子供だけの旅(1)
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僕達兄妹は末端の文官である父と専業主婦の母と妹の4人家族で慎ましいながらも楽しく暮らしていた。
勉強は嫌いだったが、父に褒められるのが嬉しくて何とか読み書き計算が出来るようになった頃、両親をウェーブで亡くしてしまい親戚の家を転々とする事となった。
そんな時、ウルフローナへ移民の話が舞い込んで来た。
昔に父からウルフローナ国の王はかなり頭の切れる人だとは聞いていた。 しかも近年の噂では、死病の薬を開発しお金もかなり集まっているのだと言う。
5軒目の親戚の商家では、読み書き計算が出来るとの事でかなり良くしてもらっていたが、親戚の商家にも子供や家族がいる。 人が増えると食費が多くかかり、かなり困窮してきていた。 なので、移民の話を聞いたとき直ぐに行く事を決心した。
幸いにも妹も、移民としての移動に賛成してくれた。 移民としての移動中、自分の知っている土地を離れると言う不安で押しつぶされそうだった。
だが、2人だけの兄妹なのだから助け合って生きなさいと言う両親の教えで不安を押し隠し移民に参加する。
護衛の冒険者さんは全部で6人、冒険者さんの持っている荷物もかなり少なくこれで大丈夫なのかと不安が押し寄せてくる。
馬車は1台しかなく、全員で乗れないので交代で乗る事になるようだ。 そして、冒険者さんは馬車に乗らない様だ。
何で乗らないのか尋ねたいが、話す機会がない。 と言うか違和感がある。
何故か冒険者さん達は礼儀正しく優しい。 馬車を引くケーミ(馬と鹿を合わせた魔物)は4頭と、お金がない中堅に成り立ての冒険者では絶対に借りる事すらないものだ。
他の人も疑問に思ったのか、質問されていた。 どうやら装備の殆どが依頼主が渡した物のようだ。
依頼主の事を聞くと、強く優しく素晴らしい方だとの事だった。 良く解らなかったが、冒険者さん達の憧れの人達らしい。
休憩時に簡単な食事を渡された。 平べったいパン? のような物と野菜や肉が入ったスープだった。
肉だ肉! いつ以来食べていないだろう? しかし、この食料はどこから用意したんだろう? 街中では買い物をしていなかったように感じるし・・・まぁいっか。
でも、この平べったいパン? って何なんだろう? 平たいパンを不思議そうに見ていると、冒険者さんがクネッケブロードと言う名のパンと豚汁だと説明してくれた。
パンは、サクサクしていてかなり美味しい。
そして、この豚汁! 野菜もお肉も驚くほどに美味しい。 野菜があまり好きではない妹が具材が無くなってガッカリしているほどだ。
この食事だけで、移民に参加して良かったと心から思う。
数日が過ぎ、他の街の移民とも合流しかなり大きな団体となった頃、オークが襲ってきたとかなり騒然とした雰囲気に包まれる。
しかし、人族のこの計画のリーダーと呼ばれる人が先行し、直ぐに戻ってきた。
その手には首から上のないオークを棒の先にくくり付け血を流しながらだ。
「皆聞け! 今日の夕食はかなり豪華になった! オークのステーキ食べ放題だぞ!」
そう言うとバッグから首から上のないオークを6匹も取り出す。 血抜きや解体で数時間の休憩となった。
オーク肉なんて食べた事すらない物を食べさせてもらえるなんて、本当にここに参加して良かった!
そんな事を話すと、初日に食べたスープの肉もオークだったらしい。 皆驚きで固まってしまっていた。
そんなこんなで、塩の迷宮と言われるダンジョンの街ザルツサーレに到着した。 この街で暮らしてもいいのではないかと考えたが、モンステラと呼ばれる新王都はもっと驚くほどの所のようだ。
移動中に復興中の街や新規に作っている村による事があったが、ウルフローナの街はどこも活気に溢れとてもウェーブで1番の被害を被った国だとはとても思えなかった。
新王都に着くと驚きで移動してきた皆が立ち止まる。 僕達のような背が低い子供は、周りが見えずに移動したタイミングで驚く・・・どれだけの人がモンステラに入る為に待っているんだ?
