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努力の実る世界  作者: 選択機
第4章 ウルフローナ国 新王都モンステラ編
354/406

第293話

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。

「カナタ様、報告書をお持ちしましたにゃ」


「ありがとう。 グルングロッコの燻製肉をアカネちゃんに渡しておいたから後で貰って。 あと新しい装備と欲しがっていたマジックバッグも渡してあるから」


「ありがとうございますにゃ」


 オモチから渡された報告書を読む。 なるほど、色々やろうとしているんだなぁ。

 ペニシリンの製造方法を奪取、もしくは各国へ送られる薬を一括管理し支部に配り地位の向上、実質的な支配する計画。

 食料改善の調査、食料自給率の改善方法などを調べる。 主に土壌改良の方法など。 

 兵糧や保存食の調査及び購入。 長期保存の効くものの調査。

 衣服についての調査、木綿や魔物素材以外の素材の原料や加工の方法など。

 武器防具の購入、完成度が高い場合、素材や加工法の調査。 また、兵士達の防具に新素材を使っている可能性があるので調査及び奪取。

 人族としてダンジョン攻略の協力依頼、もしくは戦闘が得意なメンバーのダンジョン都市への移動の足止め。

 他にも色々とやろうとしているようだ。


 ペニシリンの製造方法の奪取と兵士の防具の奪取か。 流石に見過ごせないから陛下に手紙を出しておこう。

 ペニシリンの販売についても、陛下ならペニシリンを一括して管理する団体が出来てしまう事の懸念を抱き変な事を了承しないだろうし、防具を奪われるようなヘマはしないだろう。

 食料の改善は別に隠す事はないから良いかな。 食料が増えれば農家の人とかもある程度は食べていけるようになるだろうし、逆に積極的に教えても良いかも知れないな。 いや、戦争の兵糧になると考えると迷うな。 う~ん・・・

 保存食はそこまで変化してないし隠す事もないだろう。 鍛冶の技術も上がってきたし武器防具の生産も安定しているし、そろそろ缶詰とかの作り方を広めても良いかもしれない。 タダシさんとタクミ君と相談してみよう。

 衣服は、ミシン以外なら広めても良いだろう。 機織機はどこでもあるようだし、デザインは簡単に盗めるんだし。

 武器防具は販売しているし様子見で良いかな。 販売しているものの中で、1番良い武器はダマスカス製なのでドワーフの国から送られてきて物珍しくはないって言うし、生徒たちが作って販売しているものだし出来もそこそこだって聞いてるし放置で良いかな。

 地図の作成や防衛装置の調査、魔道具の調査、獣人の魔法使用の確認など色々か。

 これだけ聞くと戦争を起こそうとしているようにも聞こえるが、ペニシリンの製造方法を奪取されなければ戦争になる事はまずないし、入れない場所には俺達ですら入れないように厳命している訳だし、放置でいくかな。


 最後に、ダンジョン攻略の協力依頼ってのはなんだ? ダンジョン都市を奪う為に争っているマーテルマルベリーの依頼か?

