンジョンに潜ってみたいので」


「はい、構いません」


「待てよ、ナリッシュ。 強いのは十分解っているが、今さっき着いたばかりで疲れてるだろう? 明日にした方が良いんじゃねぇか?」

 ベルンティアが心配そうに言う。


「模擬戦に負けても特に何かペナルティは無いって聞いてたから大丈夫ですよ。 それともペナルティがあるように変わったとかですか?」


「ペナルティはございません。 ですが、次ぎ受ける事が出来るのは1週間後になります」

 受付嬢さんが言う。


 訓練場へと移動し模擬戦用の刃を潰した武器を渡される。 ストレッチと軽いランニングをして体を温めると検査官と言う熊の獣人と豹の獣人、爬虫類と思われる人などが現れる。

 この方達は、中級探索者PTとの事だった。 しかし、僕達新人を相手にするのが嫌なのか、やる気も無い様に見える。

 僕達が弱く見えてるのかな? たしか、ショウマ様からこんな時の注意事項を教わったな。

 最初の1撃に全ての力を込め叩き付けろ! だったよね? 違ったっけ?

 まぁいいや、1対1なんだから教えてもらった全てを出してどのくらい強くなったのか試してみよう!

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