朝早くに並び始めたのに入る頃には既にお昼になっている。 入ったところは、畑が一面に広がっている。
何となく見慣れた景色が広がっているのはホッとする。 所々に見える建物はかなり大きくて立派だけどね。
王城は今見えている切り立った崖の裏側にあるらしい。 崖を上るやつが出てくるのではないかと思ったのだが、登ると警報とバリアと呼ばれる見えない壁が出来るらしい。
そして、お昼として渡された物はコロッケパンと言う調理パンだった。 お代わり自由との事でいっぱい食べ、全員が苦しくて動きが鈍くなってしまうほどだった。
王都の正面が見えてくると、誰もが驚きで1言も発する事が出来なくなっていた。
まず1つ目、建物がでかい。 先ほど過ぎた城壁よりも明らかに背が高い城壁よりも、でかい建物が無数に存在する。 貴族様が住む場所でも塔くらいしか城壁よりも大きな建物は見ないのに・・・
2つ目は道。 僕達が住んでいた街の大通りの大きさは馬車が二台すれ違う事ができる位で、狭い道では階級によって差来る馬車が決まっていた。
この街の道は4台もの馬車が進めるようになっている。しかも、馬車は階級によっての区別などなくどれもルールに従い規則正しく使われていると言う事だった。
たまに他国の貴族が文句を言っているらしいが、断固たる態度を取っているらしい。
3つ目は畑。 どの畑も実りがすごいし、育てている種類が異常なほど多い。 案内をしてくれている兵士の方は、ソメイヨシノ様の加護と言っていたがどういう事なのか理解に苦しんでしまう。
ソメイヨシノ区画と俗に呼ばれる区画に入ると、別世界が広がっていた。
神の国には大きな建物が広がって、人は等しく幸福を享受されるであろうと言う昔話して貰った物語を思い出す。
ここからは人が多いので逸れない様にと注意を受け進んでいく。 八重桜学園の校庭に集められ、話が始まる。
説明によると、大人も1年間は八重桜学園に通う事になるらしい。 なんでも、計算や読み書きが出来なければ仕事に就けないからと言う事だった。
その間の衣食住は保障され、実習と言う名の労働で対価も支払われるとの事だった。
今までやっていた農業に従事したくなければ新しい職を探す事も出来るとの事だし、僕達成人していない子供は成人するまでに自分の就きたい職を決めればいいらしい。
この国の政策は驚く事ばかりだ。 勉学を無償で教えるなど何がしたいのか解らない。
冒険者になりたい人たちや子供達を鍛えれば魔物の脅威は減るかも知れないが、他国の兵として攻めて来るかもしれないと言う不安はないのだろうか。
一通り説明も終わり僕達のように子供だけが呼ばれ、八重桜学園の寮へと案内される。
寮は、なんとマジックハウスになっていた。 そして外見ももそうだが中も異常なほどデカイ。 こんなものを人が作り出した言うのが驚きだ。
寮母さんと言っていた女の人が5人くらいの自己紹介が終わり、寮の説明が始まる。
中央の現在いる場所は男女共同で使えるが、寮自体は男女別になっているらしい。 不安がある異性の兄弟姉妹は申請すれば少しの間だけ中央で部屋を借りられるらしい。
僕達も例に漏れず申請しておいた。 説明が終わると全員一列に並ばされる。
何が行われるのかと待っていると、横にいた寮母さんの1人が息が荒く飛び掛ってきた。
「グギャ」
と、寮母さんが変な声を出すと地面に顔から突っ込んでいた。
呆気に取られていると、1人の寮母さんがその寮母の襟をつかんで引きずっていく。
「ショタコンなのは結構ですが、2次元だけになさい!」
と良くわからない事を言われていた。
呆けていると、前のほうから歓声が聞こえてきた。 その内容を聞くにお金を渡されたようだ。
かなりの金額を渡されたようだが、聞き間違いだろう。
僕達の番になり、渡された首からかける革袋からお金を取り出し確認すると眩暈がしてきた。
大銅貨(千レティ、一万円位)が手渡されたのだ。 しかも全員にである。 どうなっているんだ? この国は・・・
今さっき出来上がって、全く読んでいません。 なので、なんか変だったら報告していただければと思います。




