第295話
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何とか爆買いを凌ぎきる事が出来た。 司教達はマジックバッグを何個も持っているようで鬼のようにどんどん買っていたが、ようやく落ち着く事が出来た。
落ち着いたと言っても、生活雑貨の爆買いが終わっただけで家具などの大物の発注はまだ続いている。
しかし、大物は発注を受けてからの製作だと言っているので時間が掛かっても大丈夫だろう。
現在の懸念は、司教が送った手紙だ。 何らかの計画を実行したようなのだ。
暗号文で書いてあり詳細まではわからなかったが、女騎士との話で断片は理解できた。
話しの断片を整理すると、何かをこの国に呼んでいるようだ。 何かは魔物か、傭兵か、兵士か、盗賊かさっぱり解らない。
本当に呼び寄せているのかも解らないし、呼び寄せている方法すら解らない。 今現状では、司教達を捕まえる事は出来ない。 罪をでっち上げたら様々な不利益が降りかかるのは容易に想像できるし。
国中を兵士を使い警戒させるしか今の所はない。 後手に回るのは癪だが、仕方がない。
冒険者達にもへんな物がないか移動中に見て回って貰えるようにお願いをしている。
明確な物がないと冒険者に依頼出来ないのは本当に痛い。 しかし、この国の冒険者達は連携をして国中を見て回ってくれているようだ。 本当に良い国になった。
アヤコさんにカーボンナノチューブの動かし方を教え、一緒にオークを狩りに行こうと訓練を休み朝早くに冒険者ギルドへ。
冒険者ギルドでオークの情報を聞いて門を出て移動しようとした時、駆けてくる冒険者達を索敵で感知した。
魔物を引き連れて逃げてきたと言う事も考えられるので近づいて叫ぶ。
「止まれ! 話を聞きたい! 何があった?」
「え? あ、カナタ様! 群れが、魔物の群れが来ます! しかも、アンデッドです」
「アンデッド? アンデッドって夜に出るもんじゃなかったっけ? それよりも、アンデッドにならないように埋葬に特に気を使ってやってなかったっけ?」
「それは解りませんが、近づいている事は確かです。 兵士や冒険者ギルドに報告に行って来ます」
「あ、待って。 場所を詳しく聞かせて」
アンデッドの群れが来ていると言う方向に向かって移動すると、ポツポツとスケルトンがいる事が解る。
確かにアンデッドが来ている様だ。
何でこんな朝っぱらに? いや、夜に発生して移動してきたと言う可能性もあるのか。 スケルトンの魔石なら問題なく取れそうだけど、ゾンビの魔石は取りたくないな。
となると、何も素材を取れずに骨折り損になる可能性が大きいな。
そんな事を考えていると、アヤコさんがカーボンナノチューブを操り魔石を無理やりスケルトンから取った。
そうか! カーボンナノチューブで取れば良いのか! それなら後で洗えば良いわけだし。
「カナちゃん、敵が弱くても隙を見せないようにしなよ。 皆にも応援を要請しておいたからね」
「あ、すみません、ありがとうございます。 少し考え事をしちゃってました。 これからは、怪我をしないように気を引き締めてやります」
移動速度が速い俺が周りに散っていくアンデッド達を潰し、アヤコさんが街道を進み群れている多数のアンデッドを潰す。 だが、索敵の範囲だけでもかなりの数がいるのが解る。
本当にキリが無いな。 皆が来てくれるようだし、先行して大きな集団をある程度潰したほうが良いかもしれない。
風の刃を使うとここら辺一帯を切っちゃうから使えないし、ウィンドカッターも広範囲に攻撃が放たれるから人がいる可能性があるうちは撃つのはやめたほうが良いだろう。 レーザーや火の魔法なんて持っての外だ。 氷や土、もしくは武器でコツコツ倒すしかないだろうな。
索敵のマークが重なりすぎると人か魔物か判断できないのがなんとももどかしいものだな。
「アヤコさん。 このまま先行して大きな集団を中心に潰しますので、取りこぼしの対処と兵士や冒険者が来たら指示をお願いします」
俺は通信機でアヤコさんに伝える。
「解ったよ。 強さを過信して、無茶はするんじゃないよ?」
「解ってますよ。 何かあれば連絡をしてください」
俺は小さいアンデッドの集団は自動攻撃に任せ、大きな集団を魔法や武器で潰す。
それでもかなりのアンデッドを見逃してしまった。 まぁアンデッドの強さはアンデッドになる前の魔物の強さよりも低いし問題ないだろう。
もうどの位の数を倒しただろう? 一向にアンデッドの数が減らない・・・どうなってんだこりゃ?
