第296話
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あぁもう! なんとなくアンデッドには光ってイメージだったからレーザー撃ってたけど、消費魔力が大きすぎて魔力がもう少ない。
ギフトの魔力の泉の効果で何をしていても魔力が回復するけど、それを上回るほどの消費魔力。 使い勝手が悪いって皆に不人気なだけはある。
風で切り刻めるのかな? それとも物理だから駄目か? 折角だしやるだけやってみよう。
バンシーは風の刃を食らうと切断された黒い半透明な下半身がゆっくりと消えていき、バンシーは反撃のように大声で叫ぶ。 本当に五月蝿いな。
しかし、ダメージは通るっぽいけど1撃で倒せる訳じゃないのか。 下半身がゆっくり回復していくバンシーに風の刃をもう1発当てると、魔石に当たったようで砂のような物を少し落とすと半透明な体が消えていく。
う~ん、当たり所が悪かったのか。 魔石を取るなら他の方法考えないとな。
火を使って燃やせばある程度は魔石が確保出来そうなんだけど、周りにいるゾンビとか燃えそうなんだよなぁ。 レーザーのように一瞬で消し炭に出来れば違うと思うんだけど、延焼とかして森が燃えたら目も当てられないし。
あ、そういえば回復魔法でアンデッドを攻撃ってゲームとかだと定番だけどこいつらに効くのかな? 皆が到着すれば殲滅も簡単だろうし、勉強の為に色々やってみよう。
ゾンビやスケルトンをなぎ倒し、バンシーの近くに行き回復魔法をかける。 バンシーはとっさに手をクロスさせ防御を行った。
回復魔法をかけた半透明な両腕が消えていき、バンシーの声が大きくなる。
うるせー! 近くで聞くと頭にガンガン響いてきやがる。 近くだと、周りの音を完全にカットして戦うしかないのか。
バンシーは距離を取り、両腕をゆっくりと回復させていく。 なるほど、風の刃と同じくらいのダメージって事なのか。
そうなっちゃうと、近づくメリットなんて無いな。 じゃあ、これはどうかな?
ファンネルではなく、カーボンナノチューブを自ら操りバンシーを捕まえてみる。 難なく捕まえる事が出来た。
やはりそうか、魔力がこもった攻撃なら相手に効くと考えて良いみたいだな。 それなら、やり様はいくらでもある。
ファンネルの武器をブラッディルビーワイバーンのマチェットナイフに換装し、魔力を込める。
そのまま捕まえているバンシーの首を刎ねる。 声も出さずに消えていき体から魔石が落ち、頭からもう1つ石ころのような物が落ちる。
あれは、魔石となんだ? スライムとかのような魔核とかなのか? 魔核と魔石を引き剥がせばスライムでも死ぬらしいけど、それと一緒なのかな?
アンデッドも大量に向かって来ているし、後で回収でもするか。
武器を振り回しアンデッドを大量に倒し、進んでいく。 本当に限りがないほど出てくるな・・・いや、出て来る魔物が増えてる?
流石に出て来すぎじゃない? 加速度的に増えてる気がするんだが、近づくと魔物が溢れるとかなのか?
土壁を張って圧死させるか? 魔物が出て来る場所が1点と限らないから出来るかどうか解らない。
というか1点だけならこんなに溢れないんじゃないのか? 一応囲んでみるかね?
