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努力の実る世界  作者: 選択機
第4章 ウルフローナ国 新王都モンステラ編
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子供だけの旅(3)

ブックマーク・評価 本当にありがとうございます。

 モンジさんが帰ってきても、食事の勢いは止まらずにいた。

 モンジさんは、笑いながら温かい内に食えと言って僕達が夢中でもあまり気にしないようだった。

 食べ終わると、もっとゆっくり味わって食べておけば良かったと言う後悔。

 妹もネギ以外は全部綺麗に食べてしまって、僕と同じような後悔をしているようだ。

 モンジさんは、そんな後悔をしている時に帰ってきた。


「やっぱりそれだけじゃ足らないだろ? フライドポテトとポップコーンを買って来たから一緒に食べよう」

 モンジさんはテーブルに白い丸い物と角ばった棒のようなものを置く。


 両方食べたが、両方とも驚くほど美味い! あっという間に無くなってしまった。


「あ! すみません、遠慮もせずに」

 僕は、モンジさんに頭を下げながら言う。 妹も頭を下げた僕に合わせて頭を下げる。


「いやいや、特に問題はない」


「出来ればお礼をしたいんですけど、何か出来る事はありませんか?」


「そうだな。 じゃあ、誰か困ってる奴がいたら手を貸してやってくれ」


「え? それじゃあ御礼になりませんよ。 何か出来る事はないんですか?」


「あぁ~、今の所は特にないな。 そうだ、大きくなったら俺の飯を食いに来てくれ」


「飯を? ということは、料理屋でも開いているんですか?」


「いや、今は貴族街にあるショッピングモールのチェリーブロッサムで修行中。 1つの品でも採用されたら、冒険者に戻り、年を取ったらダンジョン都市に料理屋を構えたいと思っているんだ」


「ダンジョン都市に料理屋ですか。 すごい夢ですね」


「そうだろう? 昔の俺が言ったのなら夢物語だと笑い飛ばしてただろうが、今なら出来ると言う確信がある」


「何でですか?」


「どんなに嫌がってたとしても、数日たったら解るさ」


 モンジさんは苦笑しながら言うが、何で僕達もわかると言えるんだろう? 何かあるのかな?

 そんな会話をしていると、大人数の団体が入ってきた。


「お、あれは学園の新入生じゃないか? あれに着いていけば帰れるだろ」


「はい、今日はありがとうございました」


「ああ、必死に皆についていって頑張って勉強しろよ」


 頭を下げお礼をいい、寮母さんの所へ行く。 寮母さんは僕達のグループの人ではなかったが、逸れてしまった事を説明する。


「なるほど、迷子になってしまったのね。 君は確か3グループだったわね。 君のグループならここで待っていれば来るから安心しなさい。 食事は取ったのかしら?」

 寮母さんは慌てる事も無く僕達に聞く。


「はい、モンジさんと言う冒険者の人からお勧めを教えて貰って食べました」


 食べたと言うと、今までの案内の詳細を聞かせてもらった。 グループごとに服の売り場や家具売り場、装備の売り場や小物売り場、薬売り場など各売り場をめぐっていたようだ。

 グループごとに回る順番が決まっているのは、混雑を避けるためなのだと言う事だった。


「学園の休みの日なら実習もお休みになるから、いつでも来れるわ。 今回見なくても特に問題ないはずよ」


「実習? 休みの日? ってなんですか?」


「実習と言うのは、実際に働いて仕事を体験することよ。 休みの日って言うのは、今までの呼び方だと安息日の事なの。 もっとも皆色々やっているから、ちゃんと休んでいる人は居ないんだけどね」


「色々ですか?」


「そう、色々。 何かを作っていたり、訓練してたり、武器のメンテナンスしたり、勉強したり、もちろん遊んでいたりもするわよ」


「安息日は・・・休みの日はいつになるんですか?」


「それは人によってまちまちなのよ。 皆ばらばらに休んでいるの。 希望とかは少しは聞いてもらえるんだけどね」


「そうなんですか」


 実習と言う形で学園の生徒達に労働をさせているから、こんなに大きな店舗を運営出来ているわけだな。

 しかし、休みの日がバラバラと言うのはどうだろう? 休みの日がバラバラだと、日により労働力が足らなくなったり色々不具合が出るんじゃないのか?


