第298話
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違和感があったが結局それ以上の進展はないままになっていた。
オモチを連れてアカネちゃんが討伐に行ってしまったため、司教達が魔物の発生の事をどのように話していたのか解らない。
討伐後の司教達の話しを調べてもらったが、自分達が役に立たなかったと言う事しか話してなかったようだ。
俺も従魔を本気で探したほうが良いかもしれない。 しかし、俺が契約して暴走したらと思うと、どうするべきか迷うところだ。
人で諜報員などを育成する? いや、それなら録音が出来るゴーレムの方が良いか。 でも、それを開発するためにはアカネちゃん、コノミちゃん、ミズキさん、ケイタ君を説得しなければならない。
今も、オモチに盗聴させているのもアカネちゃんには報告していない。
俺はアカネちゃんに色々調べて貰っているいるとだけ言っているから、もしかしたら気づいているのかもしれないが何も言って来ないので放置している。
盗聴の理由を言えば理解を得られるかもしれないが、自分も盗聴されているかもと言う疑心暗鬼にとらわれる可能性も・・・う~ん、本当に人生って奴は、ままならないものだな。
とりあえず盗聴の事はおいておいて、ムスリカ司教の謁見を早めて様子をみてみるのが最善か。 早速明日にでも陛下に頼むとしよう。
謁見の結果は? そう聞かれた時は、失敗したと言う事になるだろう。 いや、司教がやったと言う疑いが無くなったわけだから成功と言うべきなのか?
しごく淡々と、ただただ頭を下げお願いをしていただけだった。 しかも、断られても友好関係を築きたいと言うだけだった訳だし。
アンデッドは超自然現象と言う事なのかな? 良く解らん。
変にもやもやするけど、気にしても解決するわけじゃないだろうし放置だ。
ムスリカ司教は謁見が終わると早々に街を出て帰路に就いてしまった。
俺達もダンジョン都市に移動する準備をするとしよう。 と言っても、食料は調理済みで大量にあるし調理していないものにいたっては数を見るのも馬鹿らしいほど持っている。
武器も防具もダマスカスで統一し見るからに中級上位の冒険者だ。 ワイバーンインナーとワイバーンショットグローブ、ワイバーンマチェットナイフは未だに付けているので装備に不安などはない。
他の皆もダマスカスの鎧を上に着てたり、ノーマルワイバーンの革鎧を上に着ているので悪目立ちはしないだろう。
今回ダンジョン都市に向うのは、俺達だけではなくシャガ達(エルフの街で助けた元奴隷)、セラン達(セードルフの息子とPT)、ベトニア、ユリなどの卒業生達、ミルッフルさん率いるエルフ達、ライナ達(転生者、ハーレム野郎)や他の冒険者達、フランさん率いる兵士も一緒に行く事になっている。
人も大量に増え、ゴーレムに学園の教育プログラムを入力できた事が大きな要因だろう。
今のゴーレムの教育は基本的な事しか教えられないし、人に合わせての教育など全く出来ない。 ただただプログラム通り教えるだけ。
解らない事や個人的な相談は教師に聞く事となっている。 教師の人数はかなり増やしたが、新人教師達は詰め込み教育だったので少し不安がある。
ダンジョン都市に土地を買えば転移門を設置して移動出来るから大丈夫だと思う。
次世代の教師ゴーレムの準備も着々と進み、教師が教えている風景をケイタ君が開発した学習AIのようなものに学習させている。
一定期間が過ぎたら、学ぶ人それぞれに合わせたゴーレムによる教育が出来るようになるだろう。
俺達の準備は完了しても生徒たちは準備が出来ていない。 今回の移動は自分達の物は自分たちで用意し俺達と言うお客を護衛しながらダンジョン都市まで向う事となる。