人が乗れるほどの厚みで土壁を作り始めると、魔物の量が増える。 まじか! やり始めたんだし最後までやってみよう。
全部土壁で囲むと土壁の上に移動する。 土壁の上から魔者達を確認すると、魔物が潰れず魔物が魔物の上に登ってくる。 お、そうやって回避するのか。
あ、でもこれなら火で魔物を倒せるんじゃないか? 延焼しないし燃やしてみるかな。
「カナタさん、お待たせしました。 手伝いに来ました」
ミズキさんの声が通信機から流れる。
「いらっしゃい、助かるよ。 皆も来てくれたの?」
「いえ、中心に来たのは私だけです。 皆は色んな所に散っている魔物を討伐しに行っています。 結構溢れて色々な所に行ってしまっているみたいなので」
「あぁそっか。 それで広域殲滅が得意なミズキさんが来てくれたんだね。 一応土壁の中心付近に発生源があるっぽいんだけど魔物が加速度的に増えてるんだよね」
「燃やしてしまえば良いんじゃないですか? 範囲指定すれば良いだけですし」
「範囲指定しても、燃えたまま森とかに入られたら面倒だし」
「延焼を気にしているんなら、雨でも降らせば良いんじゃないですか? もしくは土を無理やり動かして延焼を防げば良いとおもいますけど。 あ、土壁でも良いですし穴を掘っても良いんじゃないですか?」
「あぁ、そういえばそうだね。 なんか冷静じゃなかったみたい」
「ここまで魔物が溢れていれば冷静でいられませんよ。 じゃあ、殲滅していきましょう」
そういうと、ミズキさんが魔法を放つと一瞬で土壁の外の魔物が大量に串刺しになる。
うわぁ、結構硬い魔物が串刺しとか驚くな。
「カナタさん、はやく燃やしちゃってください。 そろそろ土壁から魔物が出てきますよ?」
「あ、ごめん。 じゃあ早速」
火炎放射器のように炎を土壁の中に放つ。 フレッシュアンデッドだから燃えにくいが、火力を強くして無理やり燃やす。
人間のゾンビの場合だと服とかが燃えるから簡単に燃やせるんだけど、魔物は燃えにくいよなぁ。
比較的に油が多いオークなら多少燃えやすいんだけど、最初に火がつき難いし。
そんな事を考えていると、魔物が空を飛び火の中に入る。 うお、ビックリした。
壁の外から魔物の死体が放り込まれるようだ。
「あ、折角なので外のゾンビとかも一緒に燃やして貰えますか?」
「いいよ。 でも、言ってから放り投げて欲しかったな。 ちょっとビックリした」
「すみません」
「外の魔物はある程度片付けたの?」
「はい。 ポツポツいますが冒険者さんや兵士の方が来ますので大丈夫だと思います。 放り込む作業が終わったら土壁の強化をしますので待っててください」
「あれ? 土壁結構強めに作ったけど駄目だった?」
「駄目ではないですが、熱せられて罅が入り始めてますよ?」
「マジ? なら手早くお願いします」
「了解しました」
この分だと結構簡単に事態を収拾させられそうだな。 もう一踏ん張りだ。
そう考えていると、中心付近に妙な盛り上がりを見つける。
なんだあれ? そう思い魔流眼で確認をすると妙にデカイ魔力が出ているのが解る。
ボスみたいなものもいたって事か? もしくは出て来た? 倒すのは簡単かもしれないけど、毒を撒かれでもしたら厄介だ。
「ミズキさん、土壁の修復は中断。 ボスっぽいのが出てきてるみたい、一緒に攻撃して」
「解りました。 何の魔法を撃ちますか?」
「アンデッドと言えば光弱点として有名だからレーザーが良いかな?」
「解りました。 では、こちらに来てください」
ミズキさんのほうを見ると土壁から少しはなれた場所に足場を作りだした所だった。
俺は言われるままミズキさんがいる足場に移動すると足場はエレベーターのように上に上がっていく。
足場の上昇が止まると、盛り上がった場所から蝙蝠羽根と牙が生えてるイケメンが出て来た。
「カナタさん、私達の防御をお願いします。 でかいのをお見舞いしますので」
「ちょ、ちょっと待って・・・」
言い切る前に魔法が発動し上空に光が集まり一気に下に落ちる。 蝙蝠羽根のイケメンは一瞬防御するが光に飲み込まれた。
光が集まっていた時点で熱がこちらにも伝わって来ていたので、土壁に氷を貼り付けある程度温度を下げていたのだが発動した瞬間一気に熱が伝わってきた。
ヤバイと思い自分達の前に氷の壁を作り続ける。 光が収まり土壁を確認すると、土壁もなくなり地面に大穴が出来、溶岩のような物が溜まっている。
溶岩が見えるって事は地中に何らかの防御をしたのか手加減したのだろう。
さて、これはどうしたものか・・・原因が全くわからなくなってしまったじゃないか。
すっきりした顔をするミズキさんを見て、俺はため息を吐き出した。