「あの、休みの日がバラバラだと人の数が足らなくなったり、色々不便があるんじゃないんですか?」


「私も最初そう思ったのよ。 でもね、それは全く違っていたの。 休みの日がバラバラだとその人が休んでもお店を開ける事が出来るし、休んでいる人もお店が開いていれば買い物など色々出来るでしょう?」


「はい、そうですけど・・・お店ごとに安息日があると言うのが普通だったので」


「そうね。 このショッピングモール全部を毎週休みにしちゃうとお客様が困っちゃうでしょう? だからかな」


「そうですね。 こんなに大きなお店を見た事がないです。 でも、在庫管理とか大変そうですよね」


「難しい言葉を知っているのね。 でも、普通のお店だとそうかもしれないけど、ここもマジックハウスでしょ? マジックハウスだと、部屋の拡張など簡単に出来ちゃうから問題は無いみたいなのよ。 倉庫にしてもかなり大きくて、品物ごとに綺麗にしまってあるって噂だし、食材用に冷蔵庫も完備されているから特に何か不便はないみたいよ」


「冷蔵庫って何ですか?」


「私が話した事全部そのうち習うわ。 皆が食べ終わらないうちに回っているコースの事を説明しちゃうからこのパンフレットを見て頂戴」


 パンフレットとは何か? と思ったが、紙に書いたこのお店の見取り図のようだ。 こんなに正確な見取り図なんて持っていたら泥棒に狙われそうな気もするが大丈夫なのか?

 そんな事を考えたが、特に問題ないらしい。 マジックハウスでは各部屋ごとに入れる人を制限できるとの事だった。 それもあって、階段の所などに店舗の見取り図が貼ってあったりする様だ。

 持ってきてもらったパンフレットを指差されながら、どこに何があるのか説明されたがやはり行って見てみないと細かいところなどは解らない。

 寮母さんが言った通り休みの日に来るのがいいかもしれない。


「予定の順番だと、私達が出ていった後に来るはずだから、待ってなさいね」


 そう言われ、暇つぶしに料理とメニューを照らし合わせたりしていた。

 様々な料理、どれもこれも美味しそうだ。 しかし、これを僕と同じ位の年齢の子が作っていると言うのか・・・凄いな、僕もこういう料理作れるのかな?

 そんな事を考えながら全メニューを見終わったところで逸れてしまったグループが食事に来た。

 僕は寮母さんに謝罪をし、グループと共に見学を再開させる。

 逸れて迷子になった事は不問となっている。 新入生の何割かは迷子になって兵士や住民に送り届けられたりしているそうで、一種の通過儀礼にも似たものとされているらしい。


 見学を終え寮に帰ると、お風呂と言うものに半ば強制的に入らされる。 お腹もいっぱいで歩き疲れているが、1日に1回は入らないと駄目らしい。

 真新しい支給された服に着替え、部屋に帰ると妹と共に今日一日であった事を振り返る。

 2人で興奮気味に色々話していたが、明日からは直ぐに授業があるとの事なので早めに床につく事にした。

 それにしても。料理美味しかったなぁ・・・僕も料理人になれば、あんなに美味しい料理作れるのかなぁ・・・

 そんな事を考えると直ぐに寝てしまった。


 次の日、ものすごい朝早くに起床させられ学園に移動する。 学園の校庭には、街全部の人が集まっているのではないかと思われるほどの人数がいた。

 しかも、校舎の周りを既に猛ダッシュしている人だかりも見える。


「あの先頭でランニングしていらっしゃるのが、ソメイヨシノのリーダーであるカナタ様です。 ほぼ毎日1番最初に来られてストレッチをしてランニングをしています」

 寮母さんはそう言うと、カナタ様のほうへ深いお辞儀をする。


「あの、あれってランニングですか? 猛スピードで走ってますけど」


「そうよ。 体験してみれば解るわ」


 そして僕達は走りすぎで死にそうになり、介抱してくれる先輩に申し訳なく思い、先輩達の組み手を見て憧れ、朝食を取り勉学に励む。


 お父さん、お母さん、親戚の叔父さん、叔母さん、僕達2人は元気に暮らしています。

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