一応、12人×日にち分の食料を余らせる+魔物や盗賊の襲撃から馬車を守るのが目的である。
行商人や村での売買、狩りによる食糧確保も許可されている。
だが、行程が1日遅れたり馬車に矢が1本刺さっただけでも失敗。 成功した場合は金一封となっている。
かなり難しい護衛ミッションだが、正式依頼ではないので冒険者としての看板には傷がつかないので問題ないだろう。 何事も経験だ。
来年からはど派手な馬車を現在の卒業生に渡して、同じ事をやってもらおうと思っている。
特にやる事も無くぷらぷらとその辺を歩き、冒険者ギルドへやってきた。
受付には知らない新人が座り、奥ではセネラ(ソメイヨシノ専属受付嬢)さんが書類の処理をしていた。
新人受付嬢が俺に気がつき立ち上がり大きな声で挨拶をし頭を下げる。 セネラさんも気がつきカウンターに向ってくる。
「カナタ様、どうしたんですか? 依頼ですか?」
セネラさんが受付嬢と交代してカウンターで笑顔で言う。
「いや、散歩の途中で寄っただけだよ」
「そうだったんですか。 皆さんがダンジョン都市に行ってしまうと寂しくなりますよ」
「ケイタ君が居なくなってじゃ無くてですか?」
俺はニヤニヤしながら言う。
「あ、あれは若気の至りと言いますか。 もう! 忘れてください!」
セネラさんは、ケイタ君に好意を寄せていた。
そんなセネラさんはケイタ君にちゃんと告白し、断られた。 その日の夜に冒険者ギルド併設の酒場で飲み過ぎ、自分で暴露したのは今でも話のネタになっている。
ケイタ君に告白し玉砕した人はかなりの数がいて、今ではその人達で集会を開いていたりするようだ。
なんと言うか、逞しい。
一通り話をして、ギルドマスターの執務室へ。 ノックをして中に入ると書類を整理しているギルドマスターがいた。
「珍しい客が来たね?」
「そうですね。 最近は朝の鍛錬の時に会ってますから、最近はここには来ないですからね」
「何かあったの? ソメイヨシノからのお願いなら優先して聞くけど」
「いえ、ただ散歩の途中で寄っただけですから」
この国にいる冒険者達の話しや兵士達の話しをして、ダンジョン都市の話を聞く。
何度聞いても人族と他種族の対立が凄い。
他にはダンジョン都市に向う各村で、大規模な盗賊団が出没しているらしい。
「ダンジョン都市にいる教え子というか、弟子には手紙を出しておいたからちゃんと会いなさいね」
「あぁ、そんな話もありましたね」
「やっぱり忘れてたのね。ダンジョンの事を教えるように手紙を出してあるわ。 1から覚えるよりも良いでしょう?」
「はい、助かります」
その後、教育についてなどを話し冒険者ギルドを後にした。
さて、また暇になってしまったな。 そんな事を考えながら畑のほうに歩く。
そういえば、簡易門の外側にも壁を作る計画が繰り上がりで実行されていると言っていたな。 作業を始めたばかりだろうけど、面白そうだし見に行ってみるか。
簡易門を出て建設しているという現場へ。
見知った顔の男達が穴を掘り土を積み上げている現場に到着した。
現場で見回りしている兵士と話し、現場で働く男達を労い果実水やお茶を蓋付のピッチャーに入れて氷の箱を作り中に入れて現場を後にする。
この門が出来上がれば農地がかなり大きくなるし、自分たち以外の工場等も現在の農地に作れるだろう。
堀を作りその土を使い踏み固めて高台にしてから壁を作る事にしたのか。
踏み固めるのにかなり時間が掛かる。 だから繰り上げて今から作り始めたって事か。
ティンバーさんは現場をちゃんと把握しているって事か。 俺も色々と見てまわる様にしているけど、これからはもっと考えなきゃ駄目だな。
そして2日後には準備が終わり、ダンジョン都市へと出発する。 その時の国を上げてのパレードは盛大すぎて未だに印象に残っている。
本当にこの国にこれてよかった。