 調べる事柄を見る限り俺達の事をある程度調べている事は解るが、俺達の力を警戒している? 最近は封印を施し戦力で戦うのはミスティの本体が居る星のみにしているはずだ。

 う~ん・・・考えても解らない。 結構早いけど移動手段の確認や生徒たちを連れていくかなど決めておこう。

 方針が決定し現在の時刻を確認する。 よし、まだ文官たちは寝ている時間じゃないだろう王城に行こう。

 簡単に着替え、玄関へ向かうとそこには革鎧を付け武器を装備したベトニアが待っていた。


「カナタ様、お供いたします」

 ベトニアは恭しく礼をする。


「あぁ、うん、一緒に行こうか」


 ベトニアと話をしながら王城へ行く、ベトニアは兵士の詰め所へ向かい俺は王城の中に入る。 ベトニアには大量の日持ちする焼き菓子を持たせて慰労してもらう事にした。

 文官の作業場へ行こうとするとメイドのサナキリさんが現れ執務室へ行くように言われ移動する。

 執務室に行く道中でメイドや執事も八重桜学園に行く事になった事について話し、生活スタイルは大丈夫かを聞けて有意義な時間を過ごした。

 お礼と慰労をかねて日持ちする焼き菓子を渡し、サナキリさんには個人的に生菓子を渡す。

 顔がとろけているサナキリさんを残し、執務室へ入り陛下に事の成り行きと調べた事を報告する。

 報告を受けた陛下は頭を抱えため息を吐く。


「解った。 警戒を数段階上げる事にする。 しかし、レティア教は清廉潔白、品行方正、勤倹質素を教えとして居た筈だが・・・」


「それは知りませんが、警戒するに越した事はないでしょう。 検非違使(警察のようなもの)の人手が足らなかった場合は冒険者ギルドに依頼をしてください」


「ああ、解っている任せておけ。 カナタも気を付けてな」


 屋敷に帰ると工房へ移動する。 今回作るのはゴーレムが引く移動用馬車だ。

 去年の夏位からダンジョン都市の周りでは盗賊が多く出没すると言う事で、盗賊にわざと襲われる馬車を作る事にした。 別に壊れても良いのでただの木材で作る事に決めた。

 金やプラチナでメッキをして、屈折率を変えた石英ガラスも作りごてごてした馬車を作っていく。 趣味に合わないが出来る限り成金っぽく。

 出来上がった物を見るとやりすぎ感が漂う。 しかし、無駄に金持ちそうには見える。

 普通には使わないだろうししまっておこう。


 次の日、いつも通り朝の訓練をしていると女騎士さんが見に来た。 皆に話しかけ色々と情報収集しているのだろう。

 自分の訓練が終わると、女騎士さんに話しかけてみる。


「おはようございます。 見てみてどうですか?」


「お、おはようございます。 皆さんはいつもこんな無謀な訓練を?」

 女騎士さんは顔を強張らせ言う。


 無謀か。 本音の部分が出ているっぽいな。


「ええ、今日も通常通りです。 毎日訓練するのは普通ではないですか?」


「普通と言えば普通ですが、こんな短時間でここまでやる事などありません。 戦う前に動け無くなってしまいます」


「そうですか? ポーションとバランスの取れた食事があれば明日の朝には回復すると思いますが」


「そんな訳ないです! 魔力の完全回復や疲労はすぐには取れません」


「皆に聞いてみていただければ解ると思います。 他にも解らない事があれば聞いてみてください」


 そう言うと訓練をしている所を離れる。 振り向くと色々な質問をポーション入りの豚汁を配っている少女に聞いている。

 俺達の強さを知り変な気を起こさないようにして欲しい。 昨夜作った馬車を引くゴーレムを作るため工房へ移動する。

 竜車なども存在するらしいので、ラ〇ポスの形を思い出し6体ものラ〇ポスを作成していく。

 う~ん、もう少し見た目にリアリティを追求したい。 しかし、青い鱗の付いた皮など持っていない。

 今あるのは緑色なんだよなぁ・・・それでも良いか。

 見た目だけだと思いグランネッツの革を貼って、目の部分へ鼈甲で出来た目をはめ込み1体目のラ〇ポス完成した。

 うん、我ながら良い出来だ。


 そんな事を考えていると、扉がノックされる。


「カナタ様、ヒリス(骨細工の師匠)様が尋ねてきています。 いかがいたしますか?」


「今行くよ」


 ヒリスさんとちゃんと会うのは久しぶりだな。 いつもショッピングモールの店頭で少し話したりするだけだし。

 玄関でヒリスさんを出迎え話をする。 中に入らなかったのはすぐに聞いて欲しいといわれたからだ。


「カナタさん、レティア教の人達って解ります?」


「ええ、解りますよ。 どうしました?」


「異常なほどの大量の購入と発注されちゃって困ってるんだけど、売らなくても良いかな?」


「それはお任せしますけど、そんなに凄いんですか?」


「たぶん他の店舗の人からも報告に来るかもしれないから覚悟した方が良いかも」


 俺は苦笑で答え、世間話をして分かれた。

 ヒリスさんの助言どおり、様々なクレームを処理する事に1日消費してしまった。

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