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努力の実る世界  作者: 選択機
第4章 ウルフローナ国 新王都モンステラ編
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エリカ・ストック・ムスカリ司教

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。

 私は、朝日を浴びて目を覚ます。

 ここは? 周りを見渡すが余り見えない。 動いているものやものすごく近くなら見えない事もない。

 この目の所為で子供の頃からかなり苦労をしてきた。 しかし、この目のお陰である人に出会ったとも言える。


「エリカ、起きた?」

 ベッドの脇をゆっくりと動く影が見える。


「え? あ、枢機卿猊下。 おはようございます」

 私はベッドの上で頭を下げる。


 そうでした、今日は寝所に呼ばれた日でした。 あぁぁ、ヤバイ! 寝顔を思いっきり見られたかもしれない。 大丈夫だったかしら?


「エリカ。 2人の時は、キョウと呼んでくれと言っていたであろう? 違うか?」


「はい! 申し訳ありません、キョウ様」


「あははは、冗談だよ冗談。 昔みたいにお兄ちゃんでも良いからね」


「キョウ様!」

 私は無意識に怒ってしまっていた。


「あははは、ごめんごめん」


 このお方は、私の命の恩人でもあり心より敬愛するキョウ・サワギ・シレネ様。

 エルフと人のハーフで見た目は人族で、かなり長く生きていると自称しているお方だ。

 実際には何年生きているのかは解らない。


「今日はエリカにお願いがあって来たんだ」


「お願いですか?」


「うん、獣人の国ウルフローナへ行って来て欲しいんだ」


「あんな片田舎にですか?」


「そうそう、前に死病の新薬について大々的に発表したのは覚えている?」


 私は首を縦に振る。 そんな発表されたが、ウェーブで傷つき資金をかき集めようとしての発表で薬は偽物だろうと言う見解だった。


「一応手に入れて調べて見たんだよ。 そしたら、薬が本物だったらしいんだ」


「そんな! 技術も無く資金もない魔シルクがあるから何とかやってこれていた国のはず」


 不味いです。 死病の進行を抑える私達の教団が開発した薬が使われなくなる。 そうなれば今までの国への優位性が無くなってしまう。 


「エルフと仲が良いから共同で開発したのか。 または、最近現れた聖女と呼ばれる女性が関わっているのか。 どちらにしろ調べてみない事にはなんとも言えない」


「聖女ですか?」


「聖女と言われる人族が最近になって現れたらしい。 そちらも調べて可能なら連れてきてもらいたい」


「連れてくるのは良いですが、絶対ではないのですか?」


「うん、絶対じゃないよ。 無理やり連れてきたら力を貸してもらえないじゃない」


「と言う事は、【リンク】を?」


「うん、同じスキルを持っていたとしてもスキルやギフトが1個上に上がる可能性もあるし。 なにより、死病の薬を作ったのは聖女のスキルが関わっていると考えているんだよ。 もちろん、聖女なんて呼ばれている人がどんな人か見てみたいってのもあるけどね。 こんな重要な仕事を頼めるのはエリカしかいないからお願いできるかな?」


 私に直接言うって事は、焦っているとまでは言えないが急いでいるって事なのだろう。


「解りました。 すぐに準備をし、行って参ります」


「あと、これを持って行って」


 石の様なものを渡される。 思いっきり近くで渡された石をみて見る。


「え? これ・・・」


「そう結界石。 魔力は既に封入済みだからすぐに使えるよ」


(結界石:一定時間石の周りに結界を張る。 中から外への攻撃は一方的に可能になるチートアイテム。 使うのにLv100を越えたエルフ1000人分の魔力を貯めておく必要がある)