風を纏いウィンドベールを何十にもかけて風の刃を飛ばさないように薙刀を振るう。 多数のアンデッドが上半身と下半身に分かれ吹き飛ばされ様々なところにぶつかり動かなくなる。
今死んだばっかりのフレッシュと言えるゾンビが出てきたからもう少しかな?
無双シリーズのように武器を振るたびに魔物が動かなくなるのは最初は楽しかったが、現在は苦痛しかない。
ここら辺にこんなに魔物がいたっけ? いや、こんなに魔物はいなかったと思う。
じゃあなんでこんなにも魔物がいるんだ? 魔物があふれ出て来る現象? まさかウェーブ!? んなわけないな。
ウェーブじゃないとすると・・・あれ? 俺この現象知っているな。
たしか、パルメントさんに聞いた・・・そうだ! マジックバッグの暴走。 それだそれ、それに近いかも! じゃあ元凶と言える物が何処かにあるはずだ。
簡単に考えると魔物の中心。 索敵は真っ赤で解らないから大体の場所を絞って進んで見るか。
ガンガン進んでいくと多様の魔物のアンデッドが出始めている。 つーか何でアンデッドなんだよ! せめて何らかの素材が取れる魔物が攻めてこいや!
そんな事を考えながら武器を振るっていると。
「きゃぁぁぁぁ」
女性の声に似た音が聞こえてくる。 なぜ似た声かと言うと、声を聞いていると不快感しか襲って来ないからだ。
音のしたほうを見ると120cm位の黒単色で透けている女の子が空に数人いた。
もしかして、バンシーか? 俺、声聞いちゃったけど死ぬのかな?
「「「「きゃぁぁぁぁ」」」」
バンシーの合唱、不快感しかなくとにかく五月蝿い! OKOK、とりあえずお前は敵だな。 なら大人しく死んどけや! カーボンナノチューブのハンマーで殴るが通り抜けてしまった。
物理無効なのかよ! 仕方ない、魔法を使うか。
地面すれすれからバンシーに向かってレーザーを放つ。 地面すれすれから空に向けて放てば斜線上にいる敵と共にバンシーを攻撃できるし、何よりも遠くに人がいても当たらない。
俺の魔法をくらいバンシーが1匹蒸発した。 仲間がやられたバンシーはますます大声で泣き叫ぶ。
だぁぁぁ! うるせぇんだよ畜生! レーザーを連射したり動かしたりしてバンシーの殲滅を図る。
バンシーは黒い霧を出してくる。 目くらましとレーザーの威力減衰を図っているのかもしれない。
だが、考えが甘甘だ。 レーザーは、水蒸気や土煙で威力減衰される事など誰でも知っている。
水蒸気や土煙、黒い霧など蒸発させるほどの威力を出せば良いだけだ。
数発のレーザーでバンシーは消え黒い霧も同時に消える。 さて、元凶を探さないと。
アンデッドの魔物を倒しながら進むと数秒でバンシーがまたやってくる。 何これ? これなんてクソゲー? 竹やりがどっかに落ちてないかな?
馬鹿な事を考えている場合じゃないな。 さっきと同じくバンシーをレーザーで蒸発させ進む。
そして少し進むと、またバンシー・・・バンシーは何も落とさないし魔石も蒸発しちゃうからクソの役にも立たない、ほんっとうにクソゲーだな。