「こ、こんな物受け取れません!」


「いつものように魔物を軽くおびき寄せて一緒に討伐して、回復魔法サウンドスペルをかければ交渉できるとは思うんだけど、最近物騒だからなぁ」


「例のアンデット騒ぎですか?」


「お、知ってたのか。 保険と言う事で持って行ってよ。 危なかったらエリカだけでも逃げてきてね」


「はい、了解しました」


「あとね、ダンジョン都市にもよって色々買い物をしてきて欲しいし他の依頼もあるんだけど・・・」



◇◆


 私の最優先目標は死病の新薬のレシピを手に入れるか、新薬を優先的に販売してもらう契約をさせる事。

 ウェーブで傷つき人も物資も足りない時に魔物が押し寄せ、それを共同で退ける。

 いつものようにやれば、簡単に終わる仕事だと思っていた。


 ウルフローナ王都へ到着すると考えが甘かった事を理解した。 門の外から見えるほど大きな建造物、ゴミ一つ落ちていない整備された道。 見た事もない人々の服装、出入りが多く活気のある商店、獣人とは思えぬほどの魔力量。

 ウェーブで傷つき短期間でこんなにも発展したのかと驚く。 門を警備している兵士に話しかけると礼儀正しく、検非違使という街の中専門の兵士の詰め所まで案内される。

 検非違使の詰め所で1人の検非違使を派遣される事となった。


「ここは農業区で、もう1つの門をくぐるとソメイヨシノ区へ行く事になります。 ソメイヨシノ区から信号が多くあり道の進み方も難しくなりますので説明をしながら進みます」


 馬車の御者の席に座り御者に説明しながら進む。 検非違使曰く、先ほど賑わっていた場所は商店でもあるが駅と呼ばれるところらしい。

 地面の下に魔道バスと言う長い乗り物が走っていて、門まで移動するものだと言っていた。 聞いてもさっぱり解らず、今度乗って見る事にした。


 ソメイヨシノ区画に入ると景色が一変した。 道が滑らかで馬車がスムーズに進む。 そして服装もカラフルになり、建物の大きさも先ほどとは比べ物にならないくらい大きくなる。

 圧倒され周りをキョロキョロと覗く。 自転車と言う乗り物で多くの人達が移動している。 もちろん、歩いている人もかなり多い。

 歩く専用の道で冒険者同士がぶつかったのが見えた。 あ! 戦闘になる! そう思ったが、ぶつかった両者が頭を下げあっている。

 どうなっているんだ? この国は・・・

 王城に着いたが、謁見は1月後となるようだ。 冬なのに何故こんなに謁見希望者がいると言うのか・・・


 王城の後に聖女の事について検非違使に聞いて見た。 この国をここまで発展させたソメイヨシノと言う化け物クランに所属しているらしい。

 治療院にいるかもと言う事で行ってみたがおらず、ソメイヨシノの屋敷に向う。

 検非違使と従者の騎士に宿を探してくれるようにお願いをして、私達はソメイヨシノの屋敷へ。

 宿をまだ取ってないから目の前に馬車を置く事になるけど、大丈夫でしょう。


◇◆


 くそくそくっそ!! やらかした! 何なのあの魔力量、キョウ様と同等。 もしかしたらもっと・・・

 カナタとか言う奴と聖女は平然としていたところを見て、ソメイヨシノ全員があのくらいだと考えるのが良いと思うけど・・・そんな事ありえるの? 調査をしていくのがよさそうね。


 貴族区にある高級と言われている宿にたどり着き、騎士達を集合させる。

 私専用の騎士2人は一緒の部屋だけど、他の騎士達は一般区の宿になるみたいだから解散前に呼び寄せた。

 宿のクラスがヤバイ・・・なにこれ? マジックハウスじゃない。 しかも、調度品も綺麗でベッドもフカフカ。

 冷蔵庫と言う冷やす魔道具内の飲み物もサービスで、置いてあるお菓子ポテチなどもサービスらしい。

 部屋に設置されているボタンを押すと従業員が来て、部屋に置いてあるメニューに載っている食事なども部屋に運んでくれる。 ここまで凄いと、貴族達も自分の屋敷にいるように感じるだろう。

 いや、自分の屋敷よりも居心地が良いのではないだろうか。


 部屋で全員分の食事を頼み、どのようにしていくのかが話し合われた。 が、置いてあるお菓子や食事が余りにも美味しく、お酒も異常なほど美味しく話し合いは余り進まなかった。

 お酒が余り得意ではない騎士に明日の朝に行われている鍛錬に参加するように言い。 その日は解散